【探究領域】万象究理
【セントラルアイディア】 観測は予測の礎となる。
<テーマ学習> 〜レポート
【天気について何を知ってる?】
「天気」という身近な言葉から何を思い浮かべるでしょうか?
「天」の「気分」てことなんだから、神様の気分てことなんじゃないの?
でも本当に神様っているの?それを信じているの?
いやいや、昔の人はそう信じてたってだけでしょ。
さすがに神様が天気を操っているということではないと知っているキッズたち。
じゃぁ神様じゃなければ、天気を決めていることってなのか?
「高気圧や低気圧」と難しい言葉を持ってきたRくんは、天気に強い関心を持っている様子。
「低気圧って頭が痛くなるんでしょ?」とAさん。
「低気圧が曇りで、高気圧が晴れってことなんじゃないの?」とRさん。
よくわからないけれど、低気圧、高気圧にそれぞれのイメージを持っている様子。
彼らの話を聞きながら書いた低気圧、高気圧の図では、低気圧では下降気流、高気圧では上昇気流が起きているということになりました。
「つまり空の気分が、天気ってことだと思う」とKさんが言うと、
「でも天気って「空」の中だけで起こっていることじゃなく、雨水も地上から昇っていったものだからね」というHくん。
そうか、「天」=「空」だけが天気に関係するわけじゃないのか!
天気は生活にも影響するという話が出てくると、「夏は暑くて、冬は寒いから、着る服も変わってくる」とHさん。
「そうそう、夏は西に低気圧、東に高気圧。冬は西高東低になるんだよ」というSくん。
「登山のときには必ず天気予報を見るようにしてる」とHくん。
考え始めれば、生活のいろいろなところで天気とつながっているんですね。
今回のテーマのセントラルアイディアは「観測は予測の礎となる。」です。
まずは、観測をすることで私たちに何が見えてくるのか?を探究していきます。
「でも船乗りとかは昔から「直感」ていうのがあるから、温度計とかがなくても天気がわかったんじゃないの?」という指摘が出ると、たしかに天気を「直感」で判断できることってあるという議論に。
「冬に寒くて暗い雲が出てきたら、雪が降りそう」
「雨の後に虹ができると晴れるよね」などといろいろ思い出す中で、
TCSの卒業生がサマーキャンプ中に「雨が降るから急げ」と言うと、
本当にその後、雨が降ってきて驚いたという体験談まで出てきました。
その先輩は「明日天気になーれ!」の学びが活きていたのかも!?
【天気のメカニズムはどうなっている?】
そんなわけで天気のメカニズムについて考えるために、
「雲のでき方」、「雨の降る仕組み」、「雲の種類」の3つのグループに分かれてテキストの内容を模造紙にまとめてプレゼンをすることに。
模造紙にどうまとめ、いかにわかりやすく発表できるかが問われます。
自分のグループ以外のプレゼンに対してはいい質問をすることも重要です。
たまたまこの過程では欠席するキッズが多かったのですが、
メンバーを組み替えながら作業を進め、発表してもらいました。
「なんで雲は落ちてこないの?」
「雹と霰はどう違うの?」
「雲はこの10種類にすべてわけられるの?」
など、質問に対しての容赦ない質問に、調べ直す必要がある場合も…
ただこの段階で気象科学館へのテーマ外出のことを伝えていたので、疑問はそこで聞くために覚えておこうということになりました。
【テーマ外出計画】
今回のテーマ外出では自分たちの行動も「予測」してみるために、どう移動し、どのように行動するかもキッズたち自身に委ねるかたちを取りました。
TCSから気象科学館のある気象庁までは、実にさまざまなルートが考えられます。
キッズたちは今年度から貸与されたばかりのMacBookや今回のテーマで割り振られているスマホを駆使して、どう移動したらいいのかを考えていました。
と同時に、これまでの学習を踏まえ、またプレゼンにも関わる「予測」をしていくためのヒントを得るために、気象科学館に常駐している気象予報士への質問を考えねばなりません。
授業時間内ではスケジュールや質問が固まらず、外出の前日に模造紙にまとめ、ひとまずテーマ外出へと出発することになりました。
当日はやや遅れて集合しながらも、決めた時間通りに新中野から電車に乗り、乗り換えもスムーズにこなして気象科学館に辿り着きました。
気象科学館に着くとすぐに気象予報士の方に話しかけ、質問を開始。
「低気圧と高気圧がどう天気に影響するんですか?」
「本で読んでもわからなかったんですが、霧と霜はどう違うんですか?」
「降水量と降水強度の違いってなんですか?」
「地震と天気には関係があるんですか?」
などこれまで持ってきたさまざまな疑問をぶつけつつ「天気の予測をやってるんですが、どういうことに注目すればいいんですか?」という質問も。
気象予報士さんはとても優しく丁寧に教えてくれました。
その質問の答えが、果たしてこれからの予測、そしてプレゼンへとどれくらい活かされてくるでしょうか?
