【探究領域】時空因縁
【セントラルアイディア】場には限りない「!(発見)」と「?(疑問)」のタネがある。
<テーマ学習> レポート
chapter①
このテーマ学習では私たちが普段意識しているしていないに関わらず、常に影響を受けている力学的な「力」の存在にフォーカスを当てていきます。
まずは初日に、子どもたちが「力」について知っていること・「力」と聞いてひらめくことをたくさん挙げてもらうところからスタートしました。
「はい!重力!」
意外と言いますか、早速重力が出てきてしまうところがおもしろいですね。しかしもちろん何がきても全然OKです。
「重力ってどんな力なの?」と尋ねてみました。
「重力ってねえ、星の中心にその星が引っ張る力なんだよ。だから地球に引っ張る力があって、その力に引っ張られてるからぼくたちは地面に立ってるんだよ。」とのこと。まずはそれだけ聞いて、話してくれたことをメタメタマップに発言そのままの言葉で書き連ねます。
「体の力!つまり筋肉のこと〜(笑)」
「太陽の力。あつくする力。」
「たしかに!!」と子どもたち。
18名のキッズが全員すごい勢いで挙手しています。
「仕事する力。うーーん。他の人と協力する力。」
「なるほど〜。」
「はい!目力(めじから)!」と自信満々のDくん。
「握力!」
「摩擦力。こすれて熱が出たり、削れたりする力。静電気も出るよね!?」と楽しい議論は3・4年生のエネルギーと共に止まることを知らず初日は59種類の色々な力について挙げることができました。
二日目、様々な「力」に関係する言葉が子どもたちから出てきましたが、このテーマ学習では自然界の「力」に絞って探究していくということをみんなに伝えました。
「力の保存・伝達・変換」というはたらきのそれぞれについてどのようなものが考えられるかディスカッションも行いました。
「たとえば投げたボールは飛んでいくよね。そのボールにはどんな力が加わっているのかな?」と私が問いかけました。
するともちろん一斉に元気よく手が上がります。なるべく3年生から当てていきます。
「投げる力だから腕の力!」
「つまり筋力!!」と自信満々の様子。
「じゃあその投げたボールはどうなるの?」と私。
「それはその内落ちるでしょ。」
「それは何が原因で落ちるのかな?」
「重力!!ボールが地球に引き寄せられて落ちるんだよー。」
「重力だけ?そのほかにはない?
「うーーーん。」と唸る子どもたち。
「あ!!空気の力!」
「空気の抵抗だ!新幹線も空気抵抗を最小限にするように設計されているんだよ。」
「走る時のスタートもそうだ!」
「アイススケートの選手も身体を低くして滑る!」
「スキーの直滑降もだね!」とイメージが広がる子どもたち。
「そのボールに力が加わって飛んでいく力のはたらきを”力の保存”っていうんだよ。それで力が保存されて飛んでいるボールが落ちるときに加わる重力や空気抵抗を”力の反保存”ていうんだ。」と私。
「はい!摩擦も反保存だね。」とある子がひらめきました。
「宇宙ではボールは反保存の力がないからどこまででも飛んでいくんだよね。すごいよね〜〜!!」と重力のおもしろさにも話は広がっていきました。
その翌日、今度は”力の変換”を学ぶために理科の実験とも連携して、”てこの原理”や”輪軸”について考えていきました。
実際に私たちが普段よく使う道具の中にもこれらの原理が応用されていることに気づくたびに仕組みを知る面白さにどんどんのめり込んでいくキッズたち。
そうです!これぞ極上のコネクティングドッツです!
今まで知らず使って、便利だと思っていた道具の中に応用されていた原理を知る面白さ◎この種の気づきの瞬間に寄り添えるとは本当に幸せなことです☆
ホッチキス、爪切り、釘抜き、トンカチ、穴あけパンチそしてドアetc。
「ドアも開け閉めする場所は必ず蝶番(ちょうつがい)から一番離れたところにあるね。ここを押せば簡単に開け閉めできるけど、蝶番(ちょうつがい)の側を押してもなかなか重たい扉は動かせないよね。」と話しながらドアを開け閉めしながら感動しているキッズたち。
「ドアノブみたいに半径が大きな円に力を加えて半径が小さな円を回すと簡単に回せるし、しかもその位置も距離が遠いところにすることで最小限の力で開け閉めできるんだね。すごーい!」
「ていうか世界中のドアは全部こうなっているよね。よっぽど筋トレしたい人以外はこれがベストだよね(笑)」
「あ!!ドライバーも輪軸じゃん!指のつまむ力だけじゃネジは回せないけど、ドライバーだと回せるもんね。すげーー!!」と大興奮。
二週目はそれらの原理をたくさん使った装置を実際に科学技術館へ見に行きます。現地・現物・現人のところに実際に足を運ぶことこそ探究の醍醐味です!!
