【探究領域】時空因縁
【セントラルアイディア】私たちは時代の流れの中で生きている。
<テーマ学習> 〜レポート
「私たちは時代の流れの中で生きている。」
子どもたちは「時代」というものをどう捉えているのでしょうか?
みん社の時間などで歴史に触れてきている子どもたちからはそれぞれの時代の名前が出つつも、どんどん変わってくるものという認識が多いようです。中には白亜紀などの大昔から続いていると考えて「変わっていない」という意見も。
人間の感じる部分でいうと変化しつつも「流行」は戻ってくるという意見も出ました。結構前はかっこよくて、それが流行らなくなったけど、最近見直されるということがあるそうな。
でも、そういう変化を感じつつも「乗れない」という子も。
「流行り」(これも流行が入っていますが)というと「すぐに切り替わる」という声が多くあり、歌や流行語などがたくさん出てきました。去年のミラハイで歌われていた「アイドル」という曲も子どもとしては「そんな曲もあったなー」と思うくらい前なのだとか。
そうした流行はもちろんファッションにもある、という子どもたち。
それぞれのもつファッションのイメージを話し合いながら書き出してみます。
お気に入りの服などもあれば、これは似合わないと思う、という服もあるのだとか。普段着ている服は気に入っているのもあるけど、全部自分で選んでいるわけではないというケースもあり、それぞれの服についてのイメージ、好き嫌いなどが書き込まれていきました。
けれどそんなファッションも少し歴史的にみると、200年前は洋服などはほとんど見られなかった日本。いったいどのような変遷で洋服が着られるようになり、今のファッションとなってきたのかを探っていきます。
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〜江戸時代〜
和服、と言っても一種類ではありません。
調べてみると士農工商など身分によって服が制限されていたり、武士の場合は「武家諸法度」で明文化されていることもわかりました。
こんなに髪の結び方がある。。。
結婚前、結婚後で髪型を変えたり、帯の結び目の位置を変えたり。
「どうして結婚したかどうかで見た目を変えるのだろう」
そんな疑問を逃さず、その時代背景を探って繋げて考えていくことを大切にしていきます。
「江戸って男の人の方が多かったんだって」
「ということは結婚していない人を探す必要があったのかな」
実際に見た目で判断できることにどれほど重要性があったかは断定できなかったものの、細かいルール/慣習があったことに驚きがありました。
それも江戸の中期まで。少しずつルールも変わっていったようです。
鎖国の終わりと共に、海外の服装が少しずつ取り入れられていきます。
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着こなし:ヘソだしスタイル
突然男子が始めた肩出しスタイル。そこから服の着こなしという話に広がりました。
するとHくんが着てみたい服として「へそだし」を挙げたところ、スクールに遊びに来ていた卒業生のMさんがちょうど通りかかりました。
そこで、Tシャツのヘソ出しの着こなしをレクチャーしてもらいました。Tシャツを内側に捲って、後ろで結ぶのだとか。
早速みんなでやってみます。涼しい!なんか気持ちいいかも!と発言があり、同じ服でも着方によって印象も着心地も変わることが見えてきました。
雑誌にもヘソだしを発見。ヘソだしルック自体は昔ブームだったのが最近またブームになってきるようです。
この前平和の森までPEで外出した際もヘソだしで涼んでいる子がちらほら。5年生がブームを作っている…!?
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ファッションの変遷と社会背景を年表にまとめていくと、時代ごとにいくつか大きな変化があったことが見えてきます。
明治時代の西洋化、けれどまだ洋装は高級品
大正時代の洋装の普及、とくに女性の服装の多様化
昭和時代に入り、戦争による国民服の制限
などなど
特に生活面で一気に制限が加わった昭和初期については昭和館を訪問して調査してきました。
内部は撮影禁止。個人情報に関わる内容も多くあるためとのこと。
実際の生活の様子が実物、動画、写真を通じて学ぶことができました。
戦争が進むにつれて、生活がどんどん制限されていく様子が展示物から伝わってきました。
また、3Fには映像資料が充実しており、昭和時代の各年代の映像や写真を見て学ぶことができました。あまりの量に全てを見ることはできませんでしたが、気になるところから見進めている様子でした。
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昭和を終えて平成、令和へと時代が進みます。
資料の中で見かけた「ストッキング」というワードに引っかかった匡生。なんだろうと疑問で終わった翌日に旦が持ってきて見せてくれました。「野球のストッキングと、ママのストッキングもってきた」とのこと。
その場で試着会が始まりました。
「なんかストッキング涼しい!」といって走り回る男子達。
女子2名は履いたことがあるようで、少し冷めた様子。笑
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理科にて、「電気パン」づくり!
昭和館で見た、昭和の暮らしの中で出てきてた電気パン焼き器。気になるという声が多かったので、探究旅行で6年生が不在の裏の理科で実施しました!
仕組みは簡単で、金属板で生地を挟んで電流を流すだけ。電源はコンセントから直接繋ぐので、安全に注意しながら工作も実施しました。
上部が少し生焼け感がありましたが、無事焼き上がりました!蒸しパンのような食感で、キッズは大盛り上がりでした。
電気の熱で化学反応が進む、その過程の中でいい香りも。味も香りも実験を通じて楽しむことができました。
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読む:ディベート「フォーマルは必要か、必要ではないか」
テーマの話し合いの中で「フォーマルは必要ないと思う」という発言から発展。
TCSではなぜフォーマルを着る機会があるのか、なぜ着なければならないのか。それはスタッフが決めたから?そういうルールだから?だとすればなぜそう決められた?
