【探究領域】意思表現
【セントラルアイディア】編集によって情報の価値は変わる。
<テーマ学習>レポート
「パソコンでカチカチしている。」
先輩たちの姿をみて、そんなイメージをもってスタートした「Dear Editor」。実際に、このテーマではパソコンをフル活用していきます。
作家さんから原稿をもらい、文章をそのままの形でグーグルドキュメントに転記。打ち込んだ文章に「編集」を加えていきます。
作家さんに質問したこと、答えてもらったことは、スプレッドシートに記録。こうした作業を後輩たちのそばで行っているのです。
何をやっているのか、どこまで進んでいるのかを全員で共有できるのが大きな利点であります。テーマ学習の時間では、これらの情報を参考に、個人作業の中で、発見したこと、疑問に思ったこと、モヤモヤしていることを話していきます。
蓋を開ければ、思っていた以上に、TCSキッズの作品は個性的。
「題材が〇〇が考えそうで、〇〇っぽい感じ。」
「主人公の喋り方が作家そのもの。」
「その子のイメージ通りの話だった。」という感想が出てきました。
また、学年によって傾向も見えてきたようです。
「1年生は、現実にありそうな話で、登場人物も実名を使ってる。」
「それって、いいの?個人情報とかで、よくないんじゃない?」
「これは、現実の話ではないですよって、どこかに書いたらいいんじゃない?」
読んだときに、読み手がどう思うか。それを考えるのは編集作業のひとつになります。読者が嫌な気分になったり、実名を使うことでその人個人が誤解されたりすることを編集によって回避することができます。
編集者によるコメント、まえがき・あとがきの必要性も出てきました。
「2年生になると、登場人物でキャラクター設定できるようになってる。いつものクリエイティブ。」
「だから、想像の世界が増えてる。」
「でも、1年生にしかない面白さもある。」
「1年生って、音が多い。」
「4年生で全く音がない作品もあった。」
音を使うのは、技のひとつでもあります。かといって、音がない文章が悪いわけでもありません。「書く」の時間では、心情・情景・会話の3つをバランスよく使えるようになると、面白い文章になっていくと伝えています。欠けているものがあれば、それを加えることで、より臨場感が出せるようになっていきます。
「文字の間違えは見つけやすく、直せるけれど、もっとよくするためには、どう変えたらいいのかが、わからない。」
「さらって、読めちゃう。よく思えてしまって、これ以上、変えようがないと思うんだけど、どうしよう。」
必要に迫られたときこそ、「技法」を知る、インプットが必要な場面であります。プロの編集者たちは、どうしているのか。こんなときは、彼らの技を見てみます。
まずは、二次情報として、心がけていることが書かれている書籍の一部分を参考にしながら、同じ作品を一緒にみていきました。
「長いすぎる文は2つに分ける」
「同じ言葉が続いていたら、削除したり別の言葉に置き換えたりする」
この2つは、比較的見つけやすくなりました。
「編集って、もっと簡単かと思ってたら、意外に難しい。」
「自分だけだと、直す場所がわからない。」
二次情報よりも伝わりやすいのは、やはり一次情報。
現場の人「現人」に思いをぶつけてみるのがいちばんです。
そこで、今回は、NPO法人グリーンズの副編集長鈴木康太さんに、編集の達人として、ZOOMで授業をしていただくことになりました。
お願いしたきっかけは、以前、鈴木さんの書いていた文章でした。「編集者は”チェックする人”じゃない。原稿の質を高める”伴走者”であるべきだ。」には、編集者の心得が書かれていました。
https://greenz.jp/2017/12/09/kotasuzuki_editor/
鈴木さんも、小学生が編集の作業をしていることに興味をもってくださり、快く引き受けてくださいました。
鈴木さんが大切にしていることは、「作品を面白がること」と「届けたい相手を思いやること」。
また、編集者は資格がいるものではなく、いつでも誰でもなれてしまう、料理をする人も編集者であり、そこにあるもので創り出す仕事だと話していました。
TCSキッズの作品を題材にして、編集作業の実演をしてもらうと、読解と打ち込みの速さに驚きの声があがりました。速さはさておき、同じような要領で一緒に編集作業をしていきました。
・料理は、あるものを編むっていう編集ってこと。その観点でやってみたら面白いかも。
・自分だけじゃなくてみんなで作業をするといろんなことが見つかる。
・改行するだけでも、見やすくなって変わる。
・誰でも編集者になれるっていうのが頭に残った。
・作者と読者の両方を考えなくちゃいけない。
・1枚の画像でも意味はたくさんある。見つけるのって面白いし、それが編集なんだ。
冬休みが明け、テーマも後半に入りました。どこまで磨いていけるか、編集の作業と合わせて、文集の構成、デザインにも着手していきます。
AN
—
(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。
・2020年度 年間プログラム(PDF)運用版
・テーマ学習一覧表(実施内容)