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東京コミュニティスクール

「時流と自流」5年生 テーマ学習 〜レポート〜

 

【探究領域】時空因縁 
【セントラルアイディア】私たちは時代の流れの中で生きている。

<テーマ学習> 〜レポート〜 

<ファッションの歴史と社会的背景>

今回のテーマ学習、セントラルアイディアは

「私たちは時代の流れの中で生きている。」となっています。


さて、この「流れ」。目に見えるものではありません。どのように捉えているのか聞いてみました。

「話の流れっていうよね。アイデアが浮かぶいい流れ、何も解決しない悪い流れ。」

「あー、そういうこと?物語の流れかと思った。ストーリーの流れってある。」

「波に乗るとか流れに乗るとかいうよね。」

「ハヤリのこと?」

ハヤリを漢字で書くと「流行り」になることは知っている子もいれば知らない子もいます。

「流行りって書くなんて、なんか変。」

「タピオカとか、今はトゥンカロンが来てる。」

「なにそれ?知らないよ。」

「地球グミ。あれ、高いよね。」

「流行りものはお金がかかる。」

「お金といれば、物価にも流れがある。円安ドル高とか。」

そうなると流れがあるのは、食べ物、物価、そのほかは?

「音楽。アイドルとかも変わる。」

「言葉。マヨラーとか、なんとかマンジーって言ったり。流行り言葉ってある。」

「ラーってラブのラなの?」

「筋トレブーム。」

「それをいうなら、TCSで流行っることもある。ミサンガとか、かたきとか。」

「あつもり。」

「あー、前にやってたけどもうブームじゃないな。」

「え、そうなの。今すごくハマってるんだけど。」

ということは、自分の中にも「マイブーム」があるのかも。

「ベビーブームっていうのも聞いたことある。第一次と第二次がある。」

「一回流行ってもう一回流行るってこともある。」

「ルーズソックス。あれ、かわいい。」

「どこが?意味わかんない。なんかマナー悪い感じ。」

物価、言葉、遊び、音楽など、流れがあると思うものをあげていくと、流行しているものがあがってきます。同時に、どうして流行るのか、いつ流行らなくなるのか、始めと終わり、どこがいいのかなど、不思議に思うことも出てきます。

これまで時空因縁領域で、「私たちは時代の流れの中で生きている。」をセントラルアイディアにしてきたテーマ学習は「We Love 遊」でした。遊びを題材にしてきましたが、今回は遊びではなく、服装に着目します。

探究の戦略(Strategy of Inquiry)とプレゼンも伝えました。

・ファッションの歴史と社会的背景(change、connection)

・服装とTPO(function)

・自分らしい服装と着こなし(causation)

「最後はファッションショーするなんて、なんか面白そう。」

「初テーマって、TCSの歴史をつくってる感じ。」

特に時空因縁領域は今過渡期。新しくなっているテーマ学習がほかにもあります。

「変わるときはいろいろ動いてるんだね。」

初めての試みにワクワクしている様子です。

 

まずは、服について思うことを自由に語ってみます。

2グループに分かれ話したあとに出てきた話題をシェアしていきました。

【服の決め方がそれぞれ】

適当だったり、くじびき(同じものを着ないため)、習い事に合わせる、PEがあるときは動きやすい服、季節に合わせる。着慣れているもの。

【服はどこから?】

買ったり、もらったり、おばあちゃんにつくってもらったり。

【お気に入りの服がある】

好きな服は小さくなっても着てる。新しい服は嫌い。だから、買ってもらっても着ない。

【服の黒歴史がある】

前にユニコーンの服ばかり着てた。今思うと派手で恥ずかしい。あのときは好きだった。

【恥ずかしいと思うものは着たくない】

肩出しとかミニスカートとか。露出高めは嫌い。着ている人は構わない。タンクトップは気持ち悪い。着ている人もやだな。


山登りやキャンプ、式典など、日頃からイベントごとに服装に気を付けることもあるため、「何かに合わせる」といった発想はみんな持っているようです。

 

 

服についての疑問とその仮説を立て、検証するため資料にあたっていきます。

今回、資料にした参考文献は主に2種類。ひとつは日本の洋装の歴史を示したもの。もうひとつは、新聞や雑誌広告の変遷を示したもの。服といえば洋服となっている現在。洋装が一般化した歴史をみていきました。

