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「 感感学学(かんかんがくがく)」2年生 テーマ学習 〜レポート

 

【探究領域】自主自律
【セントラルアイディア】我感じる、ゆえに我あり。

<テーマ学習> 〜レポート

<五感は使わないともったいない!?>

「カンカンガクガク!知ってる!食べ物のテーマでしょ。」

「おのけんがビッグウェンズディでやってた。」

「クッキングするの?」

「ストローで家をつくるテーマ?」

「それ、違うテーマじゃない?」

2年生単学年で実施しているテーマ学習は毎年行われているため、「カンカンガクガク」も去年2年生たちが学習しているテーマであります。

耳から入ってくるテーマタイトルから、記憶を頼りにどんなテーマなのか予想を立てていきます。

「プレゼンで、ホースキャンプの作文読んでた。」

よく覚えているなぁと感心してしまいます。

「なんでだろう・・・。」他者の発言を聞いて呟きが。

!(発見)アンテナから?(疑問)アンテナへと動きます。

思い出した事柄とテーマがどうつながるのかが見えてこない。

まずは、わかることから探っていきます。

耳から入った情報から、次は目で見た情報から考えていく発言が出てきました。

感感学学 自主自律領域

「心が2こ並んでる。心で学ぶみたいなかんじ?」

「作文を一人ずつ読んでたから自主自律?」

「心が2こあるから、自分とみんなって感じ。」

心は一人1こってことね。

「そりゃそうでしょ。」

「わたし的には、「I am Special,YOU are Special.」と似ているような気がする。自分とみんなみたいに。」

なかなか鋭いアンテナであります。こんなにも話し合いが展開できるようになるとは、1年間の学びの積み重ねを実感します。

感感と「感じる」は同じ漢字を使うこと、感覚という言葉には反応がないことから、彼らのpriorknowledgeも見えてきました。

昨年はテーマとホースキャンプの時期が重なっていたことからアウトプットの題材となりましたが、今回は違います。また、一人ずつの朗読ではなく、みんなでひとつのリフレクション作文を作り出し、朗読することを目指していきます。そのために連休明けに外出することを予告として伝えました。

五感。耳、口、目、鼻、体(手など皮ふの感覚)の5つの感覚。

どのくらい使っているのでしょうか。前日のODD街で発見したことを思い出して調べてみました。

 

     

味覚は出ないと思いきや、ある上級生がペンペン草の試食を周囲に勧めていたことから、味覚も出てきました。私も食べさせられましたが、噛めば噛むほど草の味がしておいしくはなかったな。そう話すと、

「え、おいしかったよ。」
「草の味がいいんだよ。」との声。
「ぼくは嫌いだな。」

どこが?と聞くと、

「見た目が嫌い。」

同じものを発見しても、使っている感覚とそれぞれの感じ方に違いがあることが見えてきます。

 

付箋1枚につき1カウントとして5つの感覚ごとに数え、個数別に点を打って線で結びます。

題して「五感レーダーチャート」。

算数の時間にやっていた「点つなぎ」が活かされます。

全員分のレーダーチャートから、発見・疑問・モヤモヤを出していきました。

【発見】

・ぜんぶ使っている人がいない

・ぼくは視覚しか使ってません

・みんな形がちがう

・1こだと色がぬれない

・わたしは視覚と触覚しか使ってない

【疑問】

・なんでみんな形がちがうの?   

・思うことがちがうんじゃない?

・味はすきだけど、匂いはきらいってどういうこと?

・なんでぼくは2つしかないのだろう。

・なんで視覚が多いの?なんで嗅覚が少ないの?

【モヤモヤ】

・どうしてかたちがへんなんだろう?

・モヤモヤはしないよ

視覚の発見しか出てこなかったのはどうしてなのでしょう。もう少し探ってみるべく話を進めてみました。

何を思って歩いてた?

「ポストあるかな?って思っていた。」

視覚をよく使おうとしていたってことかも。

「キョロキョロ第二っていなびー言ってた。」

「確かに!」

意識すれば使えるけれど、意識しなければ使っていない。何気なく過ごしてしまうと、五感のすべてを使っていない。そんな仮説が出てきました。

 

五感は使った方がいいのかな?

