タイトル:限りある資源、限りなき欲求
探究領域:共存共生
セントラルアイディア:「地球資源の持続可能性は人間の選択に委ねられている。」
[3・4年生]
自分たちが生活の中で何気なく使っているエネルギー資源。
利用しているエネルギーには種類があること、その資源は化石燃料が大半を占めていること、しかし、日本にはその資源がほとんどないことを知り、今週も新たな資料を読み解いていきます。
「世界の中でエネルギーを多く使っているのは中国なんだ、22%でアメリカの16%より多い。」
「それは、中国の方が人口が多いからじゃないの?」
「世界の人口は中国が19%で、インドが18%。そんなに違わないんだ。」
「でも、インドのエネルギー消費量は6%でアメリカより少ない。」
「エネルギー使ってないってこと?」
「アメリカは世界の人口の4%だから、エネルギーはたくさん使ってることになる?」
世界の人口とエネルギー消費量の円グラフを見ると、中国のエネルギー消費量が多いのは人口が多いということにつながることがわかると同時に、人口の多さと消費量が必ずしも一致しないことがわかってきます。
一人当たりの一次エネルギー消費量を見ると、中国よりも日本の方が消費しているが見えてきます。
「やっぱりインドは使ってない方なんだ。」
「カナダとかアメリカとかロシアは自分の国に化石燃料が埋まってるから多く使ってるんじゃない?」
先週、化石燃料の埋蔵量を確認して主要な国を覚えていた子がつぶやくと、「そうだっけ?」と資料を読み返す子が出てきます。それぞれが自分の目で確認しながら、意見を言おうとしていることが伝わってきます。
埋蔵量がつながってきたところで、エネルギー自給率やOPECについて確認していきました。
日本のエネルギー自給率は、原子力を含めなければ4%と書かれています。
「96%は外からもらってるんだ。」
「ロシアは100を超えてる。」「化石燃料が埋まってるからだ。」
こうなると、日本はエネルギー資源がないのに、その消費量は多い国ということになってきます。ただ、日本にも石油や石炭、天然ガスのとれる場所があることも見ていきました。炭鉱に関しては、北海道と九州に多くありましたが現在では北海道に一ヶ所だけになっています。
「炭鉱は危ないから減ったのかな?」
「日本も昔は石炭をたくさん使ってた?」
日本の原油輸入量のグラフとともに、海外からの化石燃料依存度の変遷を見ていきました。
経済成長とともにエネルギー消費量も増え、2回の石油ショックを受けてエネルギーバランスを考えるようになります。ただ、なぜこれほどまでにエネルギー資源を消費してしまうのか、子どもたちもモヤモヤしているようです。
「OPECは、石油のとれる国が損しないように作られたのに、そのOPECが値上げするって
やっぱり自分たちの欲を考えてるんじゃないの?」
「音楽のとき、下のパートは上のパートにつられちゃう。上の方が楽だから、みんな上のパートがいいっていうんでしょ。」
「楽しいことしかしなかったり、楽したかったりするのって人間の欲求だよね。」
「人間は便利が好きなんだ。」
「アフリカで電気を使わない工夫をしている人たちがいるって聞いたことあるよ。」
「サバイバル生活遊びは楽しいよ。」
「歌の練習だって、難しいのも楽しいよ。」
「手作りも楽しいけど、作ったものを買うのも楽しい。」
「ロボットが作った方がミスしない。信頼できる。」
「電気を使った方が火事にならなくて安全。」
工夫する楽しさも知りつつ、やっぱり便利な方がいいし、楽できるなら楽したいのも本音。自分たち自身の中にもある「限りない欲求」を認めざるを得ない現状に直面します。
毎週末、その週に学んだことをA3用紙1枚にまとめる作業をしています。
そこには、わかったこと、わからないこと、思いや疑問も書かれています。
「ぼくたちは、なんでエネルギーをたくさん使うんだ?
気にしないでいるから?
欲求かな?
エネルギーを無駄に使うのはよくないと思うけど、エネルギーは必要だと思う。
でも、それはだんだん欲求になるのかな?
いっぱい使うと欲求になっちゃう。」
来週は、自分たちが日々の生活の中で実際どれくらいのエネルギーを消費しているのかを探っていきます。
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※TCS2015年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。