 
「洋服の始まりはペリーが浦賀に来てからだって。」
「黒船に乗ってきたんでしょ、聞いたことある。」
「すごい人たちが来たーって真似しようってなったんだ。」

「明治10年(1877年)、東京で腿や脛を出していた人50人が逮捕されるって。理由は、外国人に対して恥ずかしいから。」

別の本にも、「外国人からみて野蛮だと思われる髪型や生活習慣、例えば、足や胸などの肌を出すことを禁止し、違反者を取り締まってきました。」とあります。

「洋服着るの恥ずかしかったんだ。」

日本人初の女子留学生として知られる津田梅子。和服を着せてくれるようたのんだそうです。岩倉使節団に同行した際にこうした話があったとは。服から見た歴史だからこそわかる情報です。

「やっぱり、慣れてない服なんてやだよね。」

 

 


「みんなに広めるために明治天皇や皇后が着たんだね。」

当時の服がそのまま展示されている文化学園服飾博物館で現物を見てきました。

 
「服がみんな小さい。日本の人は小さかったのかな。」

「平均身長って伸びているんでしょ。」

調べてみると、江戸時代に下がっていた平均身長が明治時代から上昇。服だけでなく、食事も西洋化したことで伸びていったと考えられているようです。

スタッフからでなく、みんなの中からこうした情報を持ってきてくれるといいなと期待を伝え、ネット検索の場合でも本と同様、2つ以上あたることなど、調べる基本も伝えました。

社会の大きな動きは、普段使っている「ピラミッド社会小6」を開いて読んでいきます。

1853ペリー来航
1854不平等条約
1872〜富国強兵(学制、徴兵令)
1894日清戦争
1902日英同盟
1904日露戦争
1911不平等条約の改正

明治維新の中、人々が外国人の様相に驚きながらも、見よう見まねで対等になろうと、国を強めようとして、洋服を軍服や制服など仕事着から広めていったことが見えてきます。そして、子供の七五三の服でセーラー服が大流行。特別な日に洋服だったようです。

「今とは逆だね。七五三って着物が多いと思う。」

大正期になると、洋服は人々の生活の中に浸透していきます。

ハイカラさんは聞いたことないけど、バンカラは聞いたことあるという子がいました。「崩すのがカッコイイ。」はバンカラさんたちから始まったようです。

 

引き続き、資料の中から気になることを話し合っていきます。

「七五三の晴れ着和服3割洋服7割。」
「どんどん洋服が増えていく。」
「子供は洋服が増えていくって書いてある。」

普段着も洋服になっていきます。

「洋服の方が生地が少なくて済むって書いてあった。」

博物館で見たもの読んだことも資料になっていきます。

「和服は高級になっていったのかな?」


「毎日新聞社の記者に洋服命令だって。」
「着ないとダメってこと?」


「平塚雷鳥が洋服着たらニュースになったって。」
「それだけ珍しいってこと?」

女性の社会進出が珍しい時代だったことにも触れるきっかけになりました。


1914(大正3)年 第一次世界大戦 日英同盟(1902)のため日本も勝利国に。
1915年 中国に「二十一か条の要求」
1919年 反日運動が広がる
1918年 米騒動。米の値段の高騰。
1923年(大正12年)関東大震災


関東大震災は女性の洋服を普及させるきっかけに。

和服だと下着を着ていなかったため、それが逃げ遅れの原因となったのではないかと推測されているとのこと。

「でも、命の方が大事だから。」

といっても、迷っているうちに逃げ遅れてしまう人が多かったのかなと想像してみます。

「火事で下着を履く人が増えたって。」

見つけた出来事は、1932年(昭和7年)白木屋デパート火災。女性が和服であったためにビルから逃げることを躊躇して命を落としてしまったことが報道されました。

「だから、その後でデパートの制服が洋服になるってことか。」

洋服が広まり、服を自由に選べるようになった時代。戦争で勝っても米騒動が起こり、中国や当時の朝鮮からの反日運動は高まっていった時代。

「1934年。陸軍、カーキ国防色の服装の統一運動に乗り出すって。」

これはどういうことなのでしょうか。

「1932年の五・一五事件で政府より軍人の方が強くなっていったって書いてあるから、陸軍が動き出したのかな。」

「洋服が自由になったのに、服装の統一って戦争のため?」

自由になったり規制されたり、震災や火事の教訓から変化したりと、服装の変化は社会の情勢と密接に関連しています。

 

