タイトル:似て非なるもの
探究領域:自主自律
[5・6年生]
テーマ発表会も残すところ2週間。
これまで学んできたことをふまえながら、いよいよ替え歌づくりに
本格的に着手します。
今回のテーマのアウトプットが替え歌であることを聞いて、不思議
に思われる方がいらっしゃるかもしれません。
「遺伝や進化によって私たちの今があり、さらに変わることができ
る。」
このセントラルアイデアを学ぶためにテーマの前半ではオリジナル
の電子テキストや遺伝をテーマにしたテレビ番組・映画を教材とし
て科学的知識の理解を深め、今の自分たちが存在するのは遺伝や進
化のおかげであることを実感しました。
しかし、我々がそれよりも大切に考えているのは、遺伝で引き継い
だものをベースにしながら自分の意志や行動で自分の未来を切り開
いていくこと。その思いを「替え歌」という手法を使って表現する
ことにしたのです。
それは「宣言」と言い換えてもよいのかもしれません。
今回の替え歌の元うたとして私が選んだのは国民的名曲と言っても
過言ではない、SMAPの”世界に一つだけの花”。
前回の先輩達の”We Are The World”の替え歌がセンセーショナ
ルだっただけに、あの曲を超えたいと子ども達も気合い十分です。
ソロパートは個人個人で考えてくるとして、まずはサビの全体パー
トを全員で検討していくことにしました。
「じゃあ・・・」
私が話を切り出そうとすると、
「この歌を通じて、伝えたいメッセージを決めないとね!」
と5年生の女の子。
5・6年生とは今春に宇宙紙芝居のテーマを一緒に取り組んだので
すが、そこでの保護者からのフィードバックで「伝えたいメッセー
ジがわかりづらい」という意見が多く、それが反省点として強く印
象に残っていたのです。なんとも頼もしいかぎり!
今回の歌に込めたい想いについて、それぞれ意見を出し合い、それ
を模造紙に書き出していくと、あるキーワードが浮かび上がってき
ました。それは「自信」です。
遺伝子がすべてを決めてしまう訳ではない。あきらめずに、自分か
ら行動を起こし、変わり続けていけばよいし、変わることができる
はず。
細かな表現内容は違えど、子ども達が伝えたい想いは共通していま
した。
そして、以前の議論で、「外見が変わることにはあまり意味がない。
大切なのは『心』が変わることだ。」という意見が出たことをみな
で思い返します。
夢や目標に向かって、自分の足で進んでいき、変わり続ける自分を
実感することでしか自信は生まれない。
つまり、それは、自分の未来は「自」分でつくっていけると「信」
じること、と言えるのでは。
私も含めた6人の想いが一つのメッセージになった瞬間でした。
肝心の伝えたいメッセージが決まれば、歌詞はすぐに作れるんじゃ
ないの?
もしかしたら、そう思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、
そう簡単にはいきません。
短いフレーズの中にどう自分の思いを込めるのか。
ホワイトボードに歌詞に使えそうなフレーズの案を書き出していき、
しっくりする表現が見つかるまで、何度も何度も文言を見直します。
全員が当事者として、より良いフレーズをつくるために意見を出し
あう姿をみて、まさにこれぞ “idea discussion” です!
各自がホームワークで考えてきたソロパートについても同じように
推敲し、歌詞をどういう順番にするか検討し、最後に全体を見て不
自然な部分がないか(同じ文言が多用されていないか、など)をチ
ェックし、ついに替え歌が完成。
「できたーーーーっ!!」
5日間かけてやっと出来上がった替え歌。
やりきったという思いが子ども達の表情に表れます。
その勢いのまま、その場で替え歌の歌詞シートを作成し、そこに集
合写真を入れようとおばかに盛り上がる私たち。
「SMAP(スマップ)」ならぬ「SNPs(スニップ)」のメンバーと
してCDジャケット風に写真をパチリ。
テーマ発表会がまさに「SNPs(スニップ)」の最初で最後の舞台。
悔いのないよう、来週の歌練習に臨みます。
HY
※TCS2013年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。