特定非営利活動法人 東京コミュニティスクール

東京コミュニティスクール

03-5989-1869

school@tokyocs.org

〒164-0001

東京都中野区中野1-62-10

東京コミュニティスクール

原理は便利

タイトル:てこでも動かない?
探究領域:万象究理
セントラルアイディア:「小さな力を大きな力に変えることができる。」

[3・4年生]

テーマ「てこでも動かない?」を前回やったのは、2年前。
今の3・4年生が1・2年のとき、3・4・5年生が
「子ども一人の力で車を動かせるか」に挑戦したテーマ学習でした。

「今度は、トラックを動かすとか?」「それとも、電車?」
前回のテーマ発表の記憶を辿りつつ、同じことはやらないだろうと予測しながら
発言している様子です。

今回のミッションは、
「前半の3週間で原理を知ること、後半の3週間で発明をすること」です。
「発明」と聞いて、エジソンの蓄音機やリリエンタールの飛行機のこと、
発明に失敗は欠かせないなど、各々が知っていることをどんどん発言していきます。
発明のために、欠かせないのは「原理の発見」です。
でも、今回は、発見された原理を理解することからスタートし、
知った原理を使って何かを作るということをしていきます。

そもそも原理って何なのだろう。
「法則のあるもの?」「あーしたら、必ずこーなるみたいな?」
「工夫や思いつきみたいなもの?」
「それとはちょっと違うかな、誰が考えても同じことになるものじゃないと。」
子どもたち同士で話し合いが交わされていきます。
あるものが原理によって変化する。何度やっても、同じように変化する。
その変化を及ぼしているものが「原理」にあたります。
「それなら、原理を発見するために、工夫が必要ってことじゃない?」
仲間の発言をうまくつないでいます。

利用したい原理は、「小さな力で大きな力を生み出すことができる」原理です。
「ちりも積もれば山となるってこと?」
「1円がたくさん集まって1000円になる。」
小さな力が集まって大きな力になるではなく、
このテーマでは、「小さな力を大きな力に変える」ことを目指していきます。
ちりもつもればの発想ではないことを理解した子どもたちが、原理と思うことを
あげていきました。

てこ、天秤、滑車、ギア

「エレベーターは滑車の原理を使ってる!」「アリエッティに出てくる!」
「エレベーターは釣り合う重りと巻き上げ機の滑車を使って負担を軽くしてる。」
「そのページ、みんなに欲しい」
図鑑でエレベーターの原理が描かれているページを一人が見せると、
iPadでそのページが見られるようにして欲しいとの要望があがります。

IMGP4397.jpg  RIMG8708.jpg

また、定滑車と動滑車があれば、もっと軽くできると、
本で読んだことを
説明する子も出てきました。
子どもたちの知っていることが見えてきた分、
不十分なことも明らかになってきました。

前半のミッションは、原理を知ること。
理解したことを示すため、指一本でおっちゃんを持ち上げる装置を作ることに。
エレベーターの原理を利用して、滑車を使えばいいことはなんとなくわかってきました。
では、本当に滑車は小さな力を大きな力に変えることができるのか、
その威力を確かめてみることにしました。

エレベーターを横に見立てて、段ボール箱におっちゃんを乗せて、
ロープで引っ張ります。前に進めば、上に上がっていることと同じと考えられます。

IMG_9730.jpg
まずは、ロープを直接引っ張ってみます。
びくともしません。

IMG_9737.jpg
次は、動滑車と定滑車の2つの滑車を使ってみます。

目一杯、力を振り絞って、なんとか少し動く程度です。
滑車ってほんとはそんなにすごくないのかも?!

IMGP4373.jpg
さらに、
動滑車と定滑車を2つ加え、4つの滑車を用いてみます。

「あ、軽い!」
みるみるうちにロープをたぐり寄せ、おっちゃんを動かすことに成功です。

実験で大切なことは観察です。
自分が実際にロープを触っていなくても、
見ていることで学べることはたくさんあります。
どんな風に見ていたのか、実験装置を紙に描くことで確かめていきます。

IMGP4366.jpg  IMGP4376.jpg

「おっちゃん一人でも引っ張るのが大変だから、エレベーターの重りって、
すごく重いんじゃないのかな?」
「滑車がないとき、2このとき、4このときって、全部進み方が違った。」
「(定滑車側で)棒を持ってた方は、引っ張る人は軽くても、こっちは逆に
重くなってた。」などなど、
気がついたことを思い思いに述べていきました。

これが最初の実験です。
自分たちだけで実験しようとすると、揉めごとが起こり、
段ボールが破壊されるなど
トラブルが起きる状態です。

IMGP4378.jpg

今後、正確性や測定の観点をもつことで気がつくことが増えていくことでしょう。

「原理を使えば、生活に活かせるんじゃない?」
「そうだよ、ドアノブとか、ハサミ、釘抜きも。図鑑に描いてあるよ。」
「ドリルも、てこの原理とか?」

おっちゃんを指一本で持ち上げるため、どんな原理を使おうか、
その理解に来週も励んでいきます。

AN

TCS2014年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

Comments are closed.
アーカイブ