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「 Dear Editor」5年生 テーマ学習 〜レポート

 

【探究領域】意思表現 
【セントラルアイディア】編集によって情報の価値は変わる。

<テーマ学習> 〜レポート

私たちが日々目にしたり耳にしている様々な「情報」について子どもたちはどれくらい意識しているのかを知るために、まずは私たちの身のまわりに溢れている「情報」について考えていくことから始めていきました。

「情報と聞いてイメージすることや思いつくことってどんなことかな?」

子どもたちからは多様な意見が飛び出しました。

・新聞/ラジオ/ニュース/テレビ/映画/雑誌/図鑑

・天気予報

・日記

・口コミ

・知識や豆知識や雑学

・一次〜四次情報(三次情報はママ情報、四次情報は噂等)

「うそ情報やデマ情報もあるよね。」

「デマ情報が原因で闇バイトが問題になってる。」

「ハッキングって知ってる?ハッキングは情報を動かしたり、乗っ取ったりするんだよ。」

「情報は信用が大切。オレオレ詐欺なんていうのもあるもんね。」

子どもたちとみんなで意見を出し合っていると一人では思いつかないことや誰かの発言に触発されて湧き上がるアイディアも含めて「情報」に関する知識が広がり、また言語化することでぼんやりとしていた認識が明確に整理されていきました。

続いてこのテーマ学習の中心にある概念である「編集」について知っていることやイメージすることを話し合っていきました。

「編集って変えることかな?」

「新聞は要点だけをまとめてあって、見やすく分かりやすくを大切に編集しているんじゃない?」

「法律に触れないように、デマにならないようにも新聞はしているんじゃない?新聞が嘘は言わないでしょ。」

「朝日は朝日、読売は読売で自分の会社らしく編集をしているんじゃないかな。」

「編集といえば磨いて新しいものに生まれ変わること!」

「情報操作して都合よく理解してもらえるようにしているんだよ。」

「番組についてる字幕はいい番組だなって思ってもらえるような編集でしょ。」

「グラフを都合よくいじって変えちゃうのも情報操作だよね。それも編集!」

「商品の広告も全部編集だよね。」

一通り意見を出し合ってから、このテーマ学習のアウトプットが文集製作であることを伝えました。

8名のキッズが一人一作品のクリエイティブ作文を全生徒の中から選び、編集者として対話を繰り返して磨いていきます。

そしてコンセプトに合った一冊の本として構成して作り上げます。

ミッションをイメージした上で、文章を推敲する際にポイントとなることについて資料を読み合わせながら学んでいきました。

 

このようなことを意識しながら、実際に編集を行う第一歩として先日開催されたミラクル・ハイパーステージの振り返り作文を題材に隣の友達の作文を編集して編集前と編集後をそれぞれ共有することに挑戦しました。

すると大半の子たちが編集後の作品について、伝えたいことはしっかりと残しながらあまり重要ではなかった部分を削ぎ落としていてスッキリとしている印象を持ったようです。

「書き始めの部分はなくても十分印象に残った部分は伝わるって感じた。短くなったけど違和感ないし、勝手に編集されたような嫌な感じは全くしない。」

「だいぶ短くなったけど聞いていて編集前とあまり変わった気がしない。ということはいらない部分を上手に見つけてカットしてくれたんだ!」

「ぼくとしては面白く書いて笑いを狙った部分がカットされちゃったから面白さが減っちゃった気がする。」

素直に感じたことを書き手が語ってくれたことでどの子もヒントを獲得する事ができました。

・なくてもいい言葉や表現は削るが、削りすぎることで要点は伝わっても書き手の狙いが全て伝わるとは限らない。そのため削る部分の検討は慎重に行う事が欠かせない。

・音をオノマトペで表したり、気持ちを様々な言葉で丁寧に表すための書き手への聞き取りによって、より魅力的な表現に生まれ変わる。

・情景描写は詳しく描くことでイメージしやすくなるが、必要があまりないと思われる情景描写がたくさんあってもただ長い文章になってしまう。その見極めが大切。

今回は書き手と編集側での対話はせずに一方的な編集を行なったので書き手の意図は反映されていません。

いざ本番の編集の場面では細やかな対話の上での推敲が鍵になってくることでしょう。

 

