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「顔にかいてありますよ」1年2年生 テーマ学習〜レポート

 

 

【探究領域】意思表現
【セントラルアイディア】人の心は表情と仕草で表現される。

テーマ学習 レポート
  <心を表す表情と仕草(form)>

18人の1・2年生クラス「学学学ビーズ」。前のテーマ学習は学年ごとでしたが、今回はクラスで学んでいきます。私たちがどうしたら気持ちや考えをわかり合えるのかを考えていく、意思表現の探究領域で、「人の心は表情と仕草で表現される。」というセントラルアイディア(概念)に到達することを目指していきます。

まず、今の時点でそれぞれがどんなことを知っているのか、テーマタイトルやセントラルアイディアからどんなイメージが出てくるのか、先行知識を探っていきました。

 
「表情と仕草」ってよくわからない。「表現」って何?

1年生にとっては見慣れない漢字に「?」が多い中、

「表情ってうれしい、かなしいって顔でわかるってこと。」

「手繰り身ぶりのことだと思う。」

2年生では知っていることを話したい様子。

「本物とは違うけど、手を頭につければ、うさぎって伝わる。」という2年生の発言に、

「体も跳ねれば、もっとわかるよ。」と1年生が動きをつけると、

「体と顔って繋がってる感じがする。」

「手を振れば、おはよーっていってるみたい。」

気がつけば1・2年生関係なく思ったことの連鎖で話が続いていきます。

寝転がっていても、突然発言。そうは見えなくても参加しているのですね。

「仕草があれば顔全体がわかる。」

「手の動きと目でもわかる。」

日頃マスクをしているからこそ出てくる言葉なのでしょうか。

「笑顔だと元気でうれしいって意味。」

「意思表現とも繋がると思う。」

おー、なかなか鋭い。

「自分の顔で、こういうことだよって伝えるんじゃない?」

「人だけじゃなくて、動物にも表情と仕草がある。」と1年生。

確かに。話を聞いているからこそ、わからなかった言葉をもう使っているからすごい。

自分の気持ちを表情と仕草でどうやったらわかりやすく伝えられるのかを考えていくテーマであることを伝えると、なんとなくイメージができた模様。

 

その中で、面白い意見が出てきました。

「怒っているように見えたから、その場から離れたんだけど、あとで聞いたら怒ってないって言われた。」

思ったことと違うことが表情に出てしまうってこと?

自分では気づかないうちに怒った気持ちが出たとか?

それとも、思っていないことが表情に出ているときもあるとか?

モヤモヤしてきます。

そこで、本当のことを表情に出さずにいられるか実験をしてみることに。

トランプカードでダウトゲームをやってみました。

マスクあり(声あり)とマスクなし(声なし)で2回戦実施。

違いがあるかの比較もしてみました。

 

ゲーム後、発見したことをふりかえっていくと、

「ニヤってわらうとダウトだってわかった。」

「表情に出さないようにしたら、だませた。」

嘘をつこうとしても、表情に出てしまうとわかってしまい、表情に出さないようにすると嘘だと気づかれないとのこと。

マスクの有無に関しては、意見が分かれる結果になりました。

「マスクありだと口の表情がわからない。マスクなしの方がわかりやすい。」

「マスクありの方が声が出せるからわかりやすい。」

表情よりも声を頼りにしているのかもしれません。

ますます、セントラルアイディアに疑問が出てきました。

「人の心は表情と仕草で表現されるのか。」

そう思う10人。そうは思わない7人。(1人欠席)

これからの学習を通して、どう認識が変化していくか楽しみです。

 

本テーマ学習では以下の3つを軸に学習を進めていきます。

・心を表す表情と仕草(form)

・表情と仕草が与える印象(perspective)

・自己表現と他者理解(connection)

心の中の気持ちを表情と仕草で表すことは何気なくしています。

意識して、怒ってる顔、困っている顔、嬉しい顔など、その場で表現できる子もいれば、恥ずかしくてできない子も。仕草となると、どんな感じかな?と迷ってしまいます。

表情と仕草の事例を見て、自分が同じ気持ちになったことがあるかを思い出し、実際に事例を真似てみることをしていきました。

 

