【探究領域】意思表現
【セントラルアイディア】感性と情緒が凝縮された言葉は、人の心を結びつける。
<テーマ学習> 〜レポート
今回のテーマ学習「詩人の旅」の探究領域は意思表現です。「私たちはどうしたら気持ちや考えをわかり合えるのか?」という大きな問い対して様々な手法での”表現”について学んでいきます。今回はテーマタイトルにもあるように詩の創作を通して「感性と情緒が凝縮された言葉は、人の心を結びつける。」というセントラルアイディアを実感できるように目指していきます。
まずはテーマ学習初日、総勢18名の3・4年生たちが「詩」について知っていること・連想することについてどんどん意見を出していってもらいました。
するとある子が開口一番に質問してくれました。
「百人一首って詩なのかな?」
「百人一首って五・七・五・七・七でしょ。じゃあ俳句はどうかな?五・七・七だよね。なんか詩っぽいんだよなあ。」
「詩って作文とは全然違うよね。何が違うんだろう?」
そんなやりとりから始まってみんなで頭をぐるぐるさせて考えていきました。するとある子が、作文は出来事をもとにして書く文章で、詩はフィクションが多いイメージで作文よりも短いと語ってくれました。
他にも子どもたちに共通するいくつかの詩のイメージも浮かび上がってきました。
・詩は昔つくられたもの。明治や平安時代のイメージ。
・外に出かけて自然の音を詩にする。
・感じたことを詩にする。
・詩は歌?
・枕草子は説明文ではなくて物語のようだから詩だと思う。
どうやら子どもたちは詩は過去の作品であって、現代や未来には新たな詩はつくられないとのイメージを持っているようでした。
そこで現代の詩を私から紹介しました。
工藤直子さんの名作「のはらうた」です。
この詩集には、工藤直子さんが野原の代弁者として野原の生物になりきった視点で様々な詩が描かれています。
何について描かれた詩か推測ゲーム方式で子どもたちに紹介したところ、あっという間に「のはらうた」の世界に子どもたちはスッと没入していくことができました。さすが工藤直子さんです!子どもたちのファンタジーが残る感性との相性もやはりバッチリ◎
テーマタイトルにあるように私たちは早速、第一回目の詩作の旅へと新宿御苑に向かいました。
天気予報に反してほとんど雨に降られずにたっぷり時間をかけて新宿御苑の自然と戯れました。
学年を超えて発見をおもしろそうに共有し合うのが自然な姿。これがTCSキッズの素晴らしさです。御苑に入っても興奮の中、発見の渦だらけでなかなか前に進むことができません笑
すると、「あ!!あれなに?」と木を指差してある子が何かを見つけたようです。よく見てみると、それはなんとカマキリがガを捕食している真っ最中でした。
「わー!!すごい!ガがカマキリに食べられてる〜!!」
「おれカマキリになりきった詩を書こう!」
「おれはガになりきってカマキリにちょっとずつ食べられちゃってるところを詩にしよう!」
「木になりきってカマキリとガを眺めてる視点もありなんじゃない?」と私。いや〜〜、やはり自然との遭遇はみんなの関心をグッと引き寄せてくれます。やはり詩作は現場に行ってナンボですね!
雨の後はきのこたちも元気です。きのこの影にはムカデも一休みしています。
大人気のダンゴムシたち。ずっと離してもらえませんでした。
昼食の後はみんなで思いきり遊んじゃおう!
こちらの温室も素晴らしい多様さです。
沖縄のマングローブに生息するサガリバナ。夏の夜にのみ咲くという幻想的な花です。ちょうど盛りだったのでしょう。たくさんのサガリバナがキレイな状態で落ちていました。
「すご〜い!モシャモシャしてクッションみたいな葉っぱ!」
詩の題材が溢れている御苑では題材をメモしたり、そのまま詩を創作したりと豊かな時間が流れています。
「あ!カモがいるよ〜。ヒナもいる!かわいい〜。」
池を眺めながらみんなの希望により橋の上でしばし、詩の創作タイム♬
スクールに戻るとすぐに、フィールドワークのルート確認と合わせて詩の題材を整理したり、そのまま詩作を始めていきました。
さあ、初めての詩作でどのような作品が生まれてくるのでしょうか?乞うご期待です☆
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー
第二回目のフィールドワークは浅草&隅田川クルーズです。
雷門から仲見世通りを歩いて浅草寺にお参り。
それから晴天の下、隅田川クルーズで詩の創作フィールドワークを行いました。
人力車に魅せられながら風神雷神を拝みつつ、雷門をくぐります。
「風神雷神だ!!かっこいい〜!」
「雷神だから雷門なんだって。」
仲見世通りには気になるお土産屋さんがたくさん並んでいます。
さっそく買い物を始めると、お店の方がサービスして下さいました。
さあ、浅草寺詣りを終えていざ隅田川クルーズの始まりです。
周囲の観光客たちとコミュニケーションも取りつつ、詩作モードに入るキッズたち。さすがです!!
こちらのクルーズ船はなんと銀河鉄道999の車掌さんと鉄郎がナレーションをしてくれます🎵しかし興奮しているのは私だけ。子どもたちは車掌さんと鉄郎の声にピンときません。。。
後半はデッキに出て風を感じながら川から見る東京の風景を心に刻みます。
クルージングのラストは隅田川から東京湾に視界がパッと広がり、お台場の街とレインボーブリッジを眺めながらの到着となりました。
続いて第三回目のフィールドワークは動物たちになりきるために多摩動物公園へ。朝から夕方まで一日中歩きまわり、多くの詩の材料を集めました。
スクールではこれまでの新宿御苑・隅田川クルーズ・多摩動物公園の3回のフィールドワークで創作した数々の詩の内それぞれから1つずつ選び、推敲を重ねていきました。リズム・擬人/擬態・オノマトペ・繰り返しなどいくつもの技を取り入れながら、メッセージを込めたり、対象の心の声を描いたりと工夫に工夫を重ねていきました。
さらにプレゼンは詩の朗読(ポエトリーリーディング)ということで、オリジナルの詩を聴衆に向けてどう伝えるかという観点も含めて試行錯誤しながら、できる限り練習を行いました。
やってみて、フィードバックを互いにし合って、さらに磨く。4年生のなりきり方や推敲のレベルに刺激を受けながら3年生もこだわりを持って最後まで作品を磨いていきました。
そして最終的には一つの作品を選び、プレゼンでは9人対9人の「詩の柔道」形式で発表し、勝敗を競いました!
プレゼン後のふりかえりでは、この6週間を思い出しながらそれぞれにセントラルアイディアである「感性と情緒が凝縮された言葉は、人の心を結びつける。」の意味について今どう捉えているのかそれぞれに語ってもらいました。
・モノ・生き物・自然になりきって、その心の声を書ければ人の心を感動させられる/引きつけられる。
・心の声に人は感動する。
・なりきって心の声や気持ちや意味などの情報を込めると心に響かせられる。
・生き物の心の声/感情(感性+情緒)を詩に込めると印象に残る/心を圧倒させる
・視点を変えてなりきると、その生き物の気持ちがわかるような気がする。
・身近なところでも詩人になれる!
6週間前には詩がどういうものなのかさえ、朧げだった子どもたちですが、詩の面白さに触れ、創作して磨き、また多くの人に向けて発表した経験からこのような実感を得ることができたようです。
詩人として素敵なスタートをきった18名のキッズたち。
これからもさまざまな視点で創作することを楽しんでほしいと思います。
YI
—
(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。
・2022年度 年間プログラム(PDF)運用版
・テーマ学習一覧表(実施内容)