「使った方がいいよ。もったいない。あるのに使わないって。手帳と同じ。手帳も使わないとかみくずに同じって。」

さすが、TCSキッズ。手帳道から話をつなげてきました。

 

今回のテーマ学習、セントラルアイディアは、

「我感じる、ゆえに我あり。」

提示すると、聞いたこともないし、意味もわからないと言います。

我というのが自分のこと。「あり」は「なし」の反対。

自分感じるって何を感じるの?といった声もあがりました。

持っている五感をフルに使ったとき、どんなことをどう感じるのでしょうか。

スタート地点を知ったことで、ここからどう変化していくのかが楽しみです。

<意識して五感を使ってみよう!>

セントラルアイディアとその到達を目指して進めていく「探究の戦略」。毎回、テーマ中はいつでも見える場所に掲示しています。

・五感の機能と役割(function)
・一人ひとりの感性の特徴(form)
・感じたことの言語化(perspective)

どうして感じることが必要なのか、脳がどのように働いているのか、そのわけとメカニズムを知ること。その機能を実感して言語化すること、言語化されたものを共有することで、個々人の特徴を知っていく。上記の3つを行き来していきます。自分を知り、他者を知る。まさに「I am Special,YOU are Special.」と「型」は似ています。なんとなくそんな気がした。というのは直感?

まだ解明されていない部分も多い「感覚」の分野。資料をもとにその機能と役割を知っていきます。

何冊かの資料を組み合わせて紹介していきました。一見、難しそうに見えるけれど、それぞれの感覚野を漢字から見つけることができます。

 

あじってミカクか。味覚野発見!

耳の漢字も見つけた!

犬がついている漢字は匂いでしょ。チョウカク?キュウカク?

目は見るだから、これなんて読む?シカクだっけ?

体はショッカク。

声に出しながら、それぞれの名前と場所を何度も確かめていました。

 

なんで嗅覚は少ないの?という疑問から、目を閉じて嗅覚を使う意識をしてどんな匂いがしてくるかその場で実験。

 

嗅覚は鼻で匂い物質をキャッチして脳に送っている。仕組みはなんとなくわかっても自分の鼻の中でそんなことが起きているなんて不思議です。

「目を閉じたら、急にダンボールの匂いがした。」

「次々にいろんな匂いがしてきた。木の匂い、おせんべいの匂い、汗くさい匂い。」

「3年生の作った椅子の匂いがしたけど本当かな。目を閉じてたからわからなかった。」

意識すれば、嗅覚はばっちり働いている様子。今度は、人の匂いを嗅いで、どんな匂いか調べてみました。人によって匂いは違うかな。

   

Mくんは甘い匂いがする。近い匂いを思い出して記録していきました。

Sさんにとっては、グミの匂い。

Rくんにとっては、ドーナッツの匂い。

Mさんにとっては、飴の匂い。

Eくんにとっては、アイスクリームの匂い。

ぼくにとっては、いい匂い。

同じ匂いを嗅いでも、脳の海馬や前頭連合野で記憶を思い出しているから、みんな当てはめるものが違ってきます。

 

「うーん、この匂いはよくわからないなぁ。」

それは、初めて嗅ぐ匂いなのかも。

それぞれの匂いの違いがわかったところで、匂い当て実験をしてみました。目隠しして、嗅覚だけで持ち主がわかるかな?

 

結果は、当たったり当たらなかったり。

「さっき嗅いだ匂いと同じだったからわかった。」
「みんなの匂いって違うんだー。」
「全然違った。」
「自分の匂いだけ違うって感じだった。」
「自分の匂いが布団の匂いでびっくりした。」

嗅覚に続いて、聴覚を意識させてみます。耳をすませば、いろんな音や声が聞こえてきます。

 

歩いている音、車が走る音、プレキッズやスタッフの声、椅子の動く音など、一度に耳に入ってきても、知っている音なら何の音かまで聞き分けられます。

耳の穴を取り巻く耳介は、どこから聞こえてくるか音の方向を確認する機能があるといいます。耳介を手でおさえて聞くのと、おさえずに聞くのとでは聞き方に違いが出るのか試してみました。四方に分かれて手を叩きます。どこから聞こえた?指をさしてみます。

 

耳介をおさえると、

「どこからきているのかわからなくなった。」
「迷う。」
「前後ろの違いはわかるけど、横のどこかはわからない。」
「ココドコあれれ?って感じ。適当に指さしちゃった。」
「違う場所から聞こえているみたいだった。」

耳介があるから音の方向がわかり、危険を察知する役割になっていることがわかります。身を守るためというと、重要な役割を持っているのが味覚になります。体に毒を入れてしまうと大変だからです。また、食べているときに使うのは味覚だけではありません。おいしいかどうかの判断は五感全体を使っているといいます。書いてあることが本当かどうか給食で確認してみました。

 

感じたことを感覚別に付箋に書いてレーダーチャートを作成。

 