膨大な情報量の中から自分たちが気になったこと、そこから派生して見えてきた出来事を時系列で年表にまとめていきました。

服装の統一運動と同時進行で日中戦争、第二次世界大戦が始まります。そして、国民服が制定されます。

「戦争では服が選べなくなる。」
「国民服ってシンプルでいいなと思ったけど、スフが入っていて素材はそんなによくないんだ。」

国民服も婦人標準服も博物館で現物を見ることができました。

「大学生が戦場に行くってことは赤紙が届いたんだね。」というと、「あー、その時代!知ってる。トットちゃんだ。」
「それじゃ、トモエ学園が燃えちゃったのは1944年から始まった空襲?年表に書いておこうっと。」

1944年から始まり翌年は東京大空襲となります。

「1945年って、ほかにもいろんなことがある。」


終戦を迎えると再び海外からの影響を受けるようになっていきます。

「スカート姿が増えてくるって。禁止計画がなくなったんだね。」

アメリカ古着の大流行の背景には朝鮮戦争、戦争需要で経済が回るようになります。

そして、ナイロン、アクリル、ポリエステルが国内生産され、いろんな服が大量生産されるように。

「丈夫な素材、洗いやすさ、機能的な服が売れるようになる。」
「スフはもう使わないね。」
「アクリルって素材?」実際に服の裏側にある素材表示を見てみるとアクリル素材を発見します。
「この部分がアクリルかな?」

綿100%もあれば、いくつかの素材が組み合わさっている服も多くあります。

「アクリルは色がつきやすいって。」とホームワークで検索してきた情報も出てきました。

「現代っ子ルックってなんだろう。」
「調べてみたけど、出てこなかった。」

確かに、現代っ子ルックでは出てこないのですが、原本のとおり「三菱レイヨン現代っ子ルック」で検索してみると、それらしき画像が出てきました。検索ワードも一度で断念せずに、言葉を足したり変えたりする工夫が必要になっています。

 
この現代っ子ルックから、今はない男子の半パン姿に出会います。関連して2007年に放送されたニュース番組の特集「なぜ消えた男の子の半ズボン」を参考に見てみました。

 
海外ブランドの流通とともに子供服も多様化し、半パンじゃない方が着心地がよかったのではないかという見解。

「履いてみてもいいかも。」
「もしかして、お父さん履いてたかな?」

そんな話から、

「それじゃ、ルーズソックス流行ったとき、お母さん履いてた?」
「え、もしかしてギャルだった?」といった疑問も出てきました。

 

70年代〜90年代は、多様化が進み、同時にいくつものファッションが流行ります。

「ヒッピーはニュートラの反対勢力ってわけかー。」

写真と図解の両面で見ていきます。

確かに派手な服が流行れば、シンプルな服に着目が集まるなど。流行は新しいものへと移り変わっていきます。大量生産、大量消費となれば、環境汚染にともない、環境に配慮した服やリサイクルなどに人気が集まる傾向も見えてきます。

ファッションの中でも服に特化して歴史をみてきました。

印象に残ったこととして、次のことがあがってきました。

・火事で下着が変わるっていうか下着をつけるようになったこと。和服だったけど、これからは洋服着なくちゃってなったんだなって。

・女性はスカートばかりでズボンになったのはイブサンローランのファッションショーがきっかけだったこと。

・10年間の中でも流行がこんなにあるんだ。その中でもう一度流行るものがある。ルーズがいい、崩すのがいい、ボロボロがいい、ダメージがいいって時々出てくる。

・アンチテーゼっていう考え方がファッションにあるんだってこと。戦争に反対とか、きちんとしたことに反対とか。

・セーラー服ってイギリスの海軍の服だったのが制服になって、ほかにも洋服って外国の影響受けてる。今は、日本発信の服も出てきてる。

・人工の合成繊維がたくさんできたおかげで、今、裸にならずに済んでいる。

「今はそんなに流行りとかないのかな?」
「地雷系の人たちって同じような格好してるけど。」

自分たちの着ている服は、あらゆる流れを経て辿り着いたもの。自由で多様化している今だからこそ、選択肢もさまざま。さぁ、次は自分が何をどう着るかについて考えていきます。

