特定非営利活動法人 東京コミュニティスクール

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編集って何だ?

[5年生]

「“編集”ってどういうこと?」

まずは、今回の学びの中心となるコンセプトについて子どもたちが
どんな先行知識を持っているかマイニングする作業から始めました。

「編むっていう漢字が入っているから何か織ってからめる感じ……」

漢字に着目して意味を推測してみるのはいい考え方です。

「よくするために作りかえること」
「文をもっとうまくする」
「そのためにつけたしたりする」
「つけたすだけじゃなくて削るときもある」

新しい学びを始めるには、まずインプットしないとダメ!と当然の
ように思っている人が多いのですが、そんなことはありません。実
はこんなにも豊かな先行知識を持っているのです。この先行知識を
洗い出すことからスタートし、それを基盤に豊かに拡張してゆくの
が学びによる「探究」です。

「編集」という言葉の意味については、かなり的確にとらえている
ことが見えたところで、今回の探究の「本質」である、「人間が編
集するプロセス」について考えてゆくことにしました。そこで

「どのように私たちは編集しちゃうんだろう?」

という「問い」を投げかけました。するとある男の子が、

「テレビって編集されるんでしょ。よくここ編集してとか出演者が
言うよね」

と発言。確かに、今、テレビを見ていると、芸人がやたらとここは
編集しないで使って!とかどうせ編集されちゃうんでしょ!という
ような「禁じ手(これは私の個人的見解ですが……)」を乱発して
います。おいおい待てよ、あんたたちは「編集」を前提に「芸」を
見せてるのかい?とあまりにもプロ意識のないことにあきれてしま
います。(もちろんそんなシーンを平気で「編集」して流している
テレビ局が悪の根源なのですが……)

一方、子どもも、私とは異なる見方で、テレビの編集というものの
「ウソくささ」に気づいていました。都合のよいように適当に切っ
て、くっつけて、つなげているから、本当の姿が見えないかもしれ
ないという健全なる「疑念」をちゃんと抱いている。メディアリテ
ラシーの欠如しているそこいらの大人よりよほど立派!その「感性」
を失うなよと願うと同時に……次のゆさぶりにかかります。

「では、きみたちはふだん『編集』してないのかな?」

テレビの映像や新聞の記事が送り手の都合に合わせて作られている
ことを糾弾する映像は、You Tube にたくさんあげられています。
たとえば、「街の人の声を聞いてみました」というシーンが、ニュ
ース・情報番組にありがちですが、同じ人物がいろいろな番組に違
うシチュエーションで繰り返し出ていたことを暴露する映像。映像
だけでなく、新聞や雑誌のような活字メディアでも、同じ出来事が
まったく異なるニュアンスで取り上げられるケースがありました。
しかし、それはあくまでも自分以外の人が「編集」しているという
「視点」です。かつてはマスメディアを握らないと広く情報を発信
することはできませんでしたが、今では、インターネットを活用し
て自ら「情報の送り手」として主体的に情報発信することが可能で
す。ということは、自分も「編集」の受け手ではなく送り手の側に
まわってしまうことになるわけで、ただ「他人事」としてマスメデ
ィアのやり口を非難しているだけでは不十分です。

実は、日常のほぼすべての場面で私たちは自分に都合よく「編集」
しないわけにはいかない存在であることに気づく必要があります。
そのためのゆさぶりが

「では、きみたちはふだん『編集』してないのかな?」

という問いでした。

もしA君が『このコロッケまずい』」と言うのを聞いたとき、コロ
ッケの味がまずいことにフォーカスして「編集」するのか、なんで
もかんでもまずいというA君の姿勢にフォーカスして「編集」する
のかで、伝えたいニュアンスはまったく異なります。

「相手にムカついてしまうときもこっちの勝手な思いでそうなると
きがあって、それも編集だよね……」

ある子が思わずつぶやきます。そう、まさにその通り!

「記事」を作成する以前に心の中にわいてきた「思い」が「編集」
を左右している……私たちはすべての瞬間において、「編集」して
物事を判断し、考えざるを得ない存在ではないか……ようやく「ミ
ッション」に入ってゆくための前提となる「認識」にたどりつき
ました。

私たちが否応なく情報を編集して受けとり、発信せざるを得ない
という「認識」を持って、私たちは自分の伝えたいことを「吟味」
して選び、いかに相手の心を動かすように「編集」して伝えるか
という「ミッション」に挑戦開始です。

RI

TCS2012年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

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