ODD街のときと比べてレーダーチャートの形に変化が現れました。

「大きくなった。」
「使う感覚が増えた。」
「みんな形がちがう。」
「視覚が減った。」

「コロッケがふわふわしたっていうのは味覚かな?」
味がふわふわ?見た目がふわふわ?
「食べてみてふわふわは、触覚かな。」

 

         

味覚が多くと思いきや、歯触りや舌触りといった触覚の方が多い子も。視覚が少なかったことも面白い結果となりました。

味覚だけを頼りに食べているわけではないことが明らかに。では、味覚だけを使って食べるとどんな感じになるのでしょうか。5種類のフルーツラムネで実験してみました。同じ味のラムネを3回食べます。

1回目:味覚だけ
2回目:味覚と嗅覚
3回目:味覚と嗅覚と視覚

     

「鼻をつまむとなんかわかんないなーって感じになっちゃった。」
「外れると面白い。けど、当たると嬉しい。」
「メロンかブドウか迷った。」
「オレンジだったのに、レモンって思って、匂いでオレンジってわかった。」
「レモンだったのに、イチゴかオレンジかなって思った。レモンの匂いでわかった。」
「鼻つまむと、味しなくなるって不思議。」
「嗅覚と味覚ってつながってるのかな。」
「視覚もつながってるんじゃない?」

これまでひとつずつ意識して使ってきた感覚ですが、普段はどれかを意識するってことはなく、すべてが繋がって使っているのでは?という仮説が出てきました。

続いて、手触りに着目。触覚を働かせてみます。様々な紙を目を閉じて触ってみます。どんな手触り?感じ方、表現の仕方に違いが出てきます。

 

新聞紙:ざーざー。でっこぼっこ。がさがさ。ふにゃふにゃ。つるつる。さらさら。

プリント:するする。つるつる。さらさら。すーすー。もろもろ。

画用紙:がさがさ。ざっらざら。ごつごつ。

トイレットペーパー:さらさっら。ざらざら。

算数たんけんの本:かちんこちん。つるつる。するする。

前日に、宮沢賢治の「どんぐりと山猫」を紹介していました。オノマトペの世界を楽しみ、感じたことにより近いオノマトペで記録していきました。

今度は外に出て、手触り実験。ネイチャーゲームで人気のある「わたしの木」をやってみました。

目隠しをした人に1本の木を案内します。案内された人は紹介された木を視覚以外で観察。そして、元いた場所にもどります。そこから目隠しを外して、記憶を頼りに案内された木を探します。

「わたしの木」に辿り着けるかな。

 

 

答え合わせをしてからは、視覚も使って観察しました。

「触ると木ってざらざらしてる。」

「目見ないで触った。木の皮めくれてるみたい。」

「いつもよりでこーん、ぼこーんとしてた。」

「普段、見てるだけ。つるつるとざらざらに分かれてた。」

木を触る。やってそうでやっていない体験でそれぞれに発見が出てきました。

 

来週は、五感をフルに使って観察するために外出を予定しています。テーマ学習では、学年が上がるにつれて外出先の範囲も広がっていきます。それだけ守るべきことも増えてきます。今日はその練習でもあったのですが、いつのまにか学びモードからお遊びモードの雰囲気に。あれ、学びたいようパズルの中に、「学びたくないよう」というピースが交ざってしまったよう。このままの意識では、テーマ外出できないことも見えてきました。2年生最初のテーマ学習。求められるレベルが上がっていることに気づくことも学びのひとつです。

テーマ学習を通して、よく使っているなぁと思うようになったのが、視覚です。でも、この視覚も、目から光として入って電気信号に変わって脳に届きます。

「みんな電気信号に変わるんだね。嗅覚とか聴覚とかと同じだ。」

「目って2こ必要なの?なんで右目と左目があるんだろう?」

資料には、左と右に目があることで距離感が掴めるとのこと。両手にえんぴつを持ち、近づけてえんぴつの先を一致できるか、両目と片目で比べてみました。

 

「あれ、くっついたと思ったのに全然違う。」

耳介と同じように、両目の役割を実感できたようです。また、目に入ってきていてもすぐには脳に伝わらないことも。いくつかのアハ動画を紹介して、見ているのに理解するのに時間がかかる体験をしてみました。

 

わかったときには、嬉しいものです。脳が活性化されているといいます。5つの感覚の機能と役割について知ったところで、持っている五感を総動員させたとき何を感じるのか、いよいよメインイベントに入ります。

 

