タイトル:ロストエナジー
探究領域:共存共生
[5年生]
スキー合宿をはさんで迎えた第二週目。
第一週目に理科実験を担当してくださっているボランティアスタッ
フの方にそもそもエネルギーとは何か、またどんな種類があるのか
についてレクチャして頂きました。
エネルギー は別のエネルギーに変換されるが、決してなくなること
はないという「エネルギー保存の法則」を学んだ子ども達。
今週は資源エネルギー庁が発行しているエネルギー白書を読み解き
ながら、エネルギーの生産と利用がどのように変化してきたのかを
学んでいきます。
「今から紹介する3枚の写真は人類とエネルギーの関わりの中で転
機となった出来事を表しているよ。知ってるかな?」
まず最初に見せたのは、オイルショック当時のあるスーパーでの一
コマ。
「これ、スーパーだよね。」
「うわっ、このおじさん、店員や警備員を押しのけて、トイレット
ペーパーの棚に向かってるよ。」
「ほんとだ、後ろにもすごい行列できてる。何の騒ぎだろう。。」
オイルショックという言葉は初耳だったようですが、ただ事ではな
い様子は伝わってきたようです。
「けど、トイレットペーパーの買い占めとエネルギー問題にどんな
関係があるんだろう?」
モヤモヤを残したまま、2枚目の写真(&絵)に移ります。
「あっ、この絵、橋本鋳造所みたい!」
製鉄所の工場の中の様子を表した絵から、昨年度に私と一緒に取り
組んだテーマ学習「詩人の旅」を思い出したようです。
「下に蒸気機関車の写真があるので、石炭に関係するんじゃない?」
「あれっ、機関車の燃料が石炭って知ってるんだね。」と思わず
反応すると、
「当たり前でしょ。機関士が一所懸命に石炭をくべる様子を本か何
かでみたことあるもん。」
と男の子。
ただ、「じゃあ、そもそも石炭って何か知ってる?」と切り返すと、
「うーーーん。。。」と黙り込みます。
3枚目の米国オクラホマ州の油井やぐらになると、全く予想がつか
ない様子が伺えます。
子ども達に配ったA4一枚のプリントには、「文明とエネルギー」
という見出しがつけられ、私たちのくらしや社会に不可欠なエネル
ギーと人類や文明との関わりの変遷が端的にまとめられていました。
火の利用は、人類が文明を発展させる出発点となったこと
蒸気機関の発明とその燃料となる石炭が産業革命を支えたこと
石油の登場により、エネルギーの主役が石炭から石油に移行したこと
二度のオイルショックが各国のエネルギー政策を転換させたこと
・・・
さきほどの写真もまじえながら、資料を読み込むなかで、なぜ日本
が原子力発電に頼るようになったのか、また世界的に自然エネルギー
への移行が声高に叫ばれるようになったのかを学んでいきました。
「そっか、今の生活を続けている限りは、単純に脱原発とは言えな
いよね・・・」
一筋縄ではいかないエネルギー問題。
便利さと快適さを追究した生活そのものを見直す必要があるのでは、
その意識が少し芽生えてきたようです。
しかし、一体そのためにはどうすればよいか。
そのヒントをもらうべく、来週は那須塩原の非電化工房にでかける
ことにしました。
HY
※TCS2013年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。