【探究領域】時空因縁
【セントラルアイディア】この地には歴史が刻まれている。
<テーマ学習> レポート
巻三〜町人の街:浅草〜
1回目のフィールドワークでは皇居とその周辺を散策。
見つけてきた痕跡についてそれぞれの発見や疑問を共有し、その土地がどのようにして作られたのかを映像資料をもとに学びました。
江戸はもともと葦の生い茂る田舎町だったが、徳川家康が大改造。
まちを発展させるために巧妙に張り巡らされたお堀。「守りだけでなく、ものを運ぶのにも便利なんだ」と車や列車のなかった当時、船が大荷物を運ぶ役割を担っていたことを知ります。
また、埋め立てによって大きく変化した地形。東京駅以東はもともと海だった!?どうやってそんなに土を運んだんだろう。途方もない作業に驚きました。
また、江戸城跡の石垣。
興味を持って調べてきた子達もいましたが、気になるのはその石がどこから運ばれてきたのか。
なんと、伊豆から運ばれてきたとのこと。戦が無くなった武士たちは石を運び、将軍へ奉公することこそが名誉であるとまさに命懸けで取り組んだようです。その痕跡は石垣の石に彫られた家紋や印からもわかるとのこと。
見つけた段階では「大きい!」「崩れそう」「四角く切られている」といった見た目の気づきが多かったのですが、その石がその場所にその形である裏には歴史があるのだと感じたようです。
なんとなく見逃しそうなものも痕跡なのかも、そんな思いを持ちながら2回目のフィールドワークの行き先を考えました。
前回回った場所について、現在の地図と古地図を見比べ、くらいの高い人たちが住んでいた地域であることを知ったみんなは、他の人たちはどこに住んでいたのだろう、と気になりました。
「でもさ、偉い人のものはしっかり管理されているかもしれないけど、普通の人のものってもうなくなってるんじゃない?」
「確かに、ものとかなら埋まってそうだよね」
そうなると、当時の人々の痕跡は見つけられないのでしょうか?
「でもさ、お店とかは昔から続いているのがあるんじゃない?」
「しみせ、だっけ?昔からあるお店」
「老舗、じゃない?」「東京のし、に、せ…..めっちゃある!!!」
すぐにiPadで調べるキッズたち。一覧となったサイトには老舗の名前と場所がずらり。
中央区もけっこうあるけど、他にもあるね。。。
台東区にめっちゃあるよ!
台東区ってどこだ!?あ、浅草って聞いたことある!
そこ、私行ったことあるよ!確かに古い建物いっぱいあったかも。
あさくさじ、あさくさてら?でかい寺が古地図にも書いてある!これは痕跡だ!
周りに寺ばっかりだ!なんだここ!
一つの発言から一気にアンテナが動き出した子ども達
「おのけん、台東区に行こう!」
全員一致で、2回目のフィールドワークは台東区、浅草橋〜浅草を歩くことに決まりました!
ーーーフィールドワーク@浅草ーーー
2回目のフィールドワークのスタート地点は浅草橋駅。
ここから地図と古地図を手に、浅草寺のある浅草を目指していきます。
駅の近くには「人形」のお店が。
「老舗だ!江戸で、最古って書いてあるぞ!」
当日はあいにくイベントがあり一般の人は入れないとのことで、外から痕跡を探す子ども達。「人形の作り方は昔から変わってないのかな?」そんな疑問も聞こえました。
浅草寺とは反対方向ですが、すぐそばにあるとのことで「浅草橋」へ向かうと、そこには屋形船がずらり。
「古そうな船もあるけど、江戸時代から使われているのかなぁ。」
「いや、作り直しているね、きっと。でも古そうだけど!」
「両端が壁で、なんか窮屈そうだよね。」
などなど各々感想を述べながら痕跡を探します。
看板を見て、
「このままいけば東京駅の方に行くんだって。」
「じゃあ浅草寺に行くにはこの橋を渡って行ったのかな」
「俺たちも渡ろうぜ!」
と当時の人たちと同じように浅草橋を渡ってみます。その勢いで浅草寺を目指す…はずがここでトラブル。
浅草寺は、どっちだ!?
道端の看板には浅草寺は書かれておらず、手持ちの地図との照合に手間取ります。
困った面々は交番に行ってみることに…
しかし、パトロール中で不在!