すごろく形式で進めていきました。

 

 

3人組でやってみたあとで、伝わりやすかった表情と仕草を紹介してもらいました。どんな気持ちか聞いてみると具体的な話があがってきました。それぞれに思っている気持ちが表に現れていることがわかります。

 
すごろく後の感想の中には、

「表情って難しい。なんでだろう?」という疑問も出てきました。

 

思いを言葉でなく表情と仕草だけで伝えるにはどうしたらいいのでしょうか。

「大げさにすればいいのかな。」

「変になっちゃうとおかしくなる。」

ここは、プロからヒントを得ることに。

パントマイムを専門にされている方が表情と仕草のポイントを伝えている動画を紹介。

 

視聴して、どんな気持ちが伝わったか聞いてみると、嬉しい気持ち、楽しい気持ちのほか、

「ハーモニーが伝わってきた。みんなに(表現の仕方を)伝えたいって思ってそう。」

「ラブが伝わってきた。この人はパントマイムが好きってこと。」

TCSスピリットが伝わってきたといいます。

表現の仕方ひとつで、それが伝わってくる。そして、それを真剣に見ていたからこそ、伝わってきたともいえます。

発信する側、受信する側が互いに意識することで、ここまで伝わることがわかります。

「表情と仕草が与える印象」について考えるきっかけにもなっていきました。

そして、今回、学びの成果としてプレゼンすることは、TCSスピリットを表情と仕草で表現することであることを、ここで紹介しました。

一緒に「笑いの練習」をしてみます。

顔と体を大きく使うことで、なんだか楽しい気持ちになってくるから不思議です。


 

全体で練習した後、一人で「楽しさ」を表情と仕草で表現することに挑戦。

3人組になって、good and betterを出し合い、磨いていき、最後は撮影するという課題を提示。さぁ、自分たちだけでどこまでできるかな。

 

「笑ってるところがいい。おおげさすぎて、変に見えちゃうな。」

「それって笑わせようとしてるだけじゃない?楽しい感じじゃない。」

「動きはいい。顔が笑うともっといい。」

「ほっぺたあげるといいよ。」

 

テーマ学習では、特に発揮したいスピリットを予めスタッフ間で決めています。

ここでは、非言語表現への気付きと表現を心から楽しむ「Playfulness」と、伝えたいことが伝わるように、協働して非言語表現をつくりだす「Harmony」の2つを焦点に当てています。

最初からうまくいく場合もあれば、そうでないことも。

 

特に、2年生ひとりの3人組は苦戦してしまいがち。進まない中、3人とも不幸せな気持ちになっていってしまいます。毎回、メンバーを変えながら、スタッフが入りながら、2年生にはがんばってもらっています。

TCSでの学びは「なんでもやってみる」こと。それを知っている2年生は、課題はやるものとわかっています。でも、1年生の場合は、「やりたくない。」「恥ずかしいからやだ。」が通用できるか試している段階。そうした気持ちは自然と表情や仕草に表現されます。

自分の表現がどんな印象を与えるのかについて考えていく契機になりそうです。

どうしたらみんなが幸せな気持ちになれるのか、TCSスピリットを発揮することにヒントを見い出していきたいところです。

 

<表情と仕草が与える印象(perspective)>

「楽しい」を表現する。撮影したものを見ながら振り返りをしていきます。

 

【やってみて思ったこと】

・演技するのが大変

・楽しいことを考えるとできた

【楽しそうな表現をしている人たちの映像を見て思ったこと】

・体全体を使っていて、オーナーシップを感じる

・踊っているのが楽しそうで、ダンスへのラブがある

・楽しいことがあった感じだから、プレイフルネス?