スクールから30分ほどで行ける新宿御苑。北エリアの「母と子の森」の近辺は、都会に住む子どもたちが自然とのふれあいを楽しみ、豊かな感性と自然への関心を育むために造られた自然観察フィールドになっています。そして、この時期の見どころは、南エリアにある整形式庭園のバラ花壇。110種類約500株が植えられています。限られた時間の中で、ゆったりと過ごすため、この2か所に行く計画であることを事前に伝えます。そして、大事なことは遊びに行くわけではないことです。目的は、五感を使って様々な発見をすること、翌日にはリフレクション作文で感じたことを記していくことも念頭に入れておきます。うきうきワクワクすることでも、前回の紅葉山公園のときのように気持ちがバラバラになってしまっては、やりたいことができなくなってしまいます。そこで、誓約書をつくり、みんなで大きな声で音読し、納得したら自署。「学びたい」気持ちを形で表してもらいました。ちょっとした仕掛けですが、効果は大きかったです。

 

「ひとーつ、スタッフのはなしをきくー!」

楽しくやることで、気合いも十分、やる気も満タンになりました。

 

お昼は、大きな木の下で。

遊ぶだけではもったいない。どんな手触り?匂いはある?

 

森の中へ。

 

入ってみようか、どうしよう。

 

さらに、奥へと進みます。

 

何これ!目に飛び込むものにひきよせられます。

 

目を閉じて耳を澄ましてみると、また違う発見が。

 

 

バラ園に向かっての移動中。「あー、疲れちゃったよ。こんなときは、」といって、ごろごろと寝転んで回転。坂道ではないので、余計疲れるような、、、。

 
広い芝生の上。なんだか気持ちよさそう。寝転んで休憩することに。空を見ると、おや、雨雲が。

 

「あ、雨が顔にあたった。」
「え、あたらないよ。」
「あ、やっぱりあたった。」

 

雨が降ってきたので、温室で過ごすことに変更。

「やったー、行きたかったからよかった。」

途中で、包帯が巻かれた木がいくつかあることに気づきます。

「なんで?」
「怪我した?」

温室に行けば、職員の方に聞けるかもしれません。出会えたときがチャンスです。

「見っけ隊のときに、インタビューできたから、私できるよ。」

 

温室ではペースごとに二手に分かれて進みました。

出口で待っていると、

「聞けたよ!あれは、虫除けなんだって。」

思いもしていなかった回答に、聞いてみるものだと改めて実感します。

雨も弱まったところで、バラ花壇に。たくさんのバラの中からお気に入りのバラを見つけることにしてみました。

「わたしの木じゃなくて、わたしのバラだね。」

 

触って嗅いで、見た目で、あるいは名前の響きで、いいと感じたものを見つけ出しました。

ワイワイ騒ぐときもあれば、集合をかければサッと反応。電車の中では静かにするなど、メリハリをつけようと意識していることは明らかでした。成長を感じる姿が端々で見られ、みんなでテーマ外出を楽しむことができました。

<感じたことを伝えよう!>

翌日のリフレクション作文。ここはチャレンジングな時間になりました。これまでのリフレクション作文は、一場面を選んで200字で1コマの時間を使って書き上げていました。2年生以降は400字詰めの原稿用紙に変わります。今回は、2コマの時間で、森の中、温室、バラ園、3つの作文を書くことに。

 

見た目はどうだった?匂いは?どんな音がした?手触りは?味覚は使った?などなど、自分が感じたことを思い出していきます。

 

「今もいる気分になれる。」

集中して書き始めると、没入している様子。3つできなくても、森の中は全員が書き上げました。中には、8コマ目として放課後も書き続けて仕上げた子もいました。

「おれ、がんばったよー!」ほんと、よくがんばったよね。

「疲れたー。」お疲れさま。

「でも、つら楽しかったー。」と達成感を味わっていました。

 

森の中で感じたことを感覚別にしてみるとどうなるのか。3回目で最後のレーダーチャートづくりをしていきました。すると、これまでよりも塗る範囲が増えています。

 

「形が大きくなってる。」

つまり、それはどういうこと?

「五感を使ってるってこと。」

なんと、分析できるようになっているではないですか。

どうして五感が使えるようになったと思う?

「なんか、いつもより働くようになってきた。ずっと見てて聞いたりしてて、頭が動いて、脳が働く感じ。」

作文には出てきていない発見も多々ありました。どうしてだと思う?と聞いてみると、

「そのときは、思い出せてないだけで、本当は感じてる。」といいます。

あのとき、新宿御苑では確かに感じていた。脳にも記憶されている。でも、作文を書くときには思い出せなくて、言われたら思い出せる。というのです。「脳が働く」も含めて、学んできたからこそ出てくる発言にうれしさと子どもたちのすごさを感じました。

そうなると、こちらも欲が出てしまい、もっと掘り下げたくなります。これまでを振り返ってみて、自分はどんな感性なのかを言語化してみることに。

自分がよく使っているな、働きものの感覚、敏感な感覚は?

