【探究領域】時空因縁
【セントラルアイディア】温故知新が未来をつくる。
<テーマ学習> 〜レポート
先行知識を確認
まずは東京に住んでいる子どもたちがどのくらい「東京」のことを知っていて、どんなイメージを持っているのでしょうか。東京に住んでいるから知っている?住んでいても知らない?意外と…
出てきませんでしたね。
よく耳にする地域名は出てきますが、とても住んでいるとは思えません。
ここからどのように変化していくのか楽しみです。
「首都」
そんな初めて聞く言葉にも想像を膨らませていきます。
中心?真ん中?
「国を納める役所がある!」と何となくイメージができたようです。
「東京って日本の中心だよね。」「中心って真ん中ってこと?」「でもだいたい真ん中だよね。」と少しずつ東京の存在が見えてきたようです。
せっかくなので大学生のインターンにも参加してもらいました。が… 子どもたちと同程度の知識しか出てこない!
「首都」にいるとあまり関心がないのでしょうか。
それでは身近な普段から通い慣れているスクールのある中野はどうでしょう?
2年生の時にテーマ学習「ココドコ」で探検した街でもあります。
意外と少ない….
子どもたちがいかに無意識に過ごしているかが見て取れます。
今回のセントラルアイディアをもとに「まちを知り、まちを探り、そしてまちを創造していく」ここからの広がりが楽しみです。
「住みやすいまち」のイメージ像を語り合う
子どもたちの「住みやすいまち」のイメージです。
ここで感じたことが、普段の生活からイメージされることが多く、住みやすい=便利、快適などのキーワードが出てきました。
中野の街の特徴を知る
中野のまちの歴史
中野の街の歴史に触れていきます。
今現在の中のはどうやって今に至っているのかを知ることで、街の発展やまちの進化を感じることができました。
その中で子どもたちが一番興味関心が広がったのは、昭和初期の戦争。
戦争のせいで東京のまちが焼け野原になってしまい、何もかもなくなってしまったこと。当時の様子やどうして戦争が起こったのかを知ると、子どもたちの思考は戦争の無意味さや酷さ、そしてこれから絶対戦争なんて起きてほしくない!と思っていたようです。
中野のまちのリサーチ
実際に中野のまちに行ってみました。
住みやすさランキングが下位の「中野のまち」
まちの特徴を探しに行ってみました。
近所の魚屋さんにインタビュー
この辺りの歴史や中野のまちの特徴をリサーチしてみました。
「この辺りは昔から由緒あるまち。天神地区」という話の後に、天神という名前がついているお店や場所が多いことを発見!しました。
そして商店街へ
中野の駅北口から伸びるサンロード。子どもたちは聞いたことはあるけどじっくりみたことはなかったようで、お店の数に驚いていました。
そしてなぜかペット屋さんが多いことに気がつきました。
「中野はペットを飼っている人が多いのかなぁ」と呟く
中野区役所を訪れ、中野の街の特徴や「まちづくり」について伺う
そして区を司っている区役所へ
まず目についたのは誰でもくつろげるスペース。
何のためにあるんだろう?
「子どもたちがきて遊べるようにしてるんじゃない?」
「聞いてくるね!」と区のインフォメーションに聞きに行ってくれました。
「畳の良さを知ってもらうために遊べるようにしてあるイベントコーナーです。」と説明してもらいました。
色々な情報が書いてあります。
でも子どもたちにとっては何があるのかよくわからないようです。
まずは館内を歩いてみよう!
催し物スペース
「なんか面白そう!」と興味津々。他にも人がいるのをみて「何かを紹介してるんじゃないかなぁ」「何だろう?」と一人ひとりがじっくりみていました。
「区役所だけどいろんなものを紹介しているんだね。」
ナカノさんもお出迎えしてくれました。
どうやら、ただ捨てられている「枯葉や落ち葉」をリサイクルして作品にしているようです。「やってみたいー!」と興味を示していました。
こんな作品ができるんですね。面白い!隣の作品はお菓子の袋を留めているモノでガンダムを作っていました。
この日は猛暑で歩いているだけで危険レベル。
でも館内にはいろいろな配慮がなされていて、子どもたちもそれには興味津々!「水が流れてるよ!なんで??」「冷たい!わかった!これで部屋を冷やしてるんじゃない?」と快適な空間に感動していました。
区民のためにこんな配慮もしてくれていることに感謝していました。
そして待望の区役所新庁舎の屋上展望台へ
そこでTCSを見つけて大興奮!
どれかわかるかな?