演じようとするとうまくいかない。素を出せればうまくいくけど、いざやるとなると難しい。一生懸命やろうとする姿には、オーナーシップ。やっていることそのものが楽しそうな姿には、ラブ。プレイフルネスは「楽しく」見えるものでも、楽しもうとするときに発揮されるスピリット。聞いたり話したりしていく中で理解を深めていっています。

ほかのスピリットも表情や仕草から伝わるのかどうか。朝の会の映像から「聞くぞう」たちに着目して見ていきます。

 

音無しで映像を見ても、聞いている人と聞いてない人の差は歴然。

「Tさんは、プレゼンが好きってラブが伝わる。興味津々で聞いてる。」

「私、Hさんが好き!」

6年生のHさん、じっと語るべぇの方を見て、頷いたり、終わると笑顔で拍手したりと、すべてのスピリットを発揮しているように見えます。

スピリットを発揮している人は、みんな好きになるよね。

「ぼくは、最初聞いてなかったから、今度は聞くぞってレジリエンスを発揮してたよ。」

真剣に聞いている姿に、そうした理由がわかると、なるほど納得です。

実際に、語るべぇ・聞くぞう・撮影する人に分かれて実践してみました。

自分たちが発揮したというスピリットは次の通り。

 ラブ(相手のことを思って聞く)
 プレイフルネス(面白さを見つけようとしながら聞く)
 オーナーシップ(自分とのつながりを探しながら聞く)
 レジリエンス(がんばって聞く)
 コンフィデンス(自分は聞くぞうができると思って聞く)

ところが、撮影した動画を見てみると、そうは伝わってきません。

なぜ?上級生との違いはどこにあるのでしょうか。

「表情がない。」
「どんなふうに聞いているのかわからない。」
 「表情って難しい。なんでだろう。」

せっかく、TCSスピリットを発揮しようとしていても、相手への印象は別のものになってしまっています。

そこで、スクール内でスピリットを発揮している人を見つけ出し、その人にどんな気持ちでいるのかインタビューしてみることに。心が表情と仕草で表現されるのならば、その心のうちを聞いてみようではありませんか。

 

 
 
 

どれも心の中がポジティブであることが見えてきます。

また、スピリットがあるときはポジティブ、スピリットがないときはネガティブであることが、つぎの短編映画を見ることで、わかってきました。

 

無声で何を言っているのかはわからなくても、表情や仕草でどんな感じなのかは伝わってきます。

左側の人が「笑う」場面で、その心の中を想像してみると、次のようなセリフが出てきました。

上段:ざまあみろ。弱いなお前。俺をなめんな。俺の方が強い。
下段:あの人、よかった。また会えるといいな。あの人、好きだな。いい人だな。ともだちになりたいな。

TCSスピリットがある・ない、両方の気持ちを思い起こすことで、表現に差がつくかどうかを試していきました。

〜〜〜〜〜〜

2日間はお題付きを実践。3日目はスピリットだけ指定して、動きは各々で考えてみることにしました。

  

ダンス練習でレジリエンスを発揮できない場合だったり、苦手な食べ物に対してコンフィデンスを発揮した場合だったり… 繰り返し実践していく中で、出てきた発見がありました。

「間違えてもやるのがレジリエンスってわかった。」

「手を使った方が楽しそうに見える。使わないとつまらなそうに見えてしまう。」

「口をおっきくあけると美味しいが伝わる。」

 「足の動かし方。遅いとつまらなくみえる。」

「つまらないと思って走る。楽しいと思って走る。違く見える。」

「ちょっとうなずくだけじゃ石みたいで何にも動いていないのがわかった。」

「相手の目を見るのって大変。」

「元気よくっていうのはいつも通りで簡単。元気がないのは難しい。」

少しの動きでは伝わりにくい、難しいと思うのは日頃していないから、などなど、相手に与える印象を考えることで、少しずつ視野が広がってきている様子です。

 

では、伝えたい思いをどう表現していけばいいのか。相手をどう理解していけばいいのか。自己表現と他者理解についても考え始めてきています。

 