 

<ファッションショーを企画する>

今回のアウトプットは、自分らしい服装、着こなしをファッションショーという場で披露すること。

「ファッションショーなんて見たことないよ。」

そんな声に応えるように、文化服装学院の文化祭で入場制限なくファッションショーが開催されるではありませんか。足を運んできました。

1919年(大正8年)、当時はまだ着物が主流だった時代にできた小さな洋裁学校が文化服装学院の始まりです。1923年には、日本初の服装教育の学校として認可。今年は100周年記念。隣接の博物館でも、学院の歴史とともに洋装化の歴史をふりかえる特別展示会があり、開演前の時間を使って、当時の服そのものを見ることができました。

ファッションを専門に学んでいる学生たちが、自分たちで生地から服をつくり、見せるまでを企画したファッションショー。30分前に会場入りして周りの様子を見渡します。ショーを観にきた人たちの服装もさまざま。

「学生の人は、ちょっと変わった格好してる。」
「スタッフになってる人は黒で合わせてるのかな。」

スーツをきた年配の人たちは最前列に座っています。あとで、生地を提供した企業の人たちだとわかり納得。

 

ショーが始まると音や照明に圧倒されます。次々に初めて見る服装で登場するモデルたち。

 

「音が大きかった。」
「リズムのいい音楽とか、ゆったりとか、いろいろ変わってった。」
「暗い感じ、眠い感じとか、テーマがあった。スライド映像があったから意味がわかった。」
「よくわからないのもあった。」
「歩く方向が一緒じゃなくて、逆の人もいた。」
「あれ、間違えちゃったんじゃないの?」

それはないと思うけど、、。

「歩き方が独特だった。背筋伸びた人もいれば猫背で歩く人もいた。」
「カクカク肩出す感じ。曲がるとき、なめらかだったり、かくかくしたり。」
「みんな真顔だった。」
「それって、服を見せるためって聞いたことがある。」

ショーのメインは服。どう見せるかの工夫がどこにあったのかを振り返っていきました。

服づくりまではできませんが、服選びはしていきたいところ。

そこで、どんな服を着てみたいかをネットで選んでみることに。

 
ここからファッションショーという「場」を考慮する必要が出てきます。時・場所・場合に相応しい服装を考える「TPO」の視点です。

着たい服、似合う服を着るだけではなぜよくないのか。

そこには、服の持つ機能や役割が関係してきます。服には、身体の保護や快適に過ごすための保健衛生的機能と社会的機能があります。特に後者は、制服など集団の表示、式典では正装など慣習への順応、そして自己表現もここに含まれます。

さらに、鷲田清一著『ひとはなぜ服を着るのか』より「服は他人の視線のためにある」という一節を紹介。自分の服選びで他者の心が左右される場合があるといいます。気遣いを感じ心地よく思う人もいれば、気遣いの欠片もないと憤りを感じる人も。

どんな自分に見られたいかコンセプトを決めて、再度ショーに向けた衣装選びをしていきます。

「今年の流行色を取り入れてみようかな。」
「流行色って2年先まで決められてるんだって。ネットで調べてみた。」
「誕生色もあるみたい。」

自分の持っている服でも組み合わせ次第で「見せる服」にも変わります。

「買ってもらおうかな。」それもひとつの手段です。

「つくってもらおうと思ってる。」そんな簡単にできないけど大丈夫かな。

「ズボンを切って、半パンにしてみようかな。」

自流に加えて時流も入れようというのは面白いアイデアです。並行して、学習の中では企画会議を進めていきます。

インフルエンザの流行により、この週はテレラーン*期間になりました。
(*テレラーン… TCSオンライン学習を指す)

自身のイメージ像は各自できてきています。それをどう演出していくかを考え、決定していきます。ここで磨いていきたいのは、Social skills (社会的スキル) 。雰囲気づくりや集団意思決定、ファシリテーションの力が必要なことを下の図を見せながら事前に説明していきました。