そしてサンプラザ中野がなくなってしまうことが少し残念そう。
ここからしか見えないサンプラザの緑。この構造や形はまちのシンボルでしたね!
遠くはスカイツリーまで見ることができます。
区役所なのに展望台があることに子どもたちも感激していました。
区民のための心遣い
無料で「美味しい水」が飲めるなんて幸せ。とみんなで水筒に水を補充していました。
昔懐かしい昭和の公衆電話。テレホンカードの存在は子どもたちは知っていました。
ここにはリサイクル品の回収場所がありました。
「区役所っていろんなことしてくれてるんだね。ありがたいなぁ。」
太陽光パネルや区民の相談所。そしてイベント会場とクミンが楽しめる空間づくりに感激するばかりでした。
区役所のリサーチも終わり再び中野の街へ
早速、住みやすいアイテムを発見!これは最高のオアシスでした。
まちの至る所に設置してあるミストシャワーシステム。本当に涼しいんですよ。
体感温度もかなり下がって元気が出るアイテム。子どもたちも「これは住みやすいまちに必要だね。」とお気に入りでした。
得た情報や知識の整理・分析
中野のまちをフィールドワークで観察してきて自分たちが思う「住みやすい中野」を考えてみました。
スクールに戻ってふりかえり
暑さにも負けずリサーチしてきました。スクールではぐったりかなり疲れたようです。でもそこは最後までふりかえりを終えるまでがフィールドワークです。
「区役所って区民のためにあるし、いろいろと住みやすいようにしてくれてるんだね。」「なくてはならないものだね。」と区役所の大切さを感じ取ったようです。
ただ、中野のまちにはGood & Better があってまだまだ住みにくいまちだということが見えてきました。
かなり実感値が高いフィードバックですね。
自身の住んでいる街を調べてみる
自分の住んでいるまちのリサーチ
・まちの特徴
・まちの住みやすさ
そして自分のまちの魅力をリサーチして語ってもらいます。
NO.1のまちには全員でフィールドワークに行く予定です。どこの市区になるのか楽しみです。
自分の住んでいるまちをリサーチする
自身の住んでいるまちを、ほとんど知らない子どもたちにとって、自分のまちをリサーチすることは、まちの魅力を発見するチャンス!
みんなを招待したいと言う一心で真剣にリサーチしていたのが印象的でした。
渋谷区①
杉並区
新宿区
その他、世田谷区、練馬区、北区、千代田区、武蔵野市…など結構多岐に渡っています。
フィールドワーク先決定!
接戦の末、「新宿区」に決定しました。
プレゼンの内容もそうですが、リサーチに賭けた熱意、そして自身の住んでいるまちへのLOVEが評価されて決まりました。
フィールドワークに向けてリサーチ
行き先が決まったらいよいよ、そのまちのリサーチに入ります。
そのまちの特徴や構造、そして温故知新につながるようなポイントはあるのかを全員でリサーチしながら行き先のルートとポイントを考えていきます。
いきたいポイントのシェアをして、あとは「新宿区」をプレゼンしてくれたキッズが行き先やルート、そしてスケジュールを考案してきます。
さぁ、「住みたいまち」1位に繰り出そう!
住みやすいまちの条件
心を弾ませ、どんなまちなのかをワクワクしながら発見に向かう3年生たち。
目的地に到着!
駅を出てすぐに色々なものが目に入ってきます。
木の根っこから老舗のお店まで、色々なものが初めて目にするものばかり。
子どもたちの視点は「温故知新探し」に夢中です。
ガイドのキッズが最初に紹介してくれた地元で愛されているパン屋さん
パン屋さんのシェフがわざわざ出てきてくれて、みんなにパンのプ レゼントしてくださいました。
みんな「このパン美味しい〜!」とめちゃくちゃ興奮していました。素敵な店内の装飾があって、外国人の方が経営しているパン屋さんでした。
鳥居からも歴史を感じます。
路地裏に入ると小さな家が多く、どの家も子どもたちからするとあまり見かけない古い家が多く建っています。
区民の安らぎの場 区民の心のオアシスとなってい白銀公園
自然と遊具、そしてたくさんの人が休憩できるベンチ。住みやすいまちには必須の公園ですね。
由緒ある神社 赤城神社
神社の境内にカフェが!お店はガラス張りで最新の景観になっています。
おみくじを楽しむ様子は現代っ子も変わりません。神社ならでは。
境内には築何十年?の家も建っています。
なんとも言えない趣のある場所。「これはまさに温故知新だ!」と子供達も興奮していました。
築何十年の家の横には最新のカフェが入っているビルが。
有名な老舗の和菓子店(残念ながらお休み)
白黒のセブンイレブンには意味があったのでした。
まちを守り、区民の心のよりどころ「善国寺」
このお寺がなんでここにあるのかを考えながら、街でリサーチすることに。
石畳や路地に刻まれているまちの歴史
歴史を感じる文字と入り口
区民から愛されているお茶屋さん
昔からあるお茶屋さんなら何か知っているはず!とリサーチしに訪問しました。
お茶を飲ませていただいたり、神楽坂や新宿との関わりを丁寧に子どもたちにお話ししてくれました。
神楽坂が地元の人たちから愛され、他の区やインバウンドの人たちにも愛されていることがよくわかりました。
老舗の文房具屋
お茶屋さんからお伺いして、歴史ある文房具屋さんを紹介してもらいました。神楽坂の生き証人的な存在のお店だそうです。
創業400年の文房具屋さんにお話を聞かせていただきました!
