タイトル:Zone
探究領域:自主自律
セントラルアイディア:過ぎたるは及ばざるがごとし。
[3・4年生]
どのくらいがんばって体を動かしているか。
気持ちではなく、体が訴えている数値で判断。
60%の運動強度なら、それはがんばった“つもり”にとどまってしまい、
体はまだまだがんばれると示しています。
90%なら、これはやりすぎだぞ!と体が警告を鳴らしていることになります。
今日はがんばって80%まであげてみよう。
風邪ひいているから60%でやめておこう。
自分の体を自分でコントロールできるようになると、
そのときの「ちょうどよさ」が見えてくる。
自分の幅のどの位置にいるのかが見えてくる。
モヤモヤした状態から、自分の位置、範囲をクリアにしていくこと、
それが今回追究している「Zone」なのであります。
自分の運動強度を知るのは、ひとつの「Zone」。
今週から別の「Zone」を加えていくことで、
いったい「Zone」とは何なのかを問うきっかけをつくっていきます。
今週目指していったことは、体の部分を意識してそれらをバランスよく使うこと。
体の軸を意識しながら、全体を使っていくことで動き方が変わるといいます。
まずは、軸がどこにあるのか、そして軸を中心とした幅をつかむことに挑戦です。
体幹ランニングの『こけし走り』を参考にいくつかの練習メニューを試してみました。
毎日コツコツ続けることで意識しなくても体が軸を目指して動かせるようになってくれば、体の運び方が変わり、結果、速く走れるようになる。
それを信じて実践あるのみです。
多方向ダッシュの一場面。
方向を変えるときに一時停止しバランスをとります。
「ちゃんと止まって!」「止まってるよ。」
「止まれてないよ。」
できているつもりになっているところをお互いに見て修正していきます。
今回のテーマは運動ばかり?そんなことはありません。全身を動かさなくても自分の幅を知ることはできます。並行して、脳をバランスよく使って自分の持っている記憶の幅をみていきます。
30個の言葉を3分間でどれだけ覚えられるか試してみます。
「えんぴつ、切手、にじ、カーペット、桃、キャップ、星、観察、金、時計・・・」
声に出して呪文のように唱えて暗記する方法をとっている子が多いようです。
でも、この方法ではどんなにがんばっても3分で30個を覚えきることはできません。
それは個人の問題ではなく使い方の問題。「言葉」だけをインプットしようと脳の一部分しか使っていないことに原因があるのです。
いわゆる「記憶術」のひとつ、脳の様々な部分を刺激するよう五感を使って覚える方法を利用してみました。自分が普段記憶している通学路だったり、部屋の中といった空間をイメージしながら、特定のポイントを決めて覚えたい「言葉」を実物にして置いていきます。思い出すときはそのルートを辿りながらポイントに何が置かれるかを確認していくのです。現実的でないものを想像するほど強く記憶に残っていくため、考えるのも楽しくなります。
玄関にえんぴつが散らばっていて、リビングに入ると大きな切手のカーテンがあって、机が虹色模様になっちゃってる。ベッドに行くと、桃の匂いがしてくる。
こんな感じに面白くイメージをつくっていくと、いつものルートを辿ることで「言葉」が順番に記憶されていきます。
「すごいよ、30個覚えられた!」
「俺もできた。」
「ひとつだけ抜かしちゃったけど、あとは覚えてる!」
丸暗記で苦労したよりも、楽に多くの言葉が記憶されていることを実感。
抜けてしまったところはポイントの設定をもっと印象強いものに変えることで改善されます。自分の持っている幅が使い方次第でぐっと広がります。
「この方法、漢字にも使えないかな。」
「百人一首をこれで覚えてみようかな。」
「数字を覚えるときも使えるの?」
子どもたちの実感から、活かしてみたいという思いが次々に出てきています。早速、家で『寿限無』をルートを使って覚えてみたという子も。
体も頭も無意識のうちに偏った使い方をしていることで幅が決まってしまっている。
それで自分はここまでしかできないと思うのは、まさに宝の持ち腐れなのでしょう。
持っているものをバランスよく使うことを意識化し、それが練習によって無意識化のレベルまでにいくと幅は広がっていく。
テーマ後半戦では、自分の「Zone」をどれだけ広げていけるか追っていきます。
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