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トウキョウダルマガエルから見る「おたがいさま」

タイトル:おたがいさま
探究領域:共存共生
セントラルアイディア:生態系の中で生き物は互いに影響し合っている。

[1・2年生]

部屋の中で「絶滅危惧種」、「外来種」について話しているだけでは、実際の「生態系」で起きている相互作用や『おたがいさま』の関係性について体感を持って面白さを感じることはできない!

ということで、今週はフィールドワーク!
ちょうど、井の頭自然文化園にある水生物館で行なわれている『現代 トウキョウダルマガエル事情』という特設展示に行ってきました。

トウキョウダルマガエルとは、50年ほど前は東京の田んぼならどこにでもいたカエルで、今は様々な影響を受けて、絶滅に瀕しているカエルです。
今回の展示では、どんな要因が彼らを絶滅に追いやることになってしまったのか、とてもわかりやすい絵や写真、そして実際の生物を展示することで、とても詳細に説明されていました。

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そこには衝撃の事実がたくさん。
・2014年現在、50年前に比べトウキョウダルマガエルの数は、10分の1以下になっている
・それと同様に、トウキョウダルマガエルの住処である、田んぼの数も、10分の1以下になっている
・それ加え、ナマズやアライグマなど、ダルマガエルを襲い、食べてしまう外来種が劇的に増えた
・水路がコンクリートになってしまったため、手に吸盤のないダルマガエルは、一度水路に落ちてしまうと這い上がれなくなってしまう
などなど、複数の要因が複雑に絡み合って存在することに、気づきはじめたこどもたち。

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「え、じゃあ、なんで田んぼは減ってしまったの?」
「あ、東京に人が増えて、家がたりなくなってしまったって、ここに書いてあるよ!」
「う〜〜〜ん、じゃあなんでわざわざ田んぼをつぶしちゃったわけ?生き物たくさんいるのに。」
「あ、家が足りなくなっちゃって大変で、ダルマガエルとか田んぼに住んでる生き物が生きられなくなっちゃうって、知らなかったんじゃない?」
「たしかに〜!」
「じゃあさ、また田んぼ増やせばいいじゃない!」
「でも、どうやって?」
「今街になってる部分につくればいいんじゃないの?ビルとか壊して。」
「うーん、でも人がいっぱいいて、場所がないから田んぼをつぶして、お家を建てたのに、そんなのできっこないんじゃない?」

という子供たちの会話から、「人」が生態系に大きな影響を与えていることに気がつき始じめ、様々な問題には原因があり、直線的にそれらがつながっているわけではないということにも気づき始めたことがわかります。

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また、水生物園の展示の中には、井の頭池の今と昔を比較するものがあり、なんと今の池には、日本にはもともといなかった「外来種」のオオクチバス、ブルーギル、カミツキガメがいることを知りました。
なんで、こんなところにアマゾン川にいるような大きくて、獰猛な生き物がいるのか?
という疑問が、当然のようにこどもたちからの湧いてきます。

「誰かが飼えなくなったから、池に捨ててしまったって、ここに書いてあるよ〜!」
と展示の端に書かれた説明書きを読んでくれたこどもがいました。
「最初は小さくて、かわいかったけど、水槽も彼らにとっては小さすぎるものになってしまうくらい、どんどん成長しちゃって、飼うのが大変になって、飼えなくなっちゃったんじゃない?」

それを聞いていた子の中には
「それを買ったところに返せばいいのに!」
「いや、そんな危ない外来種は、外国に持ってっちゃえばいいんだ!」
「え、でもそんなことしたら、その外国の在来種も喰われちゃうんじゃない?」
「じゃあ、その外来種の仲間たちがいるところに話せばいいんだよ〜!」

と話していていて、外来種は見方によっては在来種になりえること、また外来種はただの悪いやつ!という概念から離れ、一体どんなものなのかわからなくなってきたという『認識のゆらぎ』が怒っていることが、手に取るようにわかりました。

今週は、全体で「トウキョウダルマガエル」を題材に、生態系の中の相互作用関係について見てきたわけですが、来週からは、いよいよ個人でじぶんが「面白い!」と思った外来種についてフィールドワークを行い、調べた上で、その外来種をとりまく生態系内の「おたがいさまの関係」を見ていきます。

ES

TCS2016年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

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