特定非営利活動法人 東京コミュニティスクール

東京コミュニティスクール

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東京コミュニティスクール

お蔭を見に行こう

タイトル:おかげさま
探究領域:社会寄与
セントラルアイディア:「私たちはみんなのおかげで生きている。」

[1年生]

先週はそれぞれ家でのお弁当作りという蔭を見てきました。
子どもたちの昼食はたいていが持参してくるお弁当ですが、週に一度は外部注文をして全員で同じお弁当をいただいています。同じお弁当作りでも、商品として配達されているお弁当は作り方が違うのでしょうか。

どんな違いがあるのか、家での観察をもとに推測してみます。
一人がジェスチャーを始めます。「トントンシュッってどんどん隣に渡してく。」
材料を切る作業、焼く作業、詰める作業。次々と別の人が違う作業をする様子を一人で演じています。
それを見て、ほかの子たちも反応します。
「バケツリレーみたいなやつ!」「それそれ、バケツリレー!」と盛り上がります。
と言うことは、一人で作ってないってこと?
「100人くらい?」「たくさん作るから大勢で作っている。」
「あと、マスクしてる。頭にカチッとするの着けてる。」
「キャップのこと?」「そうそう。」
おうちの人もマスクしてお弁当を作っているの?と尋ねると、
「してないよ。だって、自分の子どもにしか作ってないから。」
「お店とかでは、そうだよ。見たことある。」
同じお弁当作りでも、家庭で作るのとは違う。
それは、知らない誰か、それも多数の人に届けるためだからと、人数・相手に応じて
動作が変わることを予測していました。

IMGP5318.jpg実際にいってみて、3つの分類をもとに観察していきます。
見学先は、旧校舎の近所にある救世軍ブース記念病院のカフェテリアです。
子どもたちの中から思わず出た第一声は「保守」でした。
「保守だ!エプロン、マスク、手袋!」すると、
「あれも保守。お玉を守るためのやつ(置き物)がある。」

IMGP5317.jpg
最初は、一人言のように発見をつぶやいていましたが、慣れてくると、
目の前で作業をしている人に質問をしていきます。
「何食くらい作っているんですか?」
「冷蔵庫っていくつあるの?」
「作っている人は全部で何人ですか?」
そのうち、周りを見回し、「ここは何ですか?」と移動していきます。

IMGP5319.jpg
洗い場です。
今は作っている最中なので、洗い物はないようです。
わざわざトレーを洗浄機にかけてくださいました。
自動で出てくる水や底面が動いていく機械に目をみはります。

IMGP5332.jpg最後に、見学を案内してくださった責任者の方に、自分たちの学習している内容を伝え、発表用に使うための手型を採らせていただきました。
見えないところでお世話になっている人の手型を集め、その手の中に観察したことを記録していきます。
作業中にも関わらず、親切に対応してくださった、カフェテリアのみなさま、どうもありがとうございました。

スクールに戻り、早速、作業に入ります。
どんなことをしていたのかを思い出しながら、手型シートに記入していきます。
「チキンに卵をつける。創造。」「その前に卵がつくように粉をつけてた。これは保守。」
「冷凍室はマイナス15度なんだって。買ったものを守るから保守。」
見たことだけでなく、質問して答えてもらったことや、聞いた話も織り交ぜていきます。
「材料を買うっていうのは、運動だ。」友達の発言からも次々に動作が出てきます。
「蔭の蔭、見つけたよ。ニワトリを育てる!」以前、お弁当箱の起源を辿ったときのように、作業の前にしていることを連想した意見まで出てきます。

  IMGP5341.jpg

ひとつの動作をひとつのシートに書いていきます。鉛筆で下書きをして、マジックでなぞる。ハサミで切り取り、大きな模造紙に貼っていく。「これ、大変だー。」という子どもたち。ふと、思い立ったように、ある子が「救世軍の人たちみたいに、切る人、書く人に分かれてやらない?」と提案してきました。調理場で働いている人たちが分担作業をしていたことは、見学前の予想と当たっていました。でも、大勢ではなく7名ほどで手際よくなされていました。自分たちも総勢6人。作業していた人たちと重なったのでしょうか。しかし、円滑に進むことができず断念することに。残念な結末に思わず笑いが起こります。なぜうまくいかなかったのか、なぜ調理場の人たちはうまくいくのか、今後、問われる場面が出てくるかもしれません。

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なぜかひとつの場所に手型が集中しています。

蔭の蔭を見つけ出したり、自分たちの作業と見学したことを同じように考えてみたり、また、見学先への移動中、道路の白線を見て、「これ、おかげさまだ。」とポツリとつぶやいたり。「なんで?」と聞くと、白線を書いてくれた人がいるから、自分たちは守られていると答えます。子どもたちの頭の中で、離れていた点と点がつながりを持つようになっていっているようです。

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TCS2014年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

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