「あ、これ見たことある。」

 

では、始めてみよう。。。おや、切り出す人がいないため話し合いが始まりません。

ようやく口火を切る人が出てきて、始まったかなと思いきや止まってしまう。

沈黙が続きながらも、ステージ配置の話をしたり(左下)、決めることリストをつくったりしながら、どこから登場するかまで決めることができました。

 

より円滑に進めるために1回目の企画会議を振り返ります。

必要なことは叩き台になる意見を投じること。

「どう思う?」「意見ある人はいますか?」という投げかけばかりで返って意見が出にくい状況をつくっていることを指摘。話し合いは叩き台から徐々に変容していくもの。質問で問いかける前に、「こう思うけど、どう?」と意見を添えて言ってみることを提案しました。

それを明確化するために、翌日の話し合いでは、ファシリテーター役の設定を条件につけました。司会との違いは意見を出して参加することにあります。

6年生になってアセンブリで困るより今から場数を踏むいいチャンスなのですが、誰もやりたいといわずに沈黙。始めからうまくはできないのだから、まずはやってみてほしいな。

 

2回目は意見を出すことを意識している感じです。

 

登場する順番を決める中で、「一日の流れになるように登場したら?」という意見から変容していきました。この叩き台があったからこそ話が進んだと振り返りで伝えると、

「でも、採用されなかったじゃない。」との声。

もしかして意見の出しにくさは、反対される、採用されないと思ってるから?

話し合いでの意思決定は自分の意見を通すことではなく、みんなで意見をつくりだしていくことにあります。今日のような体験を積むことで、価値観の変化を期待したいところです。

テレラーン期間が無事に明けていよいよラスト1週間。

最終的に衣装とBGMを確定し、それを選んだ理由が伝わるように解説を作っていきます。

 

どうしてその色なの?なぜ短パンを履いているの?その服にはどんな意味があるの?など、質問されそうなことを考え、それに答えるように文章を作っていきました。まずは思い思いに書いてみます。

かっこいいオーラを出しているお姉さんのイメージの服にしました。

「かっこいいオーラをもう少し詳しく教えて。」
「綺麗とカジュアルな感じ。」
「カジュアルってどういう感じ?」

自問自答はなかなか難しいもの。対話しながら編集作業をしていきました。

 

解説文に加えて、自己紹介を兼ねたスライド作りもしていきました。そこにコンセプトタイトルを加えることで、より自分の思いを表に出していきます。

「元気っぽい感じの言葉がいいんだけど思いつかない。」

そんなとき頼りになるのは類語辞典。PCを使っているので、こういうときこそ活用できます。

「元気 類語」で検索してみると「活発。活動的。エネルギッシュ。」と出てきます。

「エネルギッシュっていいね。それなら「心が燃えている活発なスポーツ少年」じゃなくて、「エネルギッシュな少年」の方が合う。」

白い服に意味があるから「ミルキーガール風」。

「ミルキー」だとあの飴を連想してしまい、白、ピンク、青の組み合わせは実際の服とは遠のいてしまいます。どうして白にしたのか聞いてみると、「来年のトレンドカラーだから。中学生になる2025年の色はまだ決まってないから2024年にした。」と言います。「ミルキー」よりももっと合う言葉があるはず。