1~6年生までの50人分のクリエイティブ作文を全員が読み込み、その上でそれぞれの作品の特徴について語り合いながら文集に載せたい作品を選んでいきました。

選ぶ上で考慮した点は作品ジャンルの多様性つまり男子たちに人気のバトル系ばかりにならないようにすることや学年バランスにも配慮することなどです。

それそれが担当する作品を決めてから、ISIS編集学校の師範をお招きして「物語を磨く」というタイトルで編集のワークショップをして頂きました。

 

「物語の魅力を映し出す5つのカメラ」という視点で作品をもっと豊かにする。

・虫の目のカメラはフォーカスしたことを詳しく映し出す
・鳥の目のカメラは物語全体を俯瞰して捉える
・心のカメラは感じたことをより詳しく描く
・目のカメラは五感のカメラ。五感で感じ取ったことを詳しく表現する
・足のカメラは様々な情景が浮かび上がるような動きがある展開

この「5つのカメラ」を取り入れて子どもたちは即興で創作した4コマ漫画の物語を磨いていくことに挑戦しました。

実際に自分が作家側として作品を描き、その上で編集者視点で作品を磨くことを通してこれから作家と対峙していく上でのポイントを実感していきました。

また物語を面白くする「5つの要素」についてもイメージを広げていきました。

・登場人物・・・登場人物設定を詳しく行う。口癖や仕草など。
・ワールドモデル・・・世界線の設定で引き込む。動物が主人公など
・シーン・・・作品について思い出すと目に浮かんでくるような印象に残るシーンになっているか???
・ナレーター・・・物語を語るナレーターは誰?主人公?大人になった自分?それとも神の視点?
・ストーリー・・・起承転結など読み手を引き込む物語の展開

このような「5つの要素」を意識して作品を俯瞰するとアイディアがどんどん湧き出てきます。まさに「アイディアが止まらない!」

 

ISIS編集学校の江原師範のお陰で翌週から始まる作家さんとの編集作業についてたくさんのアイディアのタネを頂くことができました。

 

どんな魅力的な作品が生み出されるのか乞うご期待です☆

 

編集者として自分が担当する作家さんたちとの対話を積み重ね、中身を推敲していきます。

「おばあちゃんの話し方がもっとおばあちゃんらしくなった方がいいんじゃない?」

「おばあちゃんらしい話し方ってどんな感じだろうね?」

「主語が毎回出てきているから少し減らすと読んでいてスッキリする気がするけどどう思う?この場合とこの場合はどっちがいいかな?」

作家さんとの対話の際、作家さんたちが編集者からの提案をすぐにOKしてくれる場合もありますが選択肢を提示して一緒に考えるという進め方をすることで共同作業として一層コラボ度が高まります。

「こっちの方がいいね!ありがとう!すごく良くなってきてるね!」

作家さんたちも自分の作品が編集者による異なる視点で磨かれていく面白さを学んでいきます。

 

磨いていった9つの作品を1冊の文集に仕上げるために、作品の編集作業に加えて編集会議も進めていきます。

まずは文集のコンセプトを決め、次にタイトル、前書きに後書きそして全体の構成(目次)についてもディスカッションを行って基本的に全員納得の上で決めていきました。

プレゼンテーションデイ前日まで作品を推敲し続け、挿絵のデザインを磨き、その上で時間を決めて全員でプレゼンテーションのシュミレーションをしていきました。

5年生たちの作文愛をたっぷりと込めたオリジナル文集がどのような方向性で仕上がったのか、プレゼンでは彼らのこだわりと編集のポイントに注目して発表します。

 

 

YI


(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。
2023年度 年間プログラム(PDF)運用版
テーマ学習一覧表(実施内容)

 

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