特定非営利活動法人 東京コミュニティスクール

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自分事として考えるということ

[6年生]

いよいよ6年生は、TCSにおける最後のテーマ学習となるエキシ
ビションに取り組みます。

エキシビションがこれまでのテーマ学習と異なるのは、自分が強く
関心を抱き、熱意を持って追究したいと思うテーマを子ども自身が
選ぶということ。これまで培ってきた学びの技術と経験を総動員し
て、自らが設定した取り組むべき課題に臨みます。

ただ好きだからという理由だけで、どんなテーマを選んでも良いと
言う訳ではありません。社会的な意義があるテーマを選ぶというこ
と、それがエキシビションの制約条件になります。

エキシビションを進めていく上で、まず最初にやるべきことは探究
テーマを決めることです。自分の興味関心のある分野で、どんな
conflict(対立、葛藤)が生じているかを見出し、それに対する
仮説を立てる、それが探究のスタートラインになります。

仮説というと小難しく聞こえますが、要は自分の頭で考え抜いた独
自の提案をするということ。conflictを解消するために、どんな
大胆で面白い発想ができるか、それが我々が子ども達に期待してい
ることです。

最初の授業では、まず子ども達が今興味関心を抱いているテーマを
ノートに洗い出すことから始めました。

男の子から真っ先に出てきたのは「ユーロ危機」というキーワード。

(やはり、そうきたか・・・)

彼からこの類いのキーワードが出てくるのは、ある意味、想定の範
囲内だったので、なぜそのテーマに興味を持ったのか聞いてみるこ
とに。

「ギリシア危機の件がニュースを賑わしているよね。」
「ユーロは失敗と言われているけど、ドイツとフランスの間でのい
ざこざがしばらく起きていないことから考えると、必ずしも失敗と
言えないと思うんだよ。」

おそらく受験勉強を意識して観ていたテレビのニュースや新聞記事
から仕入れた知識なのでしょう。評論家のような言葉が並びます。

「じゃあそれによって、自分はどんなことに困っているの?」

そう質問を返した途端に疑問が出てこなくなります。
それもそのはず、そのニュースと自分とのつながりを見出すことが
できていないからです。テーマとして取り扱うにはあまりに大きす
ぎるのです。

社会的に意義があるテーマを選ぶということは、大きなテーマを扱
いなさいという意味ではありません。
身近な疑問や不満をきっかけに、それらを追究し、問題意識を広げ、
深めていく中で、その裏に潜むissueに思いや考えが及ぶ。
それがTCSで実践しているテーマ学習なのです。

ある問題に対して、自分事として捉えられていない限り、説得力の
ある主張なんてしようがないのです。

私とのやりとりを通じて、本人もそのことに気付いた様子。

エキシビションはまだスタートしたばかり。
子ども達は一体どんなテーマを選ぶのでしょうか。

HY

TCS2012年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

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