【探究領域】意思表現
【セントラルアイディア】言葉に凝縮された感性と情緒は誰かの心に届く。
<テーマ学習> 〜レポート
【S.O.I】
⚪︎詩の形式と表現技法(Form)
⚪︎身の回りの発見や感動に基づく詩作(Funtion)
⚪︎感性と情緒を伝えるための工夫(Connection)
1週目は、まず「詩」について知っていることや思い浮かぶことを全員に語ってもらうことから始まりました。子どもたちの先行知識を知ることが学びの第一歩となります。知識は既存の知識と結びついて新たな知識として構築されていくのでこれから探究していくテーマについて知っていることや情報源などについて炙り出していく1週目のディスカッションは欠かすことができません。
朝の音読や百人一首などで短歌や俳句については馴染みがあるキッズたち。やはり「詩」といえば短歌や俳句、また枕草子などのイメージを持っていることが挙がりました。またラップや歌詞なども詩であるという意見も出てきました。
ひとしきり子どもたちが発言した後で「のはらうた」(工藤直子詩集)を配布し、いくつかの詩を音読していきました。
「おもしろい!」
「虫になりきって書かれているのがおもしろいね!次はぼくが読みたい!!」
工藤直子さんの対象になりきった視点で描かれた作品の数々に子どもたちは正にあっという間に心を鷲掴みにされ、詩の世界に飛び込んでいきました。
どんな詩かというと例えばこちらは有名な一つ。
「おれはかまきり」 かまきりりゅうじ
おう なつだぜ
おれは げんきだぜ
あまり ちかよるな
おれの こころも かまも
どきどきするほど
ひかってるぜ
「のはらうた」に加え、詩人たちの技をまとめたTCSオリジナル虎の巻「詩を知ろう」を用いて詩の10の技を学んでいきました。
さまざまな詩に触れ、そのリズムや表現の工夫を味わいながら実際に詩作も行っていきました。
芭蕉のように、やはり詩作には旅に出ることが大切です!
ということで「詩人の旅」第一弾は自然あふれる新宿御苑を訪れました。
「詩人の旅」第二弾は下町情緒あふれる浅草の旅へ。
江戸の街を発展させた隅田川を船で下り、川から臨む東京の街を味わいながら浅草浅草寺を目指します。
普段暮らしているエリアとはまた異なる東京を感じ、どのような詩が紡がれるのでしょうか?
たっぷりとフィールドワークにて詩の材料を集め、思いを膨らませてから詩の創作に取り掛かります。
リズムやオノマトペ、対句などいくつかの詩人の技を活用しながら感じたことを紡いでいきました。
どの子もプレイフルネス全開で詩作に取り組み、それぞれに創作をした詩をシェアし合うことも楽しんでいるのが素晴らしい!!
一度書き上げた詩も声に出して読み返してみると改善点が浮かびます。
「浅草だということがわかるように具体的な情報も入れたほうが誰もがイメージしやすくなるな!」
「面白いけど短いからもっと聞きたい。」
「なりきっている視点はいいけど何を伝えたいんだろう??」
これから詩の推敲の始まりです。
テーマ学習も折り返し地点。磨いていくことでどのように進化していくのか楽しみです!!
いよいよテーマ学習も後半に差し掛かり、最後の「詩人の旅」フィールドワークへと多摩動物公園へ足を運んだ3・4年生たち。
今回も自分たちで決めたフィールドワークの3つの約束を出発前に確認しました。
◇安全第一
◇公共の場のマナーを守り、迷惑をかけない
◇詩人になりきる!
雨の中バディと二人一組になって隊列を組み、いざ出発🎵
予想以上にザーザー降りの中ほぼ貸切状態でじっくりと園内を歩き回ります。
「薄ピンクの羽の下には濃いピンクの羽があるんだね!」
「あ!フラミンゴの檻に鴨がいる!どこからやってきたんだろう?」
「象は仲間や家族を呼ぶときにパオーンて鳴くって看板に書いてあるよ。一頭しかいないけど。」
「すごい声でケンカしてる!!」
「あれがボス猿なんじゃない?怒ってるよ!小さい猿を追いかけ回してる。」
猿山は眺めていると猿たちのドラマがありいつまで見ていても飽きません。生まれたばかりの赤ちゃんを抱っこしながら雨宿りしているお母さん。やんちゃそうな子猿たちも駆け回っていました。
「カワウソかわいい!!」
やんちゃそうなカワウソがお茶目な顔ですばしっこく泳ぎ、目の前に現れたり消えたりする度に歓声が上がります。
そしてスクールでは観察して印象に残っている動物たちに「なりきって」思い思いに詩を創作していきました。
また並行して多くの詩に触れるインプットもプレゼン前まで続けていきます。
どの子もさまざまな詩の世界にのめり込み、表現のユニークさや言葉を聞いて波紋のように広がるイメージや気持ちを楽しんでいます。
自分の作品にも読み手としての受け取る視点を大切に言葉や詩の技を紡いでいきます。さあどんな詩が生まれ、また磨かれて成長していくのでしょうか?
プレゼンテーションでは数々創作してきた詩の内、下記の4ジャンルの作品群から一つずつ詩を選び、その4作品を推敲した上で最後に一作品を選んで朗読するという流れで学びを進めていきました。
・新宿御苑フィールドワーク
・浅草クルーズ&浅草フィールドワーク
・多摩動物公園フィールドワーク
・身近なヒト・コト・モノや自分がよく気になっていたり不思議だと感じていること
そして最終的にはリズムや声色・緩急またジェスチャーなどを踏まえたパフォーマンスとして「詩のボクシング」ならぬ「詩-1グランプリ」と称し、個人対戦形式で聴衆の心にお届けします。
「言葉に凝縮された感性と情緒は誰かの心に届く。」というセントラルアイディアに向かって探究を進めてきた3・4年生たち。
プレゼンではそれぞれのキッズの世界観が表れていました。
リズムを楽しんだり、ポケカを開封する時の気持ちの動きをみずみずしく表現したり、なんとウォーターサーバーになりきるというユニークな着眼点の作品もありました。また動物の気持ちや川やポイ捨てされたゴミからのメッセージも大変印象的でした。
このように詩という表現の自由さと面白さを存分に楽しみ、自分たちで創る喜びとさらにそれを伝える達成感を味わえたことは中学年として貴重な財産となることでしょう。
このテーマ学習の終わりがこれからの詩作の始まりとなり、どんどん自由な詩の世界を引き続き味わい、創り続けていってほしいと願っています。
Yi
(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。
・2024年度 年間プログラム(PDF)運用版
・テーマ学習一覧表(実施内容)