タイトル:おかげさま
探究領域:社会寄与
セントラルアイディア:「私たちはみんなのおかげで生きている。」
[1年生]
「今日の配達は誰かな。」
救世軍ブース記念病院から毎日お弁当を配達していただいています。
配達に来る時間帯は、4時間目の途中です。1階で授業ができるときには、4時間目の後半はインタビュータイムに変わります。毎回違う人に出会うたびに、自己紹介をして挨拶をしていくうちに、「救世軍の人」ではなく、「◯◯さん」と名前で呼ぶようになりました。車から降りてくる人を見て、「今日は、Rさんだ!」と盛り上がります。一気に親近感が湧いてきます。
知らない方が来ても、大喜び。
もう、臆することなく、自己紹介をして、
自分たちの活動を説明し、手型をもらっています。
どの方も、子どもたちの質問に親切に答えてくれます。それだけでなく、最後には「ありがとう」と言ってくれるのです。こちらがお礼をいう方なのに、どうして向こうも「ありがとう」って言ってくれるのでしょうか。子どもたちに聞いてみると、
「確かに・・。」「なんで?」と考えてから、
「自分たちが、いつもありがとうっていったからかな。」
「ありがとうっていってくれてありがとうってこと?」
「いつも食べてくれてありがとうかも。」
「ありがとうって言われるとうれしいから、ありがとうって言うのかも。」
「また、作ろうって思うからかな。」
この一言が、それぞれの子どもたちのアンテナを刺激したようです。
「うちでも、また作ってっていうことある。」
「おいしかったっていつも言ってたから、言うのやめたら、おいしかった?って聞いてくる。」
「ごちそうさーんって、お弁当箱渡すときに言ってる。」
「何か言うと、また作ろうって思うのかな。」
「何も言わなくて、もう作らない!って怒られたことあった。」
「ごちそうさま言わないと、お弁当箱受け取ってくれないよ。」
「なんで?」「わからない。」
自分たちが一言いうことで、相手の気持ちが変わっていく。そこに気がつき始めたようです。
救世軍の方に名前を聞いたときに、名刺をいただいたことがありました。自分も渡したいと思った子たちが、翌日には、オリジナルの名刺を作ってきていました。そこには、名前、スクールの連絡先のほかに、「いつも はいたつしてくれてありがとう」などのメッセージが一言添えられていました。
あくる日、別の人が配達にくると、「◯◯ちゃんの名刺、お店に飾ってあるよ。」と言われていました。
自分が言った一言から、周りが変わっていく。自分たちにもできることがある。その一方で、2年生からこんなことを言われた子がいました。
「おかげさまで、自分たちは蔭にならないの?
蔭を探しただけでは、おかげさまのテーマにならないんじゃない?」
2年生はテーマでごみ拾いに取り組んでいるところです。ごみ拾いを一緒にやろうと誘いたくて言い出した言葉でした。
声をかけられていた1年生は無言でした。でも、何か考えている様子ではあります。テーマの時間に、どう思っていたのかを聞いてみると、「ごみ拾いはおかげさまにならない」と言います。蔭になっているときに、できることがおかげさまだと思うと言うのです。ごみ拾いは歩いている人に見られてしまうから蔭にならないという意見でした。
見ていないところで、知らないうちに、その人のために何かをする。自分たちがおかげさまと思われることが何かできないだろうか。机上で考えてみても、動きようがありません。発表に向けての作業を進めていき、どこかで「おかげさま」になれることをやったときには、報告することにしました。来週、どんな報告があがるでしょうか。
手型に、見てきた動作を記し切り取っています。
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