<自己表現と他者理解(connection)>

メールよりも電話、電話よりもオンライン、オンラインより直接対面。コミュニケーションをとる場合、実際に会った方が自分の表現の幅も広がり、同時に、相手が何を伝えたいのかを理解する幅も広がっていきます。

今回、パフォーマーのささきりょうさんが、このテーマ学習へのご理解とご協力をしてくださったおかげで、ライブで達人のパフォーマンスに触れる機会が実現することになりました。

古代ギリシャ語で、あらゆるすべてのまねをする意のパントマイム。

伝える側と受け取る側がもつお互いの想像力が大切だと、ささきさんはおしゃっていました。

目の前に壁があることを想像して・・・触ってみると、

「あ、冷たい!」
「なんか、あったかくなってきた。」

 

スキルとしては、緊張と脱力がポイントとのお話も。

壁を触るときには、力を入れ、離すときには力を抜く。

こうしたメリハリが、伝わりやすい表現へとつながっていくのですね。

「あれ?エスカレーターあるの?」思わず後ろに行って見てしまう子も。
「ない!なんで降りてるように見えるの?」

ここにも、お互いの想像力が働いています。

 

さて、低学年向けに、普段この作品は出さないのだけど、あえて子ども扱いしないで、みんなに見てもらいます。と、最後に「りんごの木」という作品を見せてくださいました。

テーマ学習に合わせて、子どもたちに響くものがあればと選んでくださった作品でした。

自分たちが表現する際に「大げさ」にやった方が伝わりやすいことはわかっていても、どうしたらいいのかわからないでいたところ、ささきさんのパフォーマンスからヒントを得たような発言が、ふりかえりの中で垣間見られました。

【1年生の感想】

・びっくり仕草が、手や体全体を使って大げさにやってた。

・壁に触ったら冷たくなった。

・両手でりんごの木の枝を表現してた。

・傘が上に上がった。これ、みんなができないやつだった。

・エスカレーター、ほんとにないのに降りている感じだった。裏に行ってみたけど、ほんとになかった。

・簡単そうに見えて難しい。ないんだけど、想像力があればできるかも。

【2年生の感想】

・壁で緊張の手で触る。脱力の手で離す。でも、はやすぎて壁を破ってるようになっちゃった。

・りんごが実ったときの仕草やうれしさ、笑い方が印象に残った。自分がうれしいときにも使いたい。

・りんごの木の泣いているシーンで悲しみを表現してた。泣いてる感じを思い出すと表現できると思った。

・傘を動かす場面、みんなの前でやってみたい。

・少年が泣いた場面、りんごを食べる場面が大げさにしているところがよかった。

・りんごの木、木も枯れるし、人もおじいさんになる。ひとりしかいないのに、2つも伝わってきた。

また、「りんごの木」でのささきさんから感じた「心」を聞いてみたところ、次のような発言がありました。

・緊張してるのかな?

・一生懸命やってる

・ポジティブな気持ち

・すごく木を大切にしてる。おじいちゃんになっても忘れないって、木のこと好きすぎる。木へのラブを感じた。

ささきさん、ありがとうございました!

いよいよ、プレゼンに向けて、自分が担当になったスピリットを「表情と仕草」で表現していきます。

ワークシートに6つのスピリットを発揮している(もしくは発揮したい)場面を書き出していきました。それを元に担当スピリットを割り振りました。そのため、練習のときに担当したスピリットとは異なります。

 
みんなの前で表現してみて、見ていた子たちが、スピリットをどう理解したのか語っていきます。

「ラブには見えなくて、ハーモニーに見えちゃった。」

「がんばっているように見えるから、コンフィデンスよりもレジリエンスが伝わる。」

こんなときに、助けになるのが、「ないけどある」ようにみる想像力です。

どんな場面を想像しているのか、そこに本当にいる気持ちになっているか、それが足りていないうちは表現しきれていない状態であります。

 

