[3・4年生]
先週、議論を進めていく上でのルールと意見の述べ方の基本型を学んだ子ども達。
いよいよ、今週から計6題のテーマについて議論を交わしていきます。
ハーバード白熱教室ならぬ、TCS流ハンバーグ白熱教室の開講です。
記念すべき第一回目のお題は「お金を拾ったら、警察に届ける?届けない?」。
下校中に道端で百円玉を拾ったが、周囲に人はおらず、近くに交番も
見当たらない中で、あなたならそのお金を警察に届けるかどうかという内容で
子ども達に問いかけます。
お題の内容を聞いた途端、子ども達の目が輝きだし、途端にその場の雰囲気が
熱を帯びるのが伝わってきました。みんな、自分の意見を言いたくて言いたくて
仕方がない様子です。
「議論の時間は後でとるから、まずはワークシートに議論前の自分の意見
(どちらの立場を取るかとその理由)を書いてね。」
「こんなの簡単だよ。」と短時間でさっさと書き上げる子もいれば、
難しい顔をしながらどちらの立場を取るか悩んでいる感じの子も。
身近な「正解のない問い」に真剣に取り組んでいる様子が伺えます。
ワークシートを一通り書き終えたところで、各自の意見を発表してもらうことに
しました。
「絶対に届けない。だって落とした人が悪いじゃん。自業自得だよ!」
「僕も多分届けないと思う。交番が遠くて、面倒くさそうだし。」
「私も届けないよ。拾ったら、自分の物になるじゃん。ラッキー♪」
「えっ、みんな届けないの??お金を落とした人にとってはその百円が
大切かもしれないし、拾ったままだと自分がもやもやした気分になるから。。」
などなど。文字通り、六者六様の意見が飛び出します。
今回、議論では必ずどちらかの立場を取らなければいけないという制約事項を
設けました。
どちらの立場でもない、新たな立場の意見は認めないということです。
これにより、たとえ立場が同じだったとしても、その理由が異なるというケースが
生まれやすくなると考えたのですが、早速、その効果が現れたようです。
じゃあ、皆の意見が出揃ったら、それで終わり・・・な訳がありません。
追加条件を次々に出すことで、さらに子ども達を悩ませます。
「他人が見てたら、先ほどの自分の意見は変わるかな?」
「拾った金額が千円札、一万円札のように大きかったら、どうだろう?
もし十円玉だったら?」
「親がめちゃくちゃ厳しくて、ばれたら叱られるかもしれないとしたら?」
状況に応じて自分の意見がどう変わるか、問いを繰り返していくことで、
自身がどんな判断基準で判断しているのかが段々と浮き彫りになってきました。
白熱した議論を終え、再びワークシートに意見を記入する子ども達。
議論を通じて、意見が変わった子も見受けられました。
「最初は一円も見逃すな!と思っていたけど、自分は警察ではないんだから、
そんなにきっちりしなくていいやって思うようになった。」
「落とした人が可哀想になってきた。交番に届けたら、元に戻るかもしれないし。」
ふりかえりでは、例を交えながら、自分の意見の根底にある判断基準は
いったい何なのかについて、客観的なアドバイスをしました。
・自分がやりたいことをする(自己)
・親の意見に影響されやすい(親)
・他人の目を気にする(他人)
・ルールを守ろうとする(決まり)
・実質的に意味があることを優先する(実利)
・モラルを大事にする(道徳)
「こんなこと、あんまり意識したことなかったなぁ。」
自分の判断基準を認識し、その判断基準の是非を自分なりに考える。
まだ、そのスタート地点に立ったばかりです。
HY
※TCS2011年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。