自分があんまり使ってない、ねむっちゃってる感覚、鈍感な感覚は?と聞いてみると、

「触覚が敏感。こちょこちょがきくから。アリが乗ってるのすぐ気づいた。」

「ぼくは、こちょこちょきかないよ。鈍感かな。クモが頭に乗っても気づかなくて、目の前にきてはじめて気づいた。」

「私は視覚が鈍感。だって、目の前のものが見えてないときが多くて、いつもどこどこ?っていうことが多いから。」

「味覚は敏感。なんでも食べて味を確かめたくなっちゃう。」

「触覚はどっちでもないって感じ。」

「ぼくは嗅覚。レーダーチャートが0、1、2って上がっていった。集中したら使えるようになってきた。帰りに駅の階段降りるとパンの匂いしてくるし。」

自分がどの感覚を使っているのかを分析できています。それを聞き合っていると、「あ、ぼくと同じ。」「ぜんぜん感じ方違う。」などの比較もできるようになっていきました。

今回のプレゼンでは、朗読劇に挑戦。森の中のリフレクション作文をもとに、あとから思い出したことを付け足して、ひとつの作文にしたものを読み上げます。そのとき感じたことをよりリアルに伝えるには、どんな工夫が必要なのか考えていきます。どこまで磨けるか、楽しみです。

~~~~~~

<プレゼン&ふりかえり>

どこ読むの?次、誰だっけ?

自分で書いた文章だけど、交ざり込んでしまうとわからなくなってしまうようです。

自分の箇所に色をつけたり、メモしたりと工夫し出します。

徐々に、自分たちで補い合いながら読んでいけるようになっていきました。

 (一部)

スムーズに読めたことに好評価をいただきました。

リフレクションシートに「読む工夫が聞きたかった」とあったので、聞いてみると次々に出てきました。

・本が上に上がらないようにした

・顔を上げるようにした

・姿勢をピーンとした

・声を大きくしようとした

・うるさい声じゃない大きい声にした

・速さに気をつけた

・新宿御苑に行ってる気持ちになってた

練習のときにポイントとしていたことをこんなに実践していたとは立派です。助け合っている場面から「ハーモニーを感じた」とのコメントもあり、読むとにんまり。こうした経験はきっと自信・信頼のコンフィデンスにつながっていっていることでしょう。

また、質疑に応答していた様子からも今回のテーマ学習の成果が表れていました。

「最近、五感を使ったことで印象に残ったことは?」と聞かれ、昨日のことや今朝のことなどを語っていることから、生活の中に五感を自然に意識している姿が見えてきました。視覚に偏りがちだった1週目から、ほかの五感も実は使っている、もしくは改めて感じるようになった場面が増えたことは大きな成果です。

では、セントラルアイディア「我感じる、ゆえに我あり。」の到達具合についてはどうか、こちらについても振り返ってみました。

「自分が今感じる五感を思いっきり発揮するってこと。」

「五感を働かせるとすごくいいとか悪いとか気持ちが持てる。おいしい、気持ちいい、気持ち悪いっていうのがわかる。」

「自分の鈍感、敏感があるってこと。」

「五感がなかったら何にも感じないし、できないから、そこにいるって意味がなくなっちゃう。」

「ぜんぶ(五感を)感じないとお人形になる。」

「味覚がなかったら、土を食べても何にも感じない。病気になっちゃう。」

「自分の体に被害が及んで死んじゃう。」

「我あり」という言葉の「あり」を「なし」の反対だと1週目に意見が出ていました。それが6週間後にこうした展開に続くとは。テーマ学習の醍醐味を味わえたひとときでした。

自分が感じることに自分らしさがあるという意味のほか、感じることができなくなると「我なし」になるという発想。五感に、生きるための機能があること、そして個性が伴っていることを、身をもって理解していることが確認できた話し合いとなりました。

表現の仕方においても、「おいしい、うまい」「かわいい」だけの表記から、形容の言葉を加えていくことで、伝わり方の度合いがぐっと上がりました。

テーマは終わりが始まり。セントラルアイディアが自分ごとに落とし込めるかはこれからです。生活の中で五感を大いに生かしていってほしいと思います。

AN

 


(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。
2023年度 年間プログラム(PDF)運用版
テーマ学習一覧表(実施内容)

 

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