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「 I am Special, YOU are Special.」1年生 テーマ学習 レポート

 

【探究領域】自主自律
【セントラルアイディア】私たちはかけがえのない存在である。

<テーマ学習> 〜レポート

「私」ってどんな存在?

1年生として4つ目のテーマ学習は「I am Special, YOU are Special.」探究領域は自主自律となります。

I amという言い回しはEnglishで学んだという声があり、私は〜です。ということがわかっていたのですが、Specialってどういうことだろう?

「特別」ってことだよ、と豪くんが言うと、

「僕たちが特別ってこと?」「特別ってえらいってこと?」

と早速アンテナが動き出した子どもたち。でもI am だけではありません、YOU areも入っています。他の人も特別?偉いとしたら、みんな威張っちゃうのかな?モヤモヤします。

みんなが思う特別なものを挙げていきながら、セントラルアイディア「私たちはかけがえのない存在である。」という言葉についても思いつくことを話し合いました。「かけがえのない」という言葉は耳馴染みもなく、ぼんやりとしたセントラルアイディアという印象。

 

まずはそれぞれが「ぼく/わたしってどんな存在だと思うか」そして「他の人はどんな存在だと思うか」を書いてみることに。

ひらがなとカタカナを身につけたキッズたちは書くことに意欲的。どんどん書き出していきました。

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「自主自律」、今回は自分について、どんどん詳しくなることを確認し、現段階で自分のことをどれくらいわかっていると思うかを聞いてみました。

10段階でいうと、10、9、8のどれかに。子どもたちの感覚としては自分についてほとんど「知っている」と思っている様子。

では、まずは自分の「からだ」について詳しくみていきます。

「顔」についてはどうでしょう。自分の顔、どんな顔なのかイメージを描いてみました。

いざ描くとなると、

「えー、毎日見てるけど、見ないとわからないよー」

「ぼくってほくろあった気がするけど、右と左どっちだっけ?」

「顔って丸いよね、あれ、頭って丸いのかな?まんまるじゃないけど」

とモヤモヤ。見ているようで自分の顔、意外と知らない?

「ぼく、自分について9じゃなくて5か4くらい知ってるのかも」

早速まだまだ知らない、ということに気づき始めたようです。

「顔」の自画像

「見れば見るほど見えてくる。」は以前の静かなともだちで体感してきた子どもたち。実際に自分の顔もじっくり見て描いてみます。

 

自分の顔の大きさは?

目や鼻、口はどんなかたち?みんな一緒?

自分の顔の特徴をじっくりと観察しながら書き込んでいきました。

 

顔のパーツクイズにも挑戦。誰の耳かわかるかな?

意外と、耳から(耳の周りの情報から)誰かが見えてきます。それだけ、耳にも特徴があるってこと?という疑問/発見がありました。

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自画像制作①〜自分の顔を描く〜

 

今度は鏡を見たり、iPadで撮影した画像を見たり/ズームしたりしながら、自分の顔を「見れば見るほど見えてくる」ことを実感しつつ細かいところまで書き込んでいきました。

こんなところに毛が生えている!

ホクロが◯こあった!

眉毛ってなんか下がってる感じがする!

などなど、自分の顔もじっくりみるからこその発見がありました。

同じ大きさになるように、とこだわりながら描き進めていきます。

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アート:三原色+白色で自分の顔の肌色/髪の色を作ろう!

 

絵の具セットにはカラフルな絵の具が入ってますが、それらを使い分けるのではなく、色には3つの「原色」と呼ばれるものがあることを学び、それらを混ぜたらどんな色ができるのか、絵の具の量を変えて混ぜながら試していきました。

まずはパレットの使い方から確認し、実際にプリントに書かれている絵の具の量を出しながら混ぜ合わせては塗ってみます。

絵の具の量の調整が難しい。筆についた絵の具をしっかり洗わないと他の色にも響いてしまったり。失敗しながらも「じゃあこうしてみよう」とやり直していきました。


上のような感じに色の表が完成していきました。

これに白を加えた4色を使って、自分の肌色を作っていきます。

「肌色」という絵の具を持っている子もいますが、自分の肌はよくみるとその肌色とはちょっとちがう。みんなそれぞれ肌の色、髪の色は違うんです。それを鏡と睨めっこしながら、色を重ねて表現していきました。

 

「こんな色になっちゃったよ」

「これは俺の肌色かも!」

中には実際に自分の顔に塗って、色が一緒か確認しちゃう子も。たしかに、それで目立たなければ同じ色ですね!

