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「Borderless World」5年 テーマ学習 レポート2

【探究領域】共存共生
【セントラルアイディア】互いの人権・自由・正義の尊重が平和の基礎となる。

<テーマ学習 レポート>

ざっと目を通した「世界人権宣言」でしたが、そもそもこの宣言が出されることになったのは、なぜなのでしょう。

イギリスのマグナ・カルタ、アメリカの独立宣言、フランス革命など、世界の人権をめぐる歴史を遡っていくと、どうやら先日子どもたちが抱いた疑問同様、昔は<一部の人たち>にしか認められていなかった権利がたくさんありました。しかし、<民>の強い意思と行動により、一般市民がじわりじわりとその権利を獲得していったことを知ると、子どもたちも改めて「民の力」のすごさに感心している様子。

しかし、世界中の国々を巻き込み分断と崩壊のきっかけをつくってしまった第二次世界大戦中。ナチスドイツの迫害のように、<民>がないがしろにされ、中には人間とは認められない人たちもいた事実を知り、「ひどいよ!」と憤る子どもたち。

まさに彼らの反応同様、当時国連に加盟していた国もこの過ちを二度と起こさせない!と強く決心したがゆえに、「世界人権宣言」が採択されたというわけなのです。

という視点で、もう一度人権パスポートを見てみると、子どもたちが逆に印象に残らなかった・引っかからなかった箇所が気になり始めました。

「ねぇ、前回誰からも上がってこなかった箇所ってどこだっけ?」

”第4条 奴隷はいやだ”
”第15条 どこの国がいい?”
”第17条 財産を持つ”
”第27条 楽しい暮らし” などなど。

その理由を聞いてみると、
「だって、日本では普通じゃん。奴隷なんてないし共感しにくい。財産を持ったり楽しい暮らしをするのも、そりゃそうだよねって感じ」とのこと。

なるほど、まさにそうですよね。なに当たり前のこと言っちゃってるの?なんてことは、誰も特に引っかかりもしないわけですよね。

じゃ、なんでわざわざ当たり前のことを宣言する必要があるの?」

ここに、今回の視点変換のポイントがある。そこで子どもたちの”当たり前”を刺激してみます。

「世界には日本と違う国があるわけで、自分の当たり前とみんなの当たり前が違うから」

「当たり前を、みんなの当たり前にしていくため」

「全部の国で同じことを思えたらいいよね」

「そう考えると、なんて日本は平和なんだ・・・。これから自分たちが楽しくスキー合宿に行くと考えるとなんだか・・・・」

まさにその通り。場所や時代も遠いどこかの話ではなく、自分たちの身近に話をつなげようとする姿も垣間見られてきました。自分たちの当たり前を当たり前と思えない国や人たちがいる、その現実に改めて気付き始めます。

では、今現在、世界にはどんな問題が横たわっているのでしょうか。

中でも、「人権が脅かされているな」と感じるニュースや時事問題に注目し、子どもたちと一緒に集めていくことにしました。

それを壁に貼り付けて、Sharp zoneに世界人権報道ルームをつくり、これから様々な問題についてアツく考えを交わしていく予定です。

MK


(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。
2019年度 年間プログラム(PDF)テーマ学習一覧表(実施内容)

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