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「 築きに気づく」2年生 テーマ学習 レポート

 

【探究領域】万象究理
【セントラルアイディア】構造よく力を制す。

<テーマ学習>  レポート

カプラの一本積み。目指せ世界記録12本!

 

「これならできるよ」と支えを考え出します。

 

   

そう、安定して立たせるには「支え」が必要になります。

 

この支えが強くなるほど、外側からの力に耐えられるようになっていきます。

今回は様々な絵本を参考にしていきます。

 

今度はカプラでピッポがつくったようなドーム型の屋根を3人グループで作っていきました。

 

続いて、弱い紙から強い形をつくって橋作り。一枚の平面よりも強くなっていることが実感できます。

でも、限界が。。

 

もっと強くするために、構造が必要になってきます。

 

橋にはさまざまな形があり、それぞれ違った構造で力を支えています。

実際の橋を見に行く前と後で、説明動画を見て5つの構造があることを情報としてインプットしていきます。

 
下準備完了!いよいよ現物を間近で見ます。

橋の博物館、隅田川を水上バスで観察します。

 

スカイツリーも近くで見ると、支えになっている心柱が見えます。

「トラス橋だ!」

もっと近くで見ると、どんな気づきがあるのでしょうか。

これはかなり近い!

「下もトラスになってる!」

「アーチ橋だ!」

一緒に乗っていたお客さんに声をかけられ、橋の構造を学びに来ていることを伝えると、「だからこんなに詳しいのね」と興味津々になって橋を眺めている子どもたちの姿に納得されていました。

斜張橋の下はトラスじゃないぞ!
 

今回見る中でいちばん長いレインボーブリッジ。吊り橋は長い橋に多く使われています。

「中に電車が通ってる!」
「電車のところはトラス橋だ!」

ひとつの橋にふたつの構造が組み合わさっています。これも実際に見たから気づけたことです。

 

1時間のクルーズでしたが、あっというま。最後は疲れてきていましたが、立ったまま観察し続けることができました。

昼食後、記憶が新しいうちに振り返りメモをとります。

 

 

午後は建築模型が保管されている建築倉庫に向かいます。今日は盛りだくさんです!中は撮影NGでしたが、ここでもじっくり1時間観察。

「20分くらい(しか観察しない)かと思ってた。」そんな声があがるほど、プロの建築家の構造模型を見入ってしまいました。

中には今週ムササビツアーで利用する高尾山口駅の模型もありました。

ピッポのように、実際に立てる前に模型を作っていることを実感することができました。

 

たっぷりインプットした後はふりかえり。そして、アウトプットに移っていきます。

 

学んだことを活かしてペーパーブリッジをつくります。

・橋の長さ(支間長)は25cm(実寸50mの1/200)
・A3の紙
・接続部分にはのりを使用(テープは不可)
・切ったり、折ったり、重ねたりは自由

上記の条件のもと、より多くの「クマたち」を乗せるため、実験しては改良を重ねていきました。平面状ではうまく乗らないので、再度に壁をつくると結構乗ります。

『よわいかみ つよいかたち』で出てきたかたちと同じに。かたちを変えるだけで強くなることを改めて実感。

 

本に出てきたように、逆さまにしてみたり、実際に見たアーチ橋をつくってみたり。

「橋の真ん中にアーチをつけると丈夫になる。」

クマたちの落ち方、橋の崩れ方を見ては、「次はこうしよう!」と、これまでにインプットしてきたことが改良のアイデアとして浮かび出され、それをかたちにしていきます。

 

「のりの付けすぎはよくないな。」
「適当につくるとうまくいかない。」
「アーチの大きさがバラバラだとダメみたい。」

定規で測ったり、丁寧に折ったりしたり、大きさを揃えたりした方がいいことに気づきます。

「1枚だと、ぐにゃぐにゃになっちゃう。」

平面で捉えてしまうと、できあがる橋も平面に。立体への転換ができるかがポイントになってきます。

「さらに壁をおると丈夫になる。」

平面から立体へと変わるきっかけが試行錯誤の中で生まれてきます。
 

 

ペーパーブリッジ制作2回目

クマたちの重みをどう支えていくか。今回は、柱、そして、トラス橋や斜張橋も登場してきました。

 

「斜張橋をひっくりかえした方が丈夫だった。」

「上をまぜたら(やねをつけたら)強くなった。」

「ぺらぺらで重力に逆らえなかった。」

「ひらひらだったからバランスがうまくいかなかった。」

「トラスにしたらいっぱい乗った。」

「屋根をつけたら6こで落ちたけど、屋根を外したら9こになった。」

実験結果をふりかえり、いよいよプレゼンに向けた制作に入ります。

 

「ねぇ、今日はストローで作るんでしょ!」

はやる気持ちを抑えつつ、作る前に建築家たちがしている大切なことをしていくのですが、、。

「設計図?」「模型?」

ここでヤング・フランクやピッポに続いて、2人の建築家を紹介。なんと、本の表紙には両方とも設計図があるではありませんか!