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chapter②
2週目には北の丸公園内にある科学技術館へのフィールドワークを行いました。
科学技術館では身の回りにある物理法則について「見て、触って、体験する」をテーマに、沢山の展示物と体験型プログラムを通して科学技術の原理や応用を学ぶ事ができます。
私たちが目指す展示は5Fの「メカ」を中心に2〜4Fも見学してモーターやハンドルなど自動車・自転車にも使われている様々なギア(歯車)などの内側にも迫ります。
今回は9名ずつの2グループに分かれてじっくりと全員が触れて実感することを目的にしてゆっくり時間を過ごします。
ここでは基本的な機械要素(歯車・バネ・てこ・滑車etc)を応用した大掛かりな装置を体全体を使って体験することができます。
快晴の下、ひさしぶりのフィールドワークにみんなワクワクした様子です。皇居を眺めながらいざ科学技術館へ!
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こちらも大人気だったジャイロブランコ。遠心力の影響で、軌道を左右にふくらませながら振り子運動したりおもしろい動きをしてくれます。
特大歯車!!!!!何と25200000回手動のハンドルを回すとようやく大きな歯車が一回転するという仕組みです。
こちらは特大のピタゴラ装置。13kgもある鉄球を滑車やてこなど様々な仕掛けを用いて運ぶことを体験できるのでみんな釘付けです。
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どの子も存分に装置に触れて実際に動かして体感することができました。力の変換を応用した装置や道具の数々に触れ、今まで見ていたものが、まさに「築きにきづく」で構造が力を制していることを知った時のように奥深くそして面白く見えてくることでしょう。
それらの力の法則を活用した装置を実際に自分の手でつくり、仲間とのアルゴリズムを考えて大きなピタゴラ装置をいよいよつくるぞ〜〜〜!
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chapter③
これまでに「てこの原理」・「輪軸」・「滑車」・「歯車」など様々な力を応用した身の回りの道具や機械の存在に気がつくことができた子どもたち。いよいよ本テーマ学習のミッションであるピタゴラ装置づくりに取り掛かることになりました。
6名×3グループに分かれ、1人1装置を制作してグループのメンバーと最適な組み合わせ(順番)を考えて6つの装置を合体させて一つの大きなピタゴラ装置づくりに挑戦します!
まずは力学を応用した装置の設計図とフローチャートを作成し、必要な材料などを検討していきました。みんなに自分の装置について共有してからいよいよ実際に手を動かしていきます!
「見て!滑車を使ってビー玉を下から上に持ち上げる装置をつくるんだ!」
「円の中心に穴を空けるにはどうしたらいいかなあ?」
「そうだ!定規でシーソーをつくってみよう!シーソーはてこの原理の応用だよね!」
「外側の縁が小さくなればレールの上も脱線せずに曲がれるんだよね。これでよしっと!」
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「鉄琴の上をビー玉が走るようにすれば面白い音が鳴るかなあ。」
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chapter④
いよいよプレゼンを目前に控え、各チームのピタゴラ装置制作も佳境を迎えています。どの子も真剣な眼差しで装置の微調整を繰り返しています。
このミッションの最も難易度が高いところは6人のそれぞれに特徴が異なる装置をアルゴリズムを考えて組み合わせていく過程で前後の装置との繋がりに合わせた微調整をするところです。
つまり、例えば最初の装置は滑車でエレベータのようにビー玉を持ち上げて次の装置のレールに繋げる。そのレールを通ったビー玉が次の装置であるドミノを押す。そして押されたドミノが大きなビー玉を押して次の装置が動き始めるとします。その際にどの装置との連結もつながりやすいように高さやビー玉の転がる速度をコントロールする必要があります。場合によってはスピードを増すために角度をつけたり、速度が速いビー玉がレールから飛び出さないように壁を設ける工夫が必要な場合もあります。このような前後の装置との繋がりの調整でじっくりとイメージを共有し合った上でお互いが望む連結部分を制作するのが何よりも大変な作業となるのです。
うまくいかないことが続くと繋がり部分のメンバーのせいにして、時には強く非難してしまい、チームの雰囲気がギクシャクしてしまうなんていうこともしばしば。。。
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さあどうなるでしょうか!!?
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プレゼンテーション
この6週間高いモチベーションで取り組み続けてきたピタゴラ装置制作もいよいよタイムアップ。
ギリギリまで粘って調整を重ねてきた3チームの装置が本番でどのように動くのか、子どもたちもスタッフもドキドキです。きっとオーディエンスのみんなもワクワクドキドキの臨場感で見守って下さったことでしょう。
プレゼンテーションでは、各自の装置のこだわりと工夫や応用した力学について語り、いざピタゴラ装置のデモンストレーションを行いました。
子どもたちが粘り強く、そしていきいきと取り組み続けてきた様子を感じられるプレゼンテーションでした。
観客のキッズ、保護者からの質疑応答。我こそ!と元気に手を上げる子の多いこと。頼もしかったです。
YI
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(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。
・2022年度 年間プログラム(PDF)運用版
・テーマ学習一覧表(実施内容)