「ほとんど伝わらなかった。次は、自分だけじゃなくて、相手も表現してみようかな。」

「ありがたいって気持ちがなかったかも。」

「表情が出せてなかったと思う。」

友達からの発言を受けて、改善点を考えていきます。

「本当は、困った人をあまり助けたことがないから気持ちがわからないよ。」

「投げるの好きになりたいけど、チームが勝てなくなるから投げてないんだ。」

経験を思い出すことだけでなく、理想を思い描くにも想像の力を使いたいところであります。

 

「この前は、全然伝わらなかったけど、どこを走っているのか想像してみたら、伝わる部分も出てきた。」

伝わるとうれしい。もっと伝わるようにしたい。そうなれば、学びのサイクルはどんどん回ってきます。

プレゼンでは、3人ずつ前に出て、同じスピリットを各々で表現していきます。

協働での表現ではなく、ひとりずつが、自分の思うスピリットを表現するため、場面もさまざま。どんなプレゼンになるか、お楽しみに。

 

<プレゼン&ふりかえり>

プレゼンで伝えたいこと、伝え方が定まってきたら、あとは思いっきり自己表現を楽しめるかどうか。そして、自分と同じように自己表現していく仲間を応援できるかどうか。つまりは、いい受信者になれるかどうかが学びのポイント。これは今回のテーマ学習で特に発揮したいスピリット(プレイフルネス・ハーモニー)と一致していることでもあります。そこで、プレゼン前に、前回のテーマプレゼンを音無しで観察してみました。着目したのは、自分が話していないときの表情と仕草。一人ひとりが今回のプレゼンで目指したいことを記録すると、自分を高めるために必要なことを見つけ出せていることがわかります。

 

今回のプレゼンは「自己表現と他者理解」を伝える内容でした。

自己表現では、それぞれがひとつのスピリットを表情と仕草だけで表現。50秒という制限時間の中で、時間があれば繰り返して行うことにしていました。

他者理解では、1つのスピリットにつき代表して1名が、他者の表現のどこからそのスピリットを感じたのかを語りました。練習の中で、ほかの人が何を伝えたいか知っている部分もありましたが、見て感じたことのみを語るようにしてきました。代表者の発表はプレゼン当日に行いました。

 

ステージに立ち、聴衆の視線を感じる中で、意思表現することは勇気のいることであります。一人ひとりが持っている力を出し、スピリットを発揮し、ひとつのプレゼンに仕上げることができました。元気のいい挨拶から彼らのモチベーションの高さが伝わってきます。

ふりかえりでは、プレゼンの様子のほか、6週間の学びを振り返ります。特に、セントラルアイディアについて1週目と考え方や感じ方がどう変化したのかを確認していきます。

人の心は表情と仕草で表現される。

1週目は、そう思う人、そうは思わない人で分かれていました。

ふりかえりでは、次のような展開に。

「思っていることと違うことはやってないと思う。」

練習では思いっきり表現していたけれど、本番で固まってしまった1年生の発言。

「え、ぼくは違うと思う。だって、思っていることと違うことやっちゃった。」

プレゼン映像を見て、ちゃんと立ちたいと思ってたのに、立てていなかったからと、こちらも1年生の発言。

最初の意見も、よくよく聞いてみると、本番でも練習と同じようにやりたかったと言います。なのに、思っていることと違うことはやってないと思うの?と聞いてみると、

「2年生は、ちゃんとやってた。」と言います。

思ってないことが表現されてしまうのはなぜか?