顔を塗っていきながら「ほっぺは色がちょっと違うかも」と発見する子がいました。顔と言っても全部同じ色ではない、言われてみたらそうなのですが、実際に塗ってみて違和感を持つことから新しい発見が見えてきました。まだまだ、自分の知らないことはたくさんありますね。

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読み聞かせ「あくたれラルフ」「たいせつなあなたへ」

 

TCSの課題図書になっているこの2冊。テーマの中で子どもたちと一緒に読み、思ったこと、感じたことを共有していきました。

「あくたれラルフ」こちらはラルフという猫がいたずらを重ねていきながらストーリーが進みます。「ひとを全く大切にしていないよ!」「ものも大切にしていない!」「自分を大切にもできてないね!」などなど、子どもたちからはラルフの行動に対して指摘が飛び出しました。

結局ラルフはサーカスに置き去りにされてしまうのですが、「あんなに悪いことしたんだから仕方ない」「捨てられちゃってもしょうがない」という声が多く上がりました。「捨てるのはちょっとやりすぎかも」という声も。

最終的にラルフは家族に温かく迎え入れられるのですが、それに対しては「なんであん何嫌がっていたのに、嬉しいっていうんだろう」という声が多く上がり、ラルフが受け入れられたことに対して?とモヤモヤが残っていました。

たしかに、あんなにあくたれな子なのに、いてくれるだけで嬉しいと思ったのはなぜなのでしょう。モヤモヤは抱えつつ、キッズの保護者の思いなどをみていきます。

みんなが生まれる時、保護者の人はどう思っていたのかな?生まれてきてどうだったのかな?

「たいせつなあなたへ」ではお腹の中から生まれてくる赤ちゃんに会いたいという気持ちが綴られていました。「そんなふうに待ってたのかなぁ」「エコーでお腹の中見たのは、それだけ見たかったってこと?」インタビューシートに書いてもらいながら親から聞いたことを思い出しての発言。子どもたちはお父さん、お母さんの気持ちが気になってきました。

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自分のうまれたときのこと。

9人のキッズのお父さんとお母さんに書いてもらったインタビューシートを読みながら、生まれた時のことを探っていきました。

(自分が)生まれた時ってそんなに嬉しかったんだ

泣くくらい嬉しい、ってあんまりないよね

お腹蹴られるって嫌じゃないの?それを元気っていってる。

うまれるのってめっちゃくちゃ痛そう。

話を聞きながら、それぞれが思った感想が飛び交います。自分のことはもちろん、他の子はどんなふうに生まれたのか、興味深く聞いていました。

生まれたときの自分を知るために、実際に生まれた時の身長と体重を作ってみました。算数の時間と合わせていきます。

まずは身長。生まれた時の長さを荷造りひもで測って作りました。

こんなに短いの!?と驚きがありつつ、どれくらいの長さなのか身の回りのもので同じ長さを探してみることにしました。

   

偶然見学に来られていた保護者の方の太ももの長さとピッタリ、という子も。今の身長と比べると、いかに大きくなったのかを実感しますね。
 

体重については、ペットボトルに水を入れていきました。はかりで重さを量りとりながら、それぞれの重さを作っては持ち比べていきました。

 

布団でくるんで赤ちゃんみたいにしてみたり、みんなで持ち比べてみたり。これがお腹の中に入っていた、と思うとお母さんの大変さも少し感じられたのではないでしょうか。

大変だったからこそ、生まれた時の嬉しさもあったのかもしれません。

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「持ち味」ってなんだろう?