アントニ・ガウディとフランク・ロイド・ライトの作品への思いを知り、まずは、自分たちでも築いていく建物のイメージを膨らませていきます。

今回のミッションは、未来の街をデザインすること。自分なりの新しい街のコンセプトを作り、その街を象徴する建造物を建築します。

 

建造物の条件

・自立すること
・構造の工夫を入れる
・接続で使用するセロテープの長さは一巻きまで
・建物は1/200の縮尺で作る

コンセプトづくりの足掛かりとして、「人と自然が〇〇する街」を提示。自分の描いた未来の街には、どんな人たちをイメージするのか、どんな自然をイメージするのか、〇〇にはどんな状態をイメージするのかを聞いていきました。

 

・子どもと山がおしゃべりできるまち

・宇宙人とヘビがみんなでボルダリングができるまち

・かがくしゃと石が突然変異してしまうまち

などなど、どのまちも聞いただけでワクワクしてきます。言葉で確認したあとは、頭の中に浮かんでいるイメージを描いてみます。ここは設計図ではなく、イメージ図にして自由度をあげました。一人ひとりのコンセプトとイメージ図はプレゼンで紹介します。

高さはどのくらい?

フィールドワークで見たスカイツリーは634m。200分の1にすると317cm。中野サンプラザは92mなので46cmになります。スクールの床を見るとカーペットひとます50cm。目安を知った上で、建物の高さを決めていきました。

 

築いていくと気づくことがたくさん出てきます。

「ストローを片方小さくしてつなげるとテープを使わなくても済むよ。」

「クリップをひろげると針金みたいに使える。」

イメージ図から作っているため、作っていくものも平面になりがち。自立しなくて悩みます。

「クリップで筋交をつくるとひらひらしない。」

ペーパーブリッジ同様、平面から立体への変化で自立できることを、ここもう一度再認識していきます。

「間にストローをつけたら揺れなくなった。間を支えれば揺れないのかも。」

「倒れちゃうけど、テントのつっぱりを思い出して両方から支えた。足みたいになった。」

「人間の体も足で支えてる!足は体の支えになっているんだ。」

「その筋交のアイデア、私も使ってみた。」

サマーキャンプでテント立てした共通の体験が、友達の気づきが、自分の見方や考えを広げていきます。

 

「ねぇ、それ、平面になってるよ。」

「ここに支えの柱を入れてみたら?」

「両方からつっぱってみたら?」「吊り橋構造だ!」

互いにアドバイスし合うことも。

 

うまくいったときには

「ねぇ、みてみて!」と見せたくなるものです。あちこちで聞こえてきます。スタッフだけに見せてすっきりしてしまうのはなんとももったいない。築きに気づいたことを発表する「お披露目会」の時間を設けることに。言葉にピンとこない感じなので、「ねぇみてみて会」というと通じた様子。

 

「ストローを乗せたから、へこんじゃった。それで橋の下みたいにトラスをつけた。」

「スライダーを作りたくて、前に作った橋が見えたから、クマがいっぱい乗ったから使えるかなと思ってくっつけた。」

「紙を丸く切ってストローにつけた。」

「ストローから雪が出てくるみたい。」

「あ、(ガウディの)いたずらだ!」

プレゼンまであと1週間。それまでに完成させたい気持ちはもちろんですが、未完になってもガウディみたい。建築家たちの制作は続きます。どんな作品になるのか、お楽しみに。


<プレゼン&ふりかえり>

   

 

プレゼン映像を自分たちでも見てみます。自分の語りは堂々としていてワクワク感を伝えることもでき好評でした。今後の課題はプレゼン中の聞き方。相手が話しているとき、質疑応答のとき、かっこわるさがあるのが現状。自覚することで、次の段階へとプレゼンスキルが上がっていくことでしょう。

 

今回、獲得を目指してきた概念(セントラルアイディア)は、「構造よく力を制す。」でした。制すという動詞は普段使わない言葉だけに、そのまま問いにしても考えにくい様子だったので、「構造の方が重さ(力)より強くなったと思ったときは?」と聞いてみたところ、次のような意見が出てきました。

「筋交いはめちゃよかった。倒れにくくなった。筋交いがあれば絶対立つなと思った。」

「斜張橋の構造だけじゃ立たなかったから、橋見たときのことを思い出して橋の裏に2本柱をつけたら強くなった。」

え、そんな工夫をしてたの?プレゼンで出てこなかった工夫がここで紹介されるとは。ふりかえりの時間はこうした効果も生み出すからなんとも奥深い。

「トラスで外れちゃったとき、ラーメンで力を制してるなと思った。」

「2本のストローを(お互いに)くっつけたらどうなる?と思ってつけたら安定した。」

「それって、外出のとき、藍央と綾が帰りの電車で頭くっつけて寝てたとき、支え合ってるって思ったのと同じだ。」

「人をつけたら床が下がっていった。それで、のぼり棒つけたら下がらなくなった。」

「(ストローを)左右に広げたらバランス取れなくなった。心柱は役に立たなかった。上をとって最初からやり直して、針金を中につけようと思った。」

イメージした形に近づけるため制作を続けていく中で、うまくいかずにあれこれ作り方を考えて実行したり、手を動かしている中で外出中のことを思い出しひらめいたり、失敗から偶然構造が生まれたりなどなど、試行錯誤の過程をふりかえることができました。彼らのこうした発言から、構造をよくして力を制していったことを実感していると感じた次第です。そして、何よりそれを楽しんでできたことがプレゼンの語りでも伝わってきました。

今回の経験が今後の創作の糧になることを願っています。

AN


(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。
2024年度 年間プログラム(PDF)運用版
テーマ学習一覧表(実施内容)

 

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