特定非営利活動法人 東京コミュニティスクール

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法則を活かしてつくる

タイトル:理して利する
探究領域:万象究理
セントラルアイディア:則を学びて行わざれば即ち罔し、行いて則を学ばざれば即ち殆し

[3・4年生]

「ピタゴラ装置つくるんでしょ」

子どもたちはテーマが始まる前から興奮気味です。Eテレの番組『ピタゴラスイッチ』は、子どもにも大人にも超人気。なかでも身の回りにあるものを使ってつくったからくり装置であるピタゴラ装置のコーナーは、奇想天外な工夫に目を奪われます。

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今回、テーマ学習の時間に『ピタゴラ装置』をつくろうというのですから、子どもたちは盛り上がらないわけがありません。

もちろん遊び心を全開に探究を進めますが、だからといってなんでもあり!ではないところがテーマ学習の肝です。例によってセントラルアイディアと呼ばれる「ビッグコンセプト」を追究するためにピタゴラ装置づくりに取り組みます。

則を学びて行わざれば即ち罔し、行いて則を学ばざれば即ち殆し

お気づきだとは思いますが、『論語』の「学びて思わざれば則ち罔(くら)し、思いて学ばざれば則ち殆(あやう)し」を借りたものです。ただ教わるだけで考えないのはいけないし、ただ考えるだけでしっかり教わらないのもいけない。それと同じように、やみくもにただつくるのではなく、そこにどんな原理=則を活かしたかを意識して設計できないといけない。理科で習う「原理」を活かして、自分たちなりの面白装置をつくりあげるのが今回のミッションです。

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ピタゴラ装置については、仕組みを大解説する番組や、作り方を解説するアカデミアという番組がつくられているので、それを視聴して、いったいどんなふうな工夫がなされているのか知るところからスタートします。子どもたちは、ワザを盗もうと食い入るように画面に集中します。

「ああやって回転数を増やしているんだ」

下敷きのようにツルツルした面の上にビー玉を転がすと空回りして回転数が増し、面を滑り終わった後、スピードを増してビー玉が飛び出すことを知って大興奮。

「投石器ってこうつくるんだ」

針金とプラスチックのスプーンを使って、ビー玉を飛ばすカタパルト(=投石器)がつくれることを知りました。

「うちにあるあれ使えるかな?」

映像を見終わると、子どもたちの頭の中は、家にある何を使えるか……で頭がいっぱいになっている様子。完全に「つくる気満々モード」です。

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翌日、それぞれの子どもが、家から装置づくりに使えそうなものを持ってきていました。

昔使って今つかわないおもちゃ……積み木、プラレール。ペットボトル。毛糸。ハンガー。ドミノを持ってきている子もいるぞ。ミシンのボビンもある。割り箸は基本アイテムだな。あっという間に机の上が素材でいっぱいになりました。

つくりた〜い!という強い気持ちを殺すことなく、だからといってただ突っ走るのでもなく、いかに原理を活かした装置をつくってもらうか。そのためのフォーミュラを示します。

「F-1と同じだね」

レーシングカーの好きな男の子はすぐわかります。F-1の F はフォーミュラの F 。ただ速い車だったらなんでもよいのはなく、一定のルール=フォーミュラを満たした車=装置が「参加」できるというわけです。面白がる遊びにルール・制約はつきもの。では今回のピタゴラ装置をつくるうえでの「フォーミュラ=ルール」は……

まず、理科実験で習った仕組みを使います。それは、てこ、てんびん、滑車、輪軸です。これらの仕組みをうまく使って、下から上へあがったり、重い物を小さい力で持ち上げたりしながらビー玉や鉄球を転がすことができれば得点を獲得できます。まるでフィギユアスケートの「採点」のように「技術点」が加点されます。

つぎに、設計図が書けることも重要な条件です。こう道をつけて、こんな装置をかませるとこう動いて、こう転がり、最後にこうなる……ということをきちんと予測し、正確かつ丁寧に設計し、その通りに装置が作動させることを目指します。

もちろん、映像で見た「ピタゴラ装置」に用いられているワザを真似して使ってみることも条件のひとつ。そして、細かいところまで仕上げにこだわること。そして、お金をかけず、身のまわりにある素材を活用することも必要です。

「こうした条件が基本で後は自分なりの工夫はどんどん加えていいし、面白い、愉快なところもどんどん入れてね」

子どもたちはこれらの条件をメモします。手で書きつつも頭の中にはどんな装置をつくってみたいかのイメージがわいてきているようです。早速、来週から設計図づくりと試作品づくりに入ります。

RI

TCS2016年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

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