【探究領域】万象究理
【セントラルアイディア】私たちは水と共に生きている。
<テーマ学習レポート>
今の東京にとって、ものすごく大事な場所「羽村取水堰」。
多摩地域西部に位置する羽村市にある、多摩川にある場所です。
なぜこんな場所が大切なの?
それは、はるか江戸時代にまで遡ります。
3・4年生が没頭したテーマ「東京発見伝」で学んだように、江戸は徳川家康が整備したことで大きな発展を遂げた街です。とはいえ、どんどん人口が増加することで、飲み水が不足していった当時、赤坂の溜池や神田上水だけでは到底まかなうことができず、幕府は若い玉川兄弟に上水路の開拓を任せました。
しかしそう簡単にはいかず。
当時は掘削機械もないので、当然すべて手掘りです。日野、福生といろんな場所から江戸まで水路を引こうとしましたが、水が地面に吸い込まれたり、岩盤にぶちあたったり。資金も底をつきてしまい、万事休す。
しかしそれでも諦めなかった玉川兄弟は、最後の最後に、羽村から江戸まで約7ヶ月をかけて水路を完成させたのでした。
それこそが、今の玉川上水となったのです。
あれから350年経ったいまでも、この水路は現代の東京に生きる人々の生活を潤しているのだと知った子どもたちは、一同驚愕。
「僕たちが今こうやって生きてられるのは、玉川兄弟のおかげなんだね・・・」と、しみじみ過去と現在の時代のつながりを感じていました。
ということで、百聞は一見にしかず。
羽村取水堰と玉川上水を、この目で確かめるべく、いざフィールドワークへ!
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スクールを出発するとすぐに、数人のキッズがゲームを開始します。
「道にマンホールがどれだけあるか、数えて行こうぜ!」
というのも、前の週に動画で、地下には縦横無尽に張り巡らされた下水道管があるということを知った彼ら。
ワクワクしながらみんなで下をみながら歩いていくと、中野駅にいくまでにいろんなマンホールを見つけました。
「これ、合流って書いてある!」
「どういうことだろう?」
「家から出てきて、大きな水道管にぶつかって合流するところなんじゃない?」
こういう小さいのも下水道管につながってるのかな?
アンテナがぐるぐるとし始めます。
羽村駅に到着し、取水堰まで歩いていく途中でも、マンホール探しは続きます。
「あ!!これ、汚水って書いてある。家から出てくる汚水マスにつながってるんだね」
「あ!!みてみて!こっちは雨水だ!」
「マンホールのデザインもいろいろ違うね」
普段なんにも気にしないで歩いていますが、マンホールに着目してみると、
道路には「ものっすごい数のマンホール」があって、自分の目は節穴だったのか?と思ってしまうほどでした。改めて、歩きながらその地下の世界にまで想像を巡らせることができるのも、フィールドワークの面白い所です。
さて、ようやく取水堰がみえてきました!
実際にみてみるとかなりの迫力!みんな思わず川を覗き込んでしまいます。江戸時代、この場所から掘り進めたことを想像すると気が遠くなりますね。
清らかな水をたたえる多摩川の水は、当時の江戸にとって本当に命のインフラになったことがよくわかります。
と、とあるキッズが「あ!!!!玉川兄弟の像がある!!!」
この場所を切り拓いた玉川兄弟たちと一緒にパシャリ。
ということで、次は玉川上水を歩くべく移動。途中、馬の水飲み場跡もあってびっくり!
玉川上水駅に到着!鷹の台駅に向かって、水路沿いを歩いて行くことに。
途中、小平監視所が見えてきました。羽村から流れてきた水は、この監視所で上水道としての役目を終えるのです。
途中、脇道があり下におりることができる場所をみつけました。
すると・・・・こんな風景が広がっていました!!
なんと綺麗な水。と思って触ると、あれ、ちょっとあたたかい??
なんでだろう、と不思議に思う子どもたち。
この場所は「上水小橋」といって、再生水(下水の処理された水)が流れ始めるスタート地点なのです。
つまり、監視所までは多摩川の水ですが、ここからは再生センターで処理された水が流れ始めるということ。
「えーーそういうこと?自然の水だと思っていたのに再生水だったの!」と、みんなびっくり。
朝の音読でやった方丈記の冒頭部分、「行く川の流れはたえずして、しかも元の水にはあらず。」ということを、ここでも感じるとは!
上からみると、鯉が泳いでいました。
脇からみるとこんな感じ。
整備されていない、昔の手掘りの雰囲気が、今もしっかりと残っています。
過去から現在の長きにわたって、確かに続いている水路とその痕跡に触れるフィールドワークは、まさに知識を経験に変える旅となりました。
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私たちが、日々水をたくさん使っていることはよく理解した子どもたち。
でも私たち人間は、「水を使うだけ」では生きていけません。
水を体に取り入れることで生きていけるということ。
なぜなら私たち人間の体は、半分以上が水でできた存在だからです。
でもよくよく考えたら、それは人間だけじゃありません。
動物も魚も植物も、生きとし生けるものはすべて水が必要だということ。
そこに改めて気がついていった3週目となりました。
MK
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(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。
・2020年度 年間プログラム(PDF)運用版
・テーマ学習一覧表(実施内容)