「それじゃ、どうしようかな。」と視点を変えて考え直します。

しばらくして変えてきた言葉は「中学生っぽい3年後の自分」。

3年後は中学生だから「っぽい」ではないこと、3年後と中学生は同じ意味にもなるから両方はいらないことを伝えると、「3年後の自分」に。

伝わるなら文字数は少ない方がいい。どんどん言葉が洗練されていきます。次のテーマ学習の布石にもなりそうです。

また、解説文をつくってみると、ここまでの学習でインプットしてきたことが言葉でアウトプットされ、学びの成果が見えてきます。

「ファッションショーを見て、今まで服にこだわりがなかったけど、自分もかっこいい服を着てみたいと思うようになった。」

「最近ニットのベストを見なくなったから流行させたい。」これはリバイバルの発想。

「流行していてみんなが着ているから着るというのは違うと思う。」新たなの流行が生まれるひとつに「アンチ」の発想がありました。

調べ直すきっかけにもなりました。

「アメリカだけじゃない国の服も流行った時代っていつだっけ?」

「それって、ルーマニア・ルックのあったところでしょ。確か、この辺だったような。」

資料を辿ると、西洋ファッションにはないデザインが注目を集めたのは70年代だったことが確認できます。

 
並行して「見せ方」も磨いていきたいところです。

「いいの見つけた。」

歩く練習方法をネットで見つけてきてクラスルームで共有。一緒に確認して、実際にやってみました。

なんだかぎこちない。普段の歩き方と全く違うことがやってみるとわかります。なにかコツはないかとネット検索するといろいろ出てきます。

   

真似して歩いてみては、自分たちの姿を確認。その繰り返し。

「ポージング練習もあった!」

 
ここはモデルになりきること、選んだ服とそれを着こなしている自分に自信を持ち堂々と歩くことが肝要です。恥ずかしがっている場合ではありません。思いっきりかっこつけていいし、自分をかっこよく見せないとコンセプトにしている「見せたい自分」から遠ざかってしまいます。動画で見たモデルたちの堂々たる姿が改めて参考になります。

 

 
さぁ、いよいよ、本番を迎えます。

 

<プレゼン&ふりかえり>

音声とスライドに不具合があったので、お昼のあとに他の学年全員に協力してもらい、追加プレゼンしました。5年生たちは、ことのほか喜んで楽しんでいました。

服に思いを込める。そんなことができるんだ。日本の洋装化が始まってからの歴史を辿り、現在ファッションを学んでいる学生たちが企画するファッションショーを目の当たりにし、彼らの服への視点が変わっていきました。

プレゼンでは、堂々たる姿で自分らしさを表現することができました。本番でこれだけの力を発揮できるのは本当に立派です。

オーディエンスからは「それぞれの個性が出ていた」という感想を数多くいただきました。モデルさながらのパフォーマンスに「自分らしく歩けましたか?」という質問もありました。

 

「緊張したけど楽しかった。」との一同の声に、満喫していた様子が伝わってきました。

自分だったらステージの場でどんな服を着るのか、なぜその服を着るのかを考えることは、変化する環境や時代の中で自分がどう適応していくのかを考える、まさに「時空因縁」領域で目指す姿そのものになっていきました。

セントラルアイディア「私たちは時代の流れの中で生きている。」について、今思うことを聞いてみると、次のような意見が出てきました。

「ペリー来航から始まって、和服から洋服にみんな流されている。」

「でも、それまではずっと和服だったから和服の時代ってすごく長い。」

「流れってある。流行りは止まらない。ほかが流行り始めて、今流行っているものが終わってく。リレーみたい。」

「昔の服はダサいと思うけど、その時代に生きてたらかわいいって思うのかも。」

「今着ている服って昔の服が進化したもの。これがいいって思う服も、昔のものがつながって今あるもので、どんどん違うものになっている中で生きているってこと。」

「流行りが始まるのは、何かの影響が多い。外国の人の服装とか、映画とか小説とか雑誌とかで着ている人の真似するのが多かった。」

「いいなと思って流れることもあれば、白木屋事件みたいに出来事で服が変わっていく流れもある。」

「今は和服って着たい人が着てる。着る人と着ない人がいて、その中で自分たちは生きている。」

「戦争中だとスカート禁止とか、ゲートル命令とか、自由に服を選べない時代があった。」

「今は洋服が当たり前で、それって流行りって言わないから、流行り以上になると常識になっちゃうのかな。」

洋服が日常的になったのはいつからだっけ?とふりかえると、戦後で78年間続いていることになります。和服の時代と比べると短いものです。渦中にいると気づかない「大きな流れ」の中にいるのかもしれません。未来、洋服じゃない時代がくるならどんな服なんだ?!今は想像もつかない服なのでしょう。もやもやしながら6週間のテーマ学習はおしまいです。どの時代を生きていても流れはあり、その時代の流れの中で私たちは生きている。この概念に到達したことを実感できたふりかえりとなりました。

 

AN


(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。
2023年度 年間プログラム(PDF)運用版
テーマ学習一覧表(実施内容)

 

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