【探究領域】時空因縁
【セントラルアイディア】場には限りない「!(発見)」と「?(疑問)」のタネがある。
<テーマ学習> レポート 〜week 1〜
Tuning In 【地図ってなんだろう?】
まずは子どもたちの先行知識を探っていきます。
子どもたちの大半は「地図ってあんまりみたことないし見方がわからないー」と地図に対して興味はあるけどよくわからないものという感じです。
その中で面白かったのは「地図とマップって違うのー?」という疑問でした。「同じじゃないー?」というキッズもいれば「違うと思うよーだってディズニーランドにあるのはマップって書いてあったし。」と地図とマップの違う部分を探していました。「マップっていろんな乗り物の場所が書いてあったよー」とみたことがあるキッズは知っていることを語ってくれました。「でも山にあるのは地図だよね?!なにが違うんだろう??」
確かに地図とマップ…なぜ名前が違うのかは謎ですね。
〜week 2 〜
Finding Out 【TCS周辺を4方向に分けて探検する】
TCSを中心に4つのエリアに分けて探索をすることを知ったキッズたちは、すでにワクワクドキドキ。
このテーマを経験した先輩たちから「ココドコーーー?!ってならないようにね。」とすでにプレッシャーをかけられていました。すなわち「道に迷うなよー!」っていうことですね。
探索初日…(エリア南西部)
谷戸小学校〜TCS
まずは出発前に恒例の記念撮影♪
出発してすぐに地図で確認作業が始まりました。向かう方向の確認です。地図の情報を読み取れないながらも必死に向かう方向を見出していきます。
まだまだ視点が狭いのが良くわかる構図。
地図上には、さまざまな情報が表記されていますが、肝心な情報を見逃しています。
自身の現在地を知る上でお店の名前や道路の名前、その場所のランドマークが全く見えていません。このファミレスが確認できたら目的地はすぐそことわかるはずですが…..。
いいですねー道に迷ってます。
自分視点で必死に現在地と自分達が進んできた道のりをふりかえりながら、目的地を目指しています。でも時間との戦いもあるので焦りも出てくるしそんな中でリーダーシップが求められてきますね。
一旦止まって「さぁ、質問です!TCSはどっちの方向にありますか?」という問いに「あっちー!」「わからない…」とここで方向感覚に違いが表れていました。
探索2回目…..(エリア北東部)
明大中野高校裏の緑の場所〜TCS
この場所に立ち止まって10分が経過。
途中にあった住所の情報を完全に見ていませんでした。高い場所の情報は見落としがちなのは、子どもたちの視点が低い分視界に入っていないようです。
この辺りに気づいていけるようになると、得られる情報量も増えていくので、今後の課題の一つです。
途中に綺麗な家のブロックを発見して、「これ面白い!」と盛り上がっていました。
帰る直前、あるキッズが案内図(エリア地図)を発見!
「これ地図じゃない??」「ほんとだ!今いる場所が書いてある!」
でも縮尺が大きすぎて自分達の現在地はわかっても、そこからどこに向かったらいいのかは見つけられませんでした。
なんとかきた道を戻ることができましたが、今回の探索では進むべき距離の半分にも満たずに時間切れとなってしまいました。
スクールに戻ってからのふりかえりでは、時間の使い方と判断力が足りなかったことが失敗につながった。とふりかえっていました。
〜week 3〜
探索3回目…..(エリア北東部)
再チャレンジ
明大中野高校裏の緑の場所〜TCS
水色の場所を探索する条件付き
子どもたちの視野が広がってきたようです。
道に書いてある「文」のマークや標識に書いてある住所、そして周囲の様子にも目を向けられるようにな理、得られる情報が増えてきました。
緑の探索地に無事到着しました。
ふりかえりでは、現在地の確認をたくさんしたこと!立ち止まっている時間が短くて判断ができたこと!全員で方向の確認ができたこと!などグッドが増えてきましたね。
その後、休憩がわりに遊具で遊んでみました。
水色の探索地点は「桃園第二小学校のプール」でした。
探索4回目…..(エリア北西部)
中野ブロードウェイ〜TCS
緑の場所の探索条件付き
この日の足取りはいつもよりも軽やかでした。自信とスキルアップによってモチベーションが上がっているようです。
緑の場所は公園でした。
すみれが咲いているから「すみれ公園」かなぁ。
発見できて上機嫌でした。
とにかく今回は立ち止まる時間も短く、全員で現在地の確認をしたり、自分視点で見つけた情報をシェアして、全員がココがドコか把握して進んでいたことが印象的でした。
あるキッズが「道の角度を見て方向がわかるようになった!」と言ってくれたのは驚きでした。角度を見て方向を把握していることに新しい発見がありましたね!
