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「Dear Editor」5年6年生 テーマ学習 レポート1

【探究領域】意思表現
【セントラルアイディア】編集によって情報の価値は変わる。

<テーマ学習>レポート1

「Dear Editor」は、ここ数年、TCSキッズの文集制作をする定番となりつつあるテーマ学習です(もちろんその内容はプレゼンテーションで披露します)。そのため、5・6年の子どもたちは「今度は自分たちがやる番」「パソコンをカチカチやる感じ」「てっちゃんが楽書き大賞になった」というざっくりとしたイメージを持っていました。

自分の作文を編集してもらった立場から、印象に残っていることをあげていくと、

「登場人物の名前をつけていなかったら、「名前、どうする?」って言われた。」
「何行かバッサリ切られたけど、内容は変わらなかった。どうして切っていいってわかったのか、すごいと思う。」
「点とか丸とか、誤字脱字を直してもらった。」

一方で、「変えてもらったとこなんて何もなかったよ。」といった意見も。

こうした違いは、果たして編集者によって出てくるものなのでしょうか。今の時点ではまだまだ読めないところであります。

下の写真は、ここ数年のTCS文集。

「文集の名前も面白いよね。」と過去の文集のタイトルも話題に出てきました。

『ドこどもドア』『子どもに鉛筆持たせれば』『ホットケーキ』

スクールの本棚に置いてあるので、読書やフリーの時間に手にとって読んでいる子も多々います。どんな意味が込められているかすべてはわからなくても、それぞれ編集者たちのこだわりや思いが詰まっていることは察しがつきます。

自分たちの手でみんなの作品をひとつの本にする。これが今回のミッションであります。

ただ、文集をつくることは目的ではなく、手段にすぎません。学んでほしいことは、「編集によって情報の価値は変わる」ということ。キッズの作品は面白さの詰まった原石であります。自分たちがいかにして磨けばいいのかを模索し、読者にその魅力を伝えるために試行錯誤していくことを通して、この概念を身に染みて感じていってほしいと思っています。

「身に染みて」というのがポイントでして、いくら頭で「作家、編集者の心を相手に伝える」とわかっていても、自分事にならなければ、本物の力にはなりません。こちらからの問いかけに聞かれたら答えるけれど、自ら発問したり、他者の意見と絡めて考えていこうとしなかったり、考えることを楽しむより、目先の欲望に流されてしまうと、学びのサイクルは止まってしまいます。高学年のテーマは、それだけ自律も求められています。

テーマ初日。この日は保護者参観週間の初日でもありました。

オンライン中継であったため、教室内にはiPadを設置。自分たちが見られていることは知っている状態の中、いつも通りの雰囲気の中、授業は始まりました。いいたいことはいいやすい環境下。でも、「自分たちの心を相手に伝える」といった発言者がいるときに、カメラに向かってふざけてしまうのは、話が自分事になっていない現れでありました。

その態度は、どういう情報を相手に送っていることになるのだろうか。

そこまで考えることなくして行動していては、このテーマには挑めません。

「人への伝わり方」、それは相手の心に編集されて伝わっていきます。他者の態度や言動から、人は自然に読み取りをします。読み取り方は人それぞれ。ただ、どう読み取ってほしいかを意識し、発信者側が編集することによって、伝わる中身、価値は変わっていきます。

編集のよさも怖さも知るいい機会となればいいなと思った次第です。

では、どんな相手にどんな文集を発信していきたいのか。

わたあめ編集者たちによる企画会議をしていきました。

読んでほしい対象者は?

ファンタジーを読まない人、毎日機械的な同じ生活をしている人、生真面目な人、社会のルール、常識に縛られた大人、面白さを求めている大人

などなど、どうやら大人に読んでほしいといったイメージをもっている様子。

こんな文集にしたい?

心の底から読んで楽しめる本

どんどん読み進めたくなる本

どの作品を読んでも思っている以上に面白い本

「これって、駄菓子屋のときと同じことしてるみたい」との声。

確かに、協働で何かを創造していくときには、同じ方向性をもつために、こうした軸を決めることが必要になり、やっていることも似ていれば、楽しんでほしいという思いも似ています。

楽しさ・面白さをより伝わりやすくすることが、今回、自分たちの仕事となるわけです。作家さんたちは47人。一人一作品ずつ掲載します。編集者1人あたり、3ないし4人を担当します。ウォーミングアップも兼ねて、まずは、わたあめクラスの中で作品を読み合ってみました。

日頃あまり接点のない人の担当に当たれば、その人の面白さを知ることがでできるチャンスにもなります。

「普段、話してないから気を使いそう。」

「低学年は未知で楽しみ。」

「こだわりがあると思うから、?と思ったらなんでも聞こうと思う。」

「読むのが大変そう。でも、楽しみ。」

「打ち込みも大変そう。」
「でも、タイピングの練習になるよ。」

まさに、ドキドキワクワクといった感じでしょうか。つら楽しさを予見できているようにも見えます。

作品のよさが最大限に読者に伝わるかどうかは、自分次第。今回、特に発揮していきたいスピリットは、仲間と担当作家と創造していく「LoveとHarmony」でありますが、その前提として、欠かせないのはOwnershipであります。自分の言動がどういう伝わり方をするのか、作家との対話で問われます。いよいよ文集づくりのスタートです。

AN

(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。
2020年度 年間プログラム(PDF)運用版
テーマ学習一覧表(実施内容)

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