餅の味?という疑問がすぐに出るほど、ピンときていない様子。

いくつか例を出していく中で、性格なのか、でも性格とはちょっと違う。その人ならではの味。単なるいいところでもないのが難しいところ。でも、言われてみると確かにその人を表しているなぁと感じる表現。いくつも言葉を出していきながら、自分の持ち味はなんだろう?他の人の持ち味はなんだろう?とモヤモヤしていきました。

 
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自画像制作

自分への認識がどんどん深まっていたところで、いよいよ自画像にも取り組みます。自分のお気に入りのポーズで写真を撮り、それを全版画用紙2枚に書き込んでいきます。

 

全身の写真があるとはいえ、自分の形をじっくり見て描くのはなかなか大変。それでも「見れば見るほど見えてくる」を学んできたキッズたち、粘り強く書き続けていきました。

 

このタームで使い始めた「絵の具」

実際に色を塗りながら、どのように筆を使うのか、どのように水を足したらいいのか、そしてどれくらいが適量なのかを身につけていきました。

最初は水が少なすぎてカサカサの濃い色になってしまったり、筆をガシガシと塗りすぎて筆先が開いていたり、、、それもひとつずつ確認し、都度フォードバックしながら進めていくことでどんどん上達していました。

小筆と大筆をうまく使い分けながら、細かい部分も丁寧に塗り分けていくことができました!

自画像には、これまでに作成した顔の部分や手足の型も貼り付けつつ、それぞれがテーマ中で見つけた見た目や性格、持ち味などの特徴も書き込んでいきました。

手形足形とりの様子

 
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自画像に貼り出す、自分の特徴の書き出し。

これまでに見つけたこと、付箋に書いたことから「誰かに伝えたい」と思うことを選び、それを記入していきます。

書道に

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いよいよプレゼン!

プレゼンテーションの様子
 

※配信で利用していたMacBookの設定で、雪羽のプレゼンの部分で風船が飛んでしまいました。どうやらピースを認識すると風船が出るという設定にデフォルトでなっていたようです。。。

プレゼンを終えたら、「ふりかえり」

このテーマ学習をじっくりと振り返っていきます。

プレゼンについて

1年生にとって4回目のプレゼンテーション。人の前で話すということにも徐々に慣れてきた様子ながらも、実際に自分たちの映像を見てみると

・ちゃんといえたけど、声が思ったより小さかったからもっと大きく話したい

・言いたいことを絞っていうことができたけど、早口になってしまった。落ち着いて話せるといいかなと思う

・練習を重ねて言いたいことをまとめられたけど、もうちょっとニコニコしたかった

などなど、まだ磨く部分はたくさんあることが見えてきました。

自分で練習時間を作って練習してきた子でも、本番になったら急いでしまった場面もあり、伝えることの難しさを改めて実感したようです。

セントラルアイディアについて

「私たちはかけがえのない存在である。」というセントラルアイディアはもちろん全員に浸透していましたが、今はどのような認識になったのでしょう。

・代わりがないってこと

・自分だけ、自分にしかないものがあった、見た目とかもそうだし、性格もみんな違う

・同じ人はいないと思う、顔もよく見たら全然違うし、9人ばらばら。

・みんなのことを発見するのも楽しかった、みんなで話すのが楽しい

何度も自分や他者を観察して、考えてきたことで、それぞれの違いが明確になっただけでなく、そうした違いが楽しいものになってきたという発言も出てきました。

その上でそれぞれの持ち味を出し合ってみると、潤は好きなことはすぐやるよね、恥ずかしがり屋さんだけど、みんなといると大きい声でちゃう。

陽斗は、いやなことから逃げたくなるけど、やり始めたら最後までやる。杏紗は自分のことをよくみてるし、みるのが好き。ちゃんとしたいという気持ちが強い。だから厳しい。

などなど自分自身についても語りつつ、他者へのコメントも多く出てきました。他者から言われたことに対しても、「そうなのかな」と受け止められるようになってきたのも大きな成長を感じました。

「私たちは」という考えはもちろん同じ学年の9人だけの話ではありませんし、おふとんシュークリームの18人だけの話でもありません。これから出会う人々にも当てはめて「かけがえのない存在である」ことを胸に留めながら、I am SpecialとYOU are Specialをどんどん発見していってくれることを期待しています。

 

KO

 


(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。
2024年度 年間プログラム(PDF)運用版
テーマ学習一覧表(実施内容)

 

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