みんなが黙ってしまったとき、カズさんの総評を話題にあげてみました。

「意識しているときはよかったけど、そうじゃないときはって話してた。」

しっかり聞いててうれしくなります。それだけ、もっとよくなるにはどうしたらいいか、振り返る大切さを知っているのですね。

総評には、みんなに伝えようとするときには意識しているけれど、そうでないときも意識できるといいとのアドバイスが含まれていました。

「意識かぁ。」「意識して!ってTCSの歌にも出てくる。」

「それって、意思表現の意と同じだね。」

ちゃんと立ちたいと思っていても、そのときには意識できていなかったことになります。

「ボーッとしちゃってたかも。」

「メリハリがあると伝わりやすいって、ささきさんが言ってたから、メリハリがなかったかもしれない。」

「心がないときって、違うことしちゃうのかな。」

確かに、自分では思ってないことをしてしまうときに「無意識」が使われることもあります。

そして、「やりたいって気持ちがあったのにできなかったのはなぜか」改めて考えてみました。

「やろうと思ってたのに、時間切れになっちゃった。」

「本番でできなくなったのは、恥ずかしかったから。緊張しちゃったから。やりたいって心の奥に行っちゃって、緊張があって、表現できなかった。」

「緊張していたら、何もできなくなっちゃった。」

やりたくても、その気持ちが奥に行ってしまった意見に同意する子たちが多数いました。

「でも、僕は緊張したけどコンフィデンスが出てきて、やりたいことできたよ。」

TCSスピリットが前向きやポジティブな方向に導いてくれることは、これまでにも学んできたことでした。

「恥ずかしさ」が「自信のなさ」からであれば、コンフィデンスが。「のめり込みのなさ」からであれば、プレイフルネスが、自分を後押ししてくれるスピリットになります。

「でもさ、緊張って、いいことでもあるでしょ。緊張と脱力が必要ってパントマイムでやったから。なんで同じ緊張っていうんだろう?」

緊張は力を入れる意味では、どちらも同じです。力を入れすぎちゃったり、できなかったらどうしようとか考えすぎちゃったりすると、固まったままになってしまう。そこで脱力が必要になってくる。緊張と脱力はセットであって、それがメリハリにも通じてくる。こうして、これまで学習してきたことを振り返っていきました。

今回のセントラルアイディアに出てきた「心」についても、「気持ち」だけでない「スピリット」について考え続けてきた6週間でありました。

1・2年生合同では初のテーマ学習。学年を交ぜて3人組や2人組での活動を多く取り入れてきました。そこにはこんなコンフリクトがあったように感じています。

【1年生】

やりたいと思っているけど体は思うように動かない。

学びたい気持ちはあるけど、今はやりたくない。

心の中で葛藤はあっても、そのときの気分や楽な方に流されてしまう様子。

【2年生】

1年生の面倒を見たいけど、自分がしっかりできるわけではない。

一緒にやりたいけど、思うように伝えられない。言うこと聞いてくれない。

どうしていいかわからなくなる。そして、ネガティブになってしまう様子。

あるとき、前回はやるべきことを一緒にできなくて落ち込んでいた2年生が、「今日はうまくいった!それは、2人ともやる気もってたからうまくいったんだと思う。」と授業後のリフレクションで発言したことがありました。

決め手はお互いのスピリットにあるのでは?

そんな仮説のもと、スピリットってなんだろうと考えるきっかけにもなりました。

プレゼンでの質疑応答で「発揮したいスピリット」「発揮してきたスピリット」が出てきましたが、自分に足りない部分、できている部分が振り返れていること自体が素晴らしいことであります。6つのスピリットをすべて理解できることが今回のゴールではありません。6つのスピリットを発揮できるようになりたい、そう思うことで、日々の生活の中でスピリットについて考えることができたら、大きな成果であります。

プレゼン前に目標にしていたことが達成できなかったとしても、それは今回できなかっただけで、今はまだできていないだけのこと。自らが目標を持つことに価値があり、その点で、学学学ビーズたちの思いにはブレがないことがわかり、担任として、彼らがじわじわと成長していることに確信が持てた次第です。

今回のテーマ学習を機に、言葉だけでない意思表現があることを知り、自分の意思をどう伝えたいのか、どう伝わっているのかを考える視点、それと同じく、相手が何を伝えたいのか考える視点をこれから持てていけることを願っています。

 

AN

(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。
2022年度 年間プログラム(PDF)運用版
テーマ学習一覧表(実施内容)

 

 

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