【予測の実践】
さていよいよプレゼンテーションに向けての準備へと入っていきます。
今回のプレゼンでは、2つのことを発表することになりました。
①5/20,21の天気の予測とその結果を分析
②みんなで選んだ「おもしろい雲」を発表
キッズたちはこのタームが始まったときからスマホを一人一台持ち、毎日家から雲を撮って、でかけたときにもおもしろい雲を撮影してきて、授業の中で紹介してきました。
また5月の連休前からは観測予測シートを配り、毎日の空の観測と予測を続けてきました。
今回のプレゼンでは、そういったこれまでのインプットから実際の予測を披露し、また雲をどういうふうに見てきたかを披露することになりました。
できる限り自分たちで話し合う中でプレゼンの中身を決めていくということで、さっそく話し合っていきます。
①の天気予測に関しては20日と21日、それぞれの予測をしてもらうために2つのチームに分かれることとなりました。
最終的に決まったチームと担当はー
●チーム・スカイ…5/20(土)の予測を担当
●チーム・クラウド…5/21(日)の予測を担当
5/19(金)の授業で、それぞれのチームに分かれて予測を開始します。
予測するにあたって参考にするのは、
・予想天気図
・気象庁の予測データ
・自分たちの観測予測シート
・自分たちの撮った雲の写真
これらの情報をうまく使って土日にどうなるかを考えます。
このテーマの期間中は、高気圧と低気圧が交互にやってきて晴れたり雨が降ったりが繰り返されました。
これまでそういう天気の変化を天気図で確認しながら進めてきました。
「土曜は停滞前線になっているから雨なんじゃないか」
たしかに予想天気図では梅雨のような停滞前線が日本列島の南を横断していました。
「今日は曇っているし、あんまり動いてなさそう」
ということから予想を組み立てていきました。
また、「おもしろい雲」についてもみんなで話し合い、
授業で学んだ十種雲形を取り入れながら一人一枚ずつを紹介していくことに。
自分たちが撮影してきた自慢の雲を、いよいよみんなに披露するわけです!
【プレゼンテーション&リフレクション】
チーム・スカイ、チーム・クラウドそれぞれの予測が果たしてどうなったのか?
ただ今回のプレゼンで重要だったのは予測を的中させることではありません。
このテーマの期間中も天気予報が間違うことは何度もありました。
予測も前日と前々日では違うものになります。
そういう予測の限界も踏まえ、しっかりと結果を分析することにも時間をかけました。
チーム・スカイはなぜ予測が外れたのかをしっかり分析し、的中したチーム・クラウドも、予測に必要なことを改めてまとめてくれました。
雲のプレゼンも含めて、当日までにしっかりとプレゼンを仕上げた9人でした。
プレゼン後のふりかえりではいろいろな話が出ましたが、セントラル・アイディア「観測は予測の礎となる」についておもしろい議論がありました。
「観測はたしかに大事だけど、「天気図は予測の礎となる」でもいいんじゃない?」
とあるキッズが言い出すと、「でも、天気図もこれまでの観測があるから作れるんじゃないの?」という意見。
「それよりもまずは天気予報を毎日見ることが重要で、天気図や観測は応用なんじゃないの?」という話にまでなりました。
そういう意見も、自分たちで予測を実践してみて初めて見えてきたこと。
テーマのはじめの授業で「天気予報は見ない」と言っていたキッズも、その重要性に気づけたし、自分たちで天気図を見ることもできるようになれた、と実感したようでした。
テーマ終了後は、キッズたちにこれまで撮ってきた「雲のアルバム」を提出してもらいました。
YI
(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。
・2023年度 年間プログラム(PDF)運用版
・テーマ学習一覧表(実施内容)