見事、制限時間30秒前に到着できてご満悦の一行。
時間管理も見事にやってのけました。途中で「あと何分だから少し急ぐよー」と声掛けして全体で時間も管理していました。
「自分視点」「俯瞰視点」
探索を続けていく中で自分視点は磨かれてきています。がまだ地図と自身の現在位置を把握していくことが難しいようです。
ここでセントラルアイディアにもある俯瞰して全体を見る目(トリの目)とは何かを探究していきます。
まずは東京の街並みをトリの目で見てみよう!と言うことで「東京空撮映像」をみんなで見てみました。
その中で子どもたちがまず感じたことが、「上から見ると地図みたい!」と「建物の形が違う!」とみたこともない視点の映像に興奮していました。
「ってことは地図ってトリの目で見たものなんだ!」と地図とトリの目がリンクした瞬間でした。
「じゃあ次は鳥になったつもりで街歩きしてみよう!」と声を揃えて話していました。
自分視点と俯瞰視点を身につけ始めた一行は、中野エリア南西部を探索に出かけました。
このエリアは土地の高低差もあり、さらに天気も雨模様の中どれだけ情報を手に入れ理解し判断できるかが試される1日となりました。
子どもたちの視点は地図を見る段階で変化が見られました。
「このビルは上から見るとこの形じゃないかな?だから今ここにいるんじゃない?」「近くに道があるから、これがそこの道かも!」と自分視点と俯瞰視点を自然に使い始めていることが大きな成長ですね!
ふりかえりでも、「今日は地図がよく見えた!」「地図の見方がわかってきた!」と地図を見ることが楽しくなってきたようです。
地図記号と方角と方向
ここで子どもたちの疑問は「この地図に書いてある記号ってなんだろう?」「学校に文って記号がついてる!」と地図に載っている情報に目が向いていました。
そこであるキッズが「僕調べてきたよ!」とマップに載っている地図記号を紹介してくれました。「そういえば道路にも文が書いてあった!」と発見したことをシェアしてくれました。
そして方角と方位も重要な情報の一つ。
「東西南北ってなんだろう?」「なんで方角って決まってるの?」と疑問が湧いてきた子どもたち。「地図にNって書いてある!」「Nってノースじゃない?」といろんな子どもたちが持っている知識が出てくる出てくる!
と地図記号、方角と方向を学んでさらに地図から情報を得ていくことが可能になりました。
TCS周辺のマップ作りの準備
発見したポイントの情報を整理しながら、徐々にアウトプットのオリジナルマップを制作準備していきます。
・地図に書くために、どんな情報が必要なんだろう?
・正確な地図を書くにはどうしたらいいかな?
と、今回のアウトプットの地図についてディスカッションしていきました。とにかく正確な地図を書くことを忘れずに書こう!ということでスタートしました。
今回は模造紙4枚分に中野エリアを書いていきます。
直線と曲線、道路の長さや太さ、ランドマークの正確な場所など、正確な地図にするための条件は厳しいものです。
子どもたちの口からは「地図を書くって大変!」と口を揃えて話していました。
でも発表するための地図に手を抜くことは許されません。
さっと簡単に書いてしまいがちな直線も定規を使い、綺麗に下書きしていきます。
書いている地図を椅子の上から全体を見渡して、性格に欠けているかどうか確認しながら書いていました。
TCS周辺マップの制作
さらに必要な情報を手に入れるためにフィールドワークに行きました。
新たな情報としては距離を「歩」で表示してある看板や「文」のマークがまた見つかったなど、自分視点での広がりも垣間見れました。
「歩」と「距離m」の違いは知っている2年生ですが、看板の歩はだれの歩なのか気になっているあたりは学びから生まれた疑問ですね!
地図を持って歩く姿は、迷う心配もなんのその、自分達が目指す方向に向けて自信を持って進めるようになっていました。以前は、迷ったときに立ち止まってずっと動けませんでしたが、みんなで共有して判断できるようになりました。
制作したマップを発表する
いよいよプレゼンテーションです。
前日の放課後までかけてじっくり制作してきました。
発表の練習も自主的に行なってきました。あとは発表を残すのみ。
アンテナポイントを一人ずつ語っていきます。
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プレゼンテーションの様子
みんなの地図 By G2
後記
今回のテーマでは、一人ひとりの持っている空間認識のスキルやコミュニケーションスキルをじっくり観察することができました。
子どもたちから見える景色は大人のそれとは違っていて、視点が低かったり、視野が狭かったりと子供と同じ視線に立ってみないと見えないこともたくさんあります。
その部分を一緒に感じて、どう考えどのように行動していくか、そこが重要なポイントの探究でした。
時間管理、方向感覚、奇跡の記憶など普段無意識の部分を、意識化して使い磨いていく、とてもいい体験の場です。
2年生として視野を広げ、視点を自分視点から俯瞰視点まで使えるようにしていくこのテーマ。
このテーマを終えた時の子どもたちの視点や観点に大きな変化が感じられました。
ここからさらに子どもたちのPerspectiveに磨きがかかっていくことを期待しています。
HM
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(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。・2022年度 年間プログラム(PDF)運用版
・テーマ学習一覧表(実施内容)