すると、Yさんが持っていた磁石を糸に吊し、なんと簡易方位磁石を作ります。
「北は、あっちだ!」
先週の理科でやった実験がここで活きるとは!(嬉)
浅草寺が北にあることはわかっていたので、一同は方位磁石を頼りに北へと向かいました。
すると、「お腹がすいた….」とSくん。
急遽みんなで公園を探し、お昼休憩。公園へ向かいながらも、余裕のある子どもたちは神社や人形屋さんなどをいくつも発見し、その数に驚いていました。
公園に着くと雨もあがってきました。しっかり食事を取り、午後に備えます。フィールドワークに行くときは朝ごはんが大事だね、というふりかえりもありました。
さて、午後は大通りに戻り、北上していきました。
だるまなどがずらりと並ぶお店。
気になって入ろうとすると店員の方が「ここはお店を開いている人に売っているお店なので、一般の人には販売していないんですよ」と説明がありました。
「また一般の人はダメだってさ」
「お店の人のためのお店かぁ、だからこんなにいっぱい商品あるのかなぁ」
昔から続く問屋も商売の形としての痕跡、なのかもしれません。
ビルの間にも神社が。
江戸時代から続く神社のようですが、突然現れた小規模の神社にびっくり。
一体誰が管理しているんだろう。昔からそのままなのかな。
ビルの間にあるってことは、ここを避けるようにビルを建てたのかな。
「変化」に注目した疑問が多くなってきている子ども達。痕跡から昔を考えるアンテナがどんどん働くようになってきていますね。
さらに行くと、今度はあれ?仮面ライダー!?さらにアンパンマンや悟空などのキャラクターがずらり。
それもそのはず、ここはバンダイの本社。
「ここは新しい、って意味でほかと雰囲気がちがうね」
「でもドラゴンボールって古いよね、そういう意味では痕跡?」
なるほど、江戸時代とまでいかずとも、昔にこういうものがあったと示すこのキャラクターたちも痕跡になるのか。と考えさせられます。
Hくんの渾身のかめはめ波、通りかかった社員の方々が笑顔になっていました。
ピカピカのバンダイ本社の隣には何やら古そうな建物が。
なんだ「どぜう」って?
HくんとAさんがインタビューしてみることに。
お店のお姉さんが丁寧に対応してくださいました。説明を聞くと、ここも江戸時代から続く老舗。なんと当時は近くの隅田川から取れる「どじょう」を料理にしていたそうな。
建物自体は建て直していますが、江戸時代から場所は変わらずに営業しているとのこと。どじょう、どんな味なのか気になりますね。
さらに北上し、辿り着きました雷門!記念に一枚!
そして細部までじっくりと観察。
どうやらこの雷門、松下電器と関わりがある?!
「パナソニックって江戸時代からあるの?」
「そんな昔じゃないでしょー!作り直したんだよきっと!」
ということは浅草寺も作り直して新しいのかな?感想を述べつつ、くぐった先は仲見世通り。
こちらのお店、看板こそ「享保」とありますが、お店自体は20年ほど前に入ったもの。元々のお店が看板は残して欲しいと頼まれ、看板だけが痕跡とのこと。
ひっかけだー!と盛り上がるも、このお店で売られていた人形焼は江戸時代から続くもの。
見回すと人形焼は多くの店で売られています。じゃあその中で最も古いのはどこだろう、と子ども達が聞き取り調査に挑みます。
人形焼のお店の人に質問し、古いお店をたどっていくと、、、
浅草寺の手前まで移動。角に構える「木村家」がどうやらこの通りで最古の人形焼きとのこと。
けれど、人形焼自体は浅草発祥ではなく「人形町」との情報を仕入れ、気になる子ども達。「元祖を味わってみないと」という声も聞こえましたが、そこかしこに「元祖」という文字が溢れかえっている通りで得られた「元祖」につながる情報、気になりますね。
そして、浅草寺に参拝。
煌びやかな装飾に目を奪われますが、ここで本日のフィールドワークはタイムアップ。
浅草駅移動し、TCSへと戻ります。前回と違い、1日フルで使うことができなかったこともあり「もうちょっと見て回りたかった!」と不完全燃焼な子ども達。
帰りの電車の中でも「もっとルートを決めておけば色々見て回れたかも」
「次行くならもっと痕跡のありそうなとこを考えておかなきゃ」
とふりかえっていました。
TCSでは1回目のフィールドワーク同様、気になった痕跡について旅日記にまとめ、共有しました。
今回は自分で調べた内容を盛り込んだ子ども達が多く、フィールドワークで見つけた痕跡、なんでその痕跡があるのか、昔からそのままなのか、などInquiry Keysを用いながら様々な角度で痕跡を見てみた様子が伝わってきました。
古地図と見比べながら振り返るフィールドワーク。トラブルがあったこともあり、見て回れなかった場所が多かった、もっと痕跡がある地域があるんじゃないかとモヤモヤする子ども達。全員から「もう一回フィールドワークに行きたい!」と声が上がりました。
では3回目はどこに行こうか?
それぞれが気になる地域をプレゼンし合ってみましたが、TCSキッズ、単に多数決では決めません。
それぞれの調べてきた内容を共有しながら、候補地を色々な視点で見てみます。
明治神宮は明治時代と関係がある。明治天皇っていう武士や将軍とは違った存在だよね。
皇居の周りにはたくさんの建物があるし、まだまだ痕跡はあるはず。(江戸時代よりは)新しいけど(平成よりは)古い建物とかもあるし、色々変化が見えそう。
人形町は昔ながらのお店がいっぱいある。船で交易していたから、偉い人とも繋がりがあると思うし、町の人とも関係があるから、色々混ざった痕跡がありそう。
鶯谷には徳川家と関係のある痕跡がたくさんありそう。江戸時代を作った徳川家康から、何代もつづいた歴史が江戸と関係ありそう。
などなど。どれも気になると悩む子ども達。
セントラルアイディア「この地には歴史が刻まれている。」に立ち戻りつつ、どこにも痕跡がありそうなら、行ったことのないとこに行ってみよう!となりました。
そして決まった3回目の行き先は「人形町、日本橋」!
東京駅を出発点として浅草橋を目指しつつ、3度目の痕跡探しに出かけます。
今度はどんな痕跡との出会いがあるのでしょうか!?
KO
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(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。
・2021年度 年間プログラム(PDF)運用版
・テーマ学習一覧表(実施内容)