[5・6年生]
テーマ学習発表会がいよいよ週末に迫ってきました。
ただ、シナリオの作成に予想以上に時間がかかったため、まだ紙芝
居の製作に着手できていません。
今週中に紙芝居を完成させないと発表に間に合わない状況です。
子ども達に不安や焦りがないといえば嘘になるでしょうが、それよ
りも、何が何でもやりきるという気概が感じられ、心強く感じまし
た。
作品を強く印象付ける場面をどう切り取るか、また情景をよりリア
ルにイメージさせるためにどう表現するか、場面の選び方と表し方
は紙芝居の肝になります。
先週決めた各自の担当の場面について、構図や色使いを考えながら、
ラフスケッチを始めます。
宇宙船のトラブルにより、目的地とは異なる衛星に不時着した主人
公達の眼前にはいったいどんな光景が広がっているのか。
地球への帰還が困難な状況で、主人公達が抱く思いを表すのにふさ
わしい内容になっているか。
「メインロケットを失って、落ち込んでいる主人公達の心境を表す
には、どこまでも続く荒野がふさわしそうだなあ。」
子ども達は場面設定と登場人物の心境をイメージしながら、筆を進
めていきます。
最終的に地球の危機を救うことになるある植物を発見したシーンを
描く際には、インパクトのある見た目と地球上の胞子を吸い込めそ
うなイメージにふさわしい実在の植物はないかということで、ネッ
トで検索し、世界最大の花として知られるラフレシアをモチーフに
することにしました。
宇宙船の内部の様子を描いていた女の子は、JAXA筑波宇宙センタ
ーでの宇宙飛行士体験で使用した施設を思い出しているようです。
教室には、絵の具や画用紙だけでなく、絵のモチーフになる図鑑や
雑誌が所狭しと広げられていきます。
締め切り間近の追い上げで、集中力を絶やさず、作業に没頭してい
る様子はまさに工房さながらです。
子ども達と一緒にテーマ学習を進めていると、なぜ自分たちの課題
にこんなに必死に取り組めるのかと思うことがよくありました。
最近わかってきたのは、「発表をする場があって、それに向かって
よいアウトプットをつくりたい」、そのシンプルな思いが彼らを突
き動かしているということです。
先生からどう見られているかなんていうことは全く意識していない
ようなのです。
『課題を他人事にせず、最後までやりきる覚悟がある。』
そう思えるからこそ、スタッフも内心ヒヤヒヤしながらも、同時に
この子達なら何とかしてくれるだろうという思いを併せ持つことが
できるのです。
「できたーーーーーー!!」
紙芝居が完成したのは、なんと発表の前日。
午後の限られた時間を使って、朗読の練習をしました。
自分たちの朗読をレコーダーに録音し、互いに確認しあい、もっと
良くするためにはどうしたらよいか意見を出し合います。
「前のセリフとかぶらないよう、全体的にもう少し話し始めるタイ
ミングを遅らせよう。」
「〇〇はセリフが少し早口かも。聞き取りづらくならないよう、も
う少し丁寧に語ろう。」
「この部分は、もっとキャラになりきって、大げさにやってもいい
よ!」
5年生と6年生の女の子は、私からの指示などなくても、自分たち
で家での自主練をおこなうことを決め、紙芝居を写真で撮影したも
のを印刷し、他の子達に配り始めました。
とりあえず、やるだけのことはやった。
そんな充実感が子ども達の顔から見てとれました。
HY
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