アンテナを働かせながら、TPOについても考えるきっかけとなりました。
それを「読む」の時間ではディベートしてみることに。
慣れないディベートという形式に戸惑いつつもやり終えたキッズからは「もっとやってみたい」「言いたいこと、言えばいいことがもっとあったのにな」と発言が止まりませんでした。
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ファッションショーの企画、始動!
ショーについてそれぞれが調査した情報を持ち寄りつつ、どんなショーにしていくかアイディアを出して行きました。
もちろん、それぞれの服装があってのこと。服装を紹介し合いながら、どの順番で、どのように立ち回っていくのか、じっくりと練っていきました。
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ファッションショーに向けた服選び
ネットで検索するだけでなく、実際にお店を訪問してみたり、渋谷のレンタルショップに訪問し、できるだけ多く試着を重ねて雰囲気や着心地を比べていきました。
何着もある服から、「いいな」と思う服はとりあえず試着!好きな服を洗練していきます。
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ゲスト:はんなによるウォーキング練習
「この瞬間だけは自分が一番かっこいいと思って歩く」
ウォーキングにおいては自信を持つことが一番大切と教わったキッズ。
まずは姿勢から見直して行きました。
歩き方一つとっても、男性らしさ、女性らしさが現れます。
違いは感じれるものの、いざ実演となるとこれまた難しい。それでもはんなから応援を受けて(特に男子の)練習に熱が入りました!
また、ターンなど細かいところにも拘りつつ、ショーに向けたイメージを膨らませて行きました。
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翌日もスクールで時間があれば練習!ショーに向けて気合が入ってきました!
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解説文作成
ペアになって読む/読まれる同士で文章を確認し、推敲していきました。書いた文章だとどうしても固くなってしまうので、読みながら文章の表現を修正していきます。
自分たちのショーという意識があるためか、表情は真剣そのもの。粘り強く磨き続けることができました。
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前日のリハーサル
実際にステージをセットして、場所と動きを細かく確認していきました。
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プレゼンテーション/ファッションショー
彼らが企画から練り上げたファッションショー の様子
Q&Aの様子
ショーの方針とはずれてしまったので登壇しませんでしたが、小野もスライドと曲、解説文までは一緒に準備を進めていました、、、!
ーーーふりかえりーーー
ファッションショーを終えて、ほっとした様子のキッズ。
周りの反応などから手応えを感じたようで、自分たちのショーについてはポジティブなふりかえりが多く出てきました。
・笑うことなく歩くことができた
これはショーに向けての大きなチャレンジでした。恥ずかしさや、なりきっている自分に照れて笑ってしまう場面が練習ではみられましたが、本番ではモードを変えて歩くことができたようです。
・解説文の読み上げ、棒読みにならなかった
練習中はどうしても読む、ことに集中してしまったので棒読みになりがちだったところ、本番では「ラストルックは〜」などアドリブが入ったりと読む役に入りき流ことができたようです。
もちろん、Better*もしっかりと振り返ります。
*Good & Better(良い点とより良くなる点)のTCS流ふりかえり
・ポーズの時間が短かったかも。もっと見せることができた
これはリハーサルなどを通じてポーズの時間を増やせないか、もっと見せることができないかと試行錯誤してきたのだけど、それでも「もっとじっくりとみたかった」というフィードバックがあったからこそ出てきました。もっと見たいと思ってもらえるショーだったと思う部分もありつつ、まだまだ演出という点では磨きようがあったと感じているようです。
・ポーズで迷ってしまった
最後まで迷っていたポーズ。止まって魅せる場面だからこそ、棒立ちではなく何か自分にあったポーズを考えていきました。同じようなファッションの人がどのように雑誌に載っているのか、まだまだリサーチの余地はあったと感じます。
6週間を経て、改めてセントラルアイディア「私たちは時代の流れの中で生きている。」について考えてみると、
・私たちは時流に流されている
これはテーマの開始時には時代の流れはあると思うけど、私は乗れない、と語っていたキッズ何人かも同感。今店頭に並んでいる服にも変化してきた変遷があり、そうした変化の中で私たちは服を選んでいる。むしろ選ばされているのかも。そんな発言もありました。
・一方で一気に変わる場面もある
流れ、というもののゆったりとした変化ではなく、時には事件が、時には誰か一人が大きく変えてしまうこともある、そんな発見が歴史にはありました。和服→洋服の変化はもちろん。ポロシャツといったら「この形」というフォーマットもターニングポイントが潜んでいる、そんな発見があったからこそ、時代ごとのファッションには背景がある、と感じられたようです。
・戻ることもある
進むだけではなく、時には昔のファッションに立ち戻る場面もあり、それが令和の今でも起きている。昔をみてみると、今では新しいと思えるファッションが隠れているからこそ、探してみる楽しさがあると発見したようです。令和のファッションもすぐに時代遅れ、となってしまうのでしょうか。
ファッションという切り口から歴史や私たちの生活、TPOなど様々な観点に触れてきた6週間。最後はファッションショーという形で自分を表現することができました。
さて、これから5年生のキッズたちはどんな服を着ていくのでしょうか。どんな影響を受けていくのでしょうか。
これからが楽しみです。
KO
(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。
・2024年度 年間プログラム(PDF)運用版
・テーマ学習一覧表(実施内容)