倉本聰さんとなんと!あの夏目漱石がこの文房具屋さんに買いにきていたとは!
子どもたちからは「倉本聰ってだれ?夏目漱石ってだれ?」と言う言葉が!?
坊ちゃんという言葉を聞いてピンときたキッズもいました。
じっくり神楽坂を探索した子どもたち。
ここからは帰路に向かいます。方向をしっかり確認して駅に向かいました。
一人のキッズが「昔の地図がある!」と発見!
みんなで昔と今の違いを見てみました。「あまり変わっていないんだね。」と土地の変容があまり無かったことに気づいていました。
スクールに戻ってフィールドワークのふりかえり
子どもたちが口を揃えていっていたのが「温故知新があった!」でした。
中野との違い や自身が住んでいるまちとの違いもシェアしていき、改めて自身のまちや中野、そして神楽坂の住みやすさの条件を発見しました。
住みたいまちを創造する
テーマ学習もいよいよ最終局面。
自分たちの区 中野区を東京ナンバーワン、東京の覇者にするためにはどんなまちが理想のまちか、どんなまちにしたいかを創造していきます。
出てくるアイディアは「超真面目ー!!」って感じのアイディアばかり。もっと大胆な発想していこうぜー!とはっぱをかけました。
表情からも、創造に対してもやもやしている様子が伝わってきます。笑
全員で各自が創造したまちの条件をディスカッションを交えながら考えました。
どうしたら魅力的なまちになるのか、東京の中で覇者になるためにはどんなまちが理想的なのかを何度も深掘りして考えます。
フィールドワークをふりかえったり、自身の住んでいるまちの良いところをベースにより良い条件は何かを考察していきました。
この部分の探究が今回の東京発見伝の一番の肝!
魅力的なまちには人が集まる! どんなまちに魅力を感じるのか?
住みたいまちは安全! どのような安全対策や危険が考えられる?
未来のまちには歴史の痕跡が必要! どんな歴史を残したい?
と色々な意見が出てきて、セントラルアイディアにつながるいい話し合いができました。
プレゼンテーション
コンセプトは「翔んで 真ん中野区」
弾けて楽しく元気にプレゼンすることが目標!
ふりかえり
プレゼンが終わり、自身と全体のふりかえりです。オーディエンスからのフィードバックやプレゼンの動画、そして仲間からのフィードバックをもとにこの6週間の探究がどうだったのかをふりかえりました。
気づいたことをメモ。
次回の探究とプレゼンに活かす!
後記
今回のプレゼンは、とにかく創造力を活かして新しい中野区を9人で創造することでした。みんなの考えた住みたいまちのコンセプトをいかに楽しく発表できるかでしたが、ややみんな緊張気味。旗を持って入場し、聞いてくれているオーディエンスが「住みたい!」と思ってくれるようなまちづくりを提案しました。
ふりかえりでは「思ったより声が小さかった」「内容を順番に話せなかった」「話したいことを忘れてしまった」「緊張しちゃった」とここがふりかえり、次回の課題を各自が胸に秘め6週間の探究を終えることができました。
6週間の探究では、じっくりと「まちづくり」に向き合い、自身の住んでいるまちを再認識、再発見することができたことは子どもたちにとって今後の「まちを見る視点」に変化が出てくると感じています。
中野の魅力や歴史に触れ、未来に「こんなまちに住みたい!」という創造し東京都いう大都市に自分たちが存在していることの嬉しさや誇らしさも今回のテーマ学習で学んだことでしょう。
これからも一人ひとりの創造力を活かして、まちづくりに関心を持ってくれるといいなと感じた6週間でした。
HM
(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。
・2024年度 年間プログラム(PDF)運用版
・テーマ学習一覧表(実施内容)