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「 個の尊厳」5年6年生 テーマ学習〜レポート

 

【探究領域】自主自律
【セントラルアイディア】私たちは私たちのために生きている。

<テーマ学習> 〜レポート

個体としての生物学的死 (Form)

「死」について、知っていること、イメージすることを出し合いました。

子どもたちからはー

・安楽死…自分で選択できる
・老衰…体が老化して自然に迎える
・病死…病気によって死んでしまう
・事故死…事故によって死んでしまう
・自殺…自ら死を選んで死んでしまう

などの知識やイメージが出てきました。

 

その中でも子どもたちの興味関心が多かったのは、自殺と安楽死に対するイメージや考えでした。  

どちらも自分で選択できるという共通点にアンテナが反応した様子でした。

 

そこで自殺について海外と日本でどのような実態があり、どう考えられているのかをグループに分かれてリサーチしました。

海外班
 

国内班
 

そこで見えてきたのが、ひとつは海外と国内で起きている自殺による若者の死亡者増大が、コロナ以降、海外 国内ともに増えていること。その原因にもふれ、人と人とのコミュニケーションが減り精神的に鬱になり自ら命を絶ってしまうことが原因として見えてきました。

もうひとつは安楽死についてリサーチしていきました。調べていくうちに子どもたちの中で、「安楽死って自分で選択するから自殺と同じじゃないの?」という意見が出てきました。

みんなは自殺についてどう考えている?という問いから、「いじめや病気で、どうしても生きているのが辛かったら仕方ないんじゃ?」

「いや!自殺はダメだよ!どんなことがあっても生きていかなくちゃ。」
「だって自分を大切にしてないじゃん」
「んーどちらとも言えないなぁ。」と意見が分かれました。

その中で「安楽死って自殺なんでしょ?だったら自殺も無しではないと思う」と話が出ました。

 そこで日本の安楽死に対する立ち位置の話をして、日本では安楽死は認められていないことを伝えると

「なんでダメなの?」
「海外では認められている国もあるんだ。」
「死んじゃったら親とかが悲しむよ。」
「どんなに苦しくても戦って生きていくことがいいと思う。」と気持ちの変化を口にしていました。

「でも海外では自殺も安楽死も認めている国があるんだね。」とモヤモヤしている子どもたちが多かったのは印象的でした。

・生物学的「死」について知る

ここで「死」というものの概念を考えていきました。

どうなったら「死」なのか。

「脳が止まったら死?」「呼吸が止まったら死?」「え?でも呼吸が復活する時もあるから、それって一回死んだってこと?」と疑問が膨らむ中で、生物学的「死」について学びました。

 

「死んだ」ということがどういうことなのか、肉体の状態や「死に対する人間の捉え方」そして今現在、簡単に死を選択してしまう若者が多いことに、決して人ごとではないことを感じ取っていました。

そこで子どもたちにこんな問いかけをしてもました。

「問い:私たちは何のために生きているのか?」

子どもたちのディスカッションでの様子は、何のため?誰のため?と考えて、「自分のためじゃない?」「いや、自分のためだけじゃないよ」とこの問いにも意見が割れていました。

生と死のつながり (Connection)

・「死」と向き合っている人の意見を聞く

毎回、このテーマではお世話になっている小金井祭典の是枝さまに、今回も子どもたちの学びのためにご協力していただきました。

貴重な体験に子どもたちも訪問前から緊張していたようです。

小金井祭典 HP https://www.ks-sougi.com/

葬儀の仕事について

葬儀の場を感じる
 

入棺体験
 

葬儀の実態を知り、自身も棺桶に入らせていただく。その中は静かで真っ暗です。でもなぜか心が落ち着く。人生の最後を迎える場所の体験は子どもたちにとって心に残る貴重な体験となりました。

是枝さんから、「死者への弔い」や「グリーフサポートの大切さ」を聞き学ぶことで、さらに自分のことにして考え出した子どもたち。

特に是枝さんの話を聞いて感じたのは、「生と死のつながり」。

死んでそれで終わりではなく、残された人たちは心の中に亡き人を想い、悲しみ、自身の人生の中で背負って受け止めていく。そんな感情に自分自身も変わっていったようです。「一人では死ぬことはできない」そんな是枝さんの言葉が胸に残る訪問でした。

 

・「生」について考える

自分の年表を作成する

まずは自身について「強み 弱み」を書き出していきました。1年生のっころの自分。3、4年生の頃の自分。そして他者からの視点で「強み 弱み」を、自分の心の中を曝け出して書き出していきました。

「僕の弱みはこうなんだけど…。」「え?そんなことないよ。それってこう考えたら強みにもなるじゃん。」と自分では弱みと考えていた部分も他者から見るとそうは見えない。そう言ってくれる仲間がいるってありがたいですね。そんな自分の新たな発見を繰り返しながら、この先の自分の人生につながっていく強みや弱みを再認識していくことが、「生」の力になっていくんです。子どもたち同士の貴重なディスカッションの時間です。

 

「生」と「死」のつながりとは

エンバーマー橋爪さまから、「死」に関わる人として「生」と「死」のつながりを学ぶ

グリーフサポートを重視してエンバーミングの普及活動をされている橋爪さまから誕生から現在までの人生。そしてエンバーミングと「死」という概念について学んで、人生の終わりまでの過程を聞き、やや緊張気味になっている様子が伺えます。

 

エンバーマーとして、そしてグリーフサポートに携わっている立場として、多少なりともグリーフを経験している子どもたちには自分ごとに感じられる話でした。

   

グリーフから折り合いをつけるためには、一人ではなく心を許し合える仲間の存在が重要。

最終的に折り合いがつけられるかどうか、そこに到達するためのステップを学んで、人とのコミュニケーションを、日頃から磨いていき大切にしていくことを学びました。

 

子ども達は、その後も疑問に思ったことを質問します。

「橋爪さんは霊の存在を信じますか?」

どうしても聞いてみたかったようです。丁寧に「霊」に対する橋爪さまの考えを説明していただきました。

 

橋爪さんから学んだこと(ふりかえり)
 

 

HM

 


(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。
2024年度 年間プログラム(PDF)運用版
テーマ学習一覧表(実施内容)

 

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