【探究領域】意思表現
【セントラルアイディア】感性と情緒が凝縮された言葉は、人の心を結びつける。
<テーマ学習 レポート>
詩って何? 子どもたちにとって、詩は身近なようで遠い存在?
詩について知っていること、イメージすることを聞いていきました。
「昔の歌手?」
「お坊さんがよむもの?お経?」
「やまとうたも詩?昔の偉い人がつくる感じ。」
「百人一首は詩なのかな?」
昔の人がつくるものが詩というイメージもあれば、
「Mさんがメロディーをつけて歌ってた。」
「O君がゴルゴル・・・ゴルゴンゾーラの詩をつくってた。」と
前回の「詩人の旅」のプレゼンテーションで先輩たちが披露した詩を思い出す子も多くいました。
「歌にメロディーがないのが詩?」
「でも、リズムよく歌うのも詩?」
「テンポがいいのが詩?」
「テンポがないといけないんじゃない?」
「5・7・5・7・7って決まってるでしょ。」
朝の会での音読や百人一首にテーマプレゼン。子どもたちは日々のスクール生活の中から「詩」とつながるものを頭の中からどんどん取り出していきます。
では、「詩人とはどんな人だろう?」と質問を変えてみると、
「おじいさんとかおばあさん」
「昔の人」
「奥の細道つくった人って詩人だと思う。」「あ、松尾芭蕉だ」
やはり、昔の人のイメージが強いようです。
ひとのこころをたねとして、よろづのことのはとぞなれりける。
頭に入ったこのフレーズが自然と出てきて、そのあとに続くいいたいこともなんとなく理解できるものです。
ただ、詩人は昔の人がしていたものならば、私たちは詩人になれないのでしょうか。
それに対しては、
「なろうとすれば、なれる!」
「こういうのが、詩っていうのがわかれば、それをもとにして考えられる。」
「詩を愛せばなれると思う。」
「松尾芭蕉みたいに、心のままに思うことをかいて、みんなにシェアすればいい。」
どの発言も鋭い!学び型を心得ていることが窺えて頼もしい限りです。
早速、詩人の詩の紹介をしていきました。
くどうなおこさんの『のはらうた』。これは、工藤さんがのはらみんなの代理人として書き留めた詩集であります。
誰の代理人になっているのかをグループであてるゲームを通して、詩を味わっていきました。
まずは例題としてひとつ。
おう なつだぜ
おれは げんきだぜ
あまり ちかよるな
おれの こころもかまも
どきどきするほど ひかってるぜ
おう あついぜ
おれは がんばるぜ
もえる ひをあびて
かまを ふりかざす すがた
わくわくするほど
きまってるぜ
「あ、かまきりだ!」
「かまをもっているけど人じゃない。」
「だって、「おれのこころもかまも」っていってるから。」
こちらは、かまきりりゅうじさんの声を書き留めた詩です。
言葉を聞き取り、名前まで当てられるか、想像しながら詩の面白さを楽しみます。
「これも人間じゃない。」
「葉っぱじゃない?クッションになるし。」
「なんで足で「わっしょい」なんだろう。」
「しっぽで気持ちをあらわすのは誰だろう。」
「じゃんけんでチョキしか出してないよ。」
「懐が小鳥ってことは・・・。」などなど
詩に含まれた言葉の中からとっかかりを見つけ出し、知っている動物、植物、昆虫などの仕草を思い出し、意見を合わせていきます。
リズムがよく、音の工夫がされている詩を聞いていくと、どんどん詩の面白さに魅了され、
「自分でもつくってみたい!」
「つくれそう!」となっていきました。
『のはらうた』の冒頭に書かれている「のはらうたのできたわけ」には、工藤さんがのはらむらを散歩して出会い、対話をして聞いたことを書き留めたことが書かれています。
「それじゃあ、工藤さんの気持ちは入っていないってこと?」
その通り!これが「なりきり」の詩のポイントでもあります。
自分が感じた「感性」で、心にとまった対象物をじっくり観察。そのものの気持ちとなり、対話し、受け止めたことを言葉にしていきます。それがモチーフとなり、その代理人となれるのです。
詩人の旅、第一弾は、紅葉山公園。モチーフは紅葉にしました。
『のはらうた』を真似して、紅葉との対話から詩作スタートです。
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(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。
・2020年度 年間プログラム(PDF)運用版
・テーマ学習一覧表(実施内容)