特定非営利活動法人 東京コミュニティスクール

東京コミュニティスクール

03-5989-1869

school@tokyocs.org

〒164-0001

東京都中野区中野1-62-10

東京コミュニティスクール

ラーナープロファイル

[1・2年生]

スクールでしてはいけないことを「赤丸に斜め線」の「禁止」ピクトグラムを用いてマークにしてみたものの……なにか違和感が。

「窓から身を乗り出すな」
「階段をかけおりるな」
「ゴミを落とすな」

こういうマークが満ちあふれるスクールって、マーク探し探検に出かけたときの街の様子と同じ。1本の電信柱に「ポイ捨て禁止」のポスターがべたべたはってある。とても見苦しい割には、みんなが守っているようには見受けられません。効果があまりないのに美しくないなんて……そんなスクールにしたくはありません。

ネガティヴメッセージではなくてポジティヴメッセージを伝えるマークをつくれないか……ということでTCSの子どもたちが目指す姿を表した「ラーナープロファイル」をマークにしてみようというミッションを提示しました。

入学して半年以上は過ぎたとはいうものの、英語で書かれて壁にはってある「ラーナープロファイル」を1年生がどこまでわかっているかは不明……では2年生はわかっているかというと、朝の会やアセンブリーで時たま耳にしたり、テーマ学習の中で扱ったりしたことはあるものの、しっかり深めて考えたことはありません。

そういうときは「教える」のではなくて、「どんな理解をしているか探る」のが知をつくりだす探究する学びのスタイルです。このラーナープロファイルはこういう意味だ!と教える前に、どんなことを知っていてどんなことを知らないかあぶりだすのです。

「Thinkersならなんとなくわかるかも」

壁にはってある10枚のラーナープロファイルを見て、ある1年生の男の子が口にしました。

IMG_1056.JPG

「じゃあそれってどういうこと?」って返してみると、「びっくりしてひらめいて頭を動かせっていう意味だよ」と答えるではありませんか。おお、なかなか筋のよい答え。どうしてそう思ったの?とさらにたたみかけると、

「だって絵を見るとわかるよ」

確かに、スクールにはってあるポスターには 上の写真のように Thinkers という英語とともに電球がピカピカ光って何かがひらめいたように見える人のイラストが描かれています。それがヒントになったというのです。

すると他の子たちも絵から推測して Thinkers がどんな人かイメージし始めます。

・お茶の時間に、抹茶の量が少なくて、お湯の量が多くなってしまってあまりおいしくないなと思ったら、次は抹茶の量を多くするか、お湯の量を少なくしてみるか配分を考えようとするのが Thinkers である。
・他の人が考えて悩んでいるときに、意見を出して解決しようとする人
・一人きりで楽しくなくて何もやることがないときどうしたら面白くなるか考える人

早速、鋭い見解が飛び出してきました。と同時に、子どもたちがどんなイメージを持っているかも見えてきました。最初に「教え込んで」しまったら先生の言ったことをうのみにして、なんとなく知ったつもりになり、それ以上意味が豊かになっていきません。しかし、まずどんな「知識」を持っているのか掘り出してゆくやり方をすれば、先生も含め、みんなの「知恵」を合わせて立体的なイメージをつくりあげてゆくことができます。

「みんながスクールでよく耳にするラーナープロファイルは?」

ちょっと見方を変えてたずねてみると、

「Caring」
「Balanced」

という声があがります。

「誰かに言われたわけじゃないのに自然にやさしいことができるのが Caring かな?」
「Balanced ってめりはりだよ」

なるほど……子どもたちが意味をイメージしやすい言葉は、普段からいろいろな場面で使われていて、使われる状況や別の言葉がすぐに思い浮かぶので自然に理解も深まっているんですな。では逆に、あまり耳にしないラーナープロファイルは?とたずねてみると、Inquirers や Knowledgeable が真っ先にあがりました。これもまた興味深い。子どもの発言から改めて考え直してみると、Caring Balanced Principled とは異なり、 Inquirers や Knowledgeable という言葉を使う機会はあまり多くないことに気づきました。

Inquirers = 探究する人……でもスクールの子ってみんな探究してるんじゃない?考えたり、めりはりがあったり、よく気がついたり、チャレンジしたり、正義感がある子と何が異なるんだろう。じっくり考えてみます。すると、学帽の学びのアンテナに着目する子が表れました。「Thinkers は『!』ってひらめいたり、もやもやとずっと考えている人。でも Inquirers は『?』ってずっと思い続けている人かもしれない」

またまた面白い考えが出てきましたね。何も教えていないのに、いや教えていないからこそ、自分の知っていることや体験をベースにして新しい考えにつなげてゆこうと頭を働かせます。

「今のみんなの態度こそ Inquirers だよ」

と思わずおっちゃんは答えてしまいました。

こうしてみんなですべてのラーナープロファイルについてイメージを広げたところで前半が終了。冬休みに入ります。そこで冬休みのホームワークは、自分が気になるラーナープロファイルを3つ選び、そのラーナープロファイルを持つ人はどんな人なのか、そして自分がもしそのラーナープロファイルを発揮するとしたらどんな行動をとるのか、今、自分がイメージすること(理解していることと言ってもよいが……)を素直に書いてくるという課題を出しました。

あっているか間違っているかというような正解のある課題ではありません。今、自分がどんな思いを抱いているのか率直に言葉で明らかにして、考えをふくらませ、磨いてゆくもととなる「原イメージ」をつくることへの挑戦です。子どもたちはやる気まんまん。どんなイメージを子どもたちがまとめてくるか楽しみです。

RI

TCS2013年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

Comments are closed.
アーカイブ