タイトル:ロストエナジー
探究領域:共存共生
[5年生]
今回のミッションに立ち返り、「豊かさとは何か?」について考え
続けてきた子ども達。
いよいよ「消費電力量50%減で豊かに暮らす社会」を実現するた
めの具体的なアイデアを検討していくことにしました。
まずはそれぞれが考えてきたアイデアをシェアから始めます。
「前にテレビで紹介されてたんだけど、水に濡らして使ううちわっ
て使えないかな?」
「電気を使用する分だけ先に購入し、その範囲で使うようにすれば
いいんじゃない。」
「Yシャツやジャケットの中にファンがついていれば、外でも涼し
いはず。」
「節約アプリをもっとみんなが活用するとか。」
「カイロは結構実用的かも。電気を使わないで済むし、再利用でき
るものもあるよ!」
「通学に自転車を使ってるけど、乗っていて愉しいし、健康にも良
いんで、値下げしてもっと普及させたいなあ。」
たくさんのアイデアが模造紙を埋めます。
しかし、どのアイデアも個別具体的で、節電や省エネにつながるか
もしれませんが、ミッションを実現するほどのインパクトが感じら
れません。
「これらのアイデアを実行したら、電気に依存する人の考え方を変
えられるかな?」
私からの質問に言葉に窮する二人。
(そう簡単にイノベーションが創出できるようであれば、誰も苦労
しないよな・・・)
メタメタマップの写真をプリントアウトし、ホームワークとして、
それを見ながらもう一度考え直すことにしました。
翌日の授業では、真っ先に私のアイデアを提案してみることに。
「消費電力量を半分にするためには、今、普段の生活で行っている
ことを半分にしてみたらどうだろう。例えば、仕事も学校も通う日
数を半分にしてみるとか。」
「もしかして、お風呂に入る回数とかも?」
「もちろん!」
これまでのアイデアとは違う視点に子ども達も驚きます。
ただ、そこで先生の意見に賛成で終わらないのが、うちのスクールの
子ども達も面白いところ。
「結局は電気を使えなくても、それを楽しめたら良い訳だよねー。」
「停電を面白くする企画なんてどう?例えば、一日東京サバイバル
体験とか。」
「なるほど。具体的には何ができそうだろう?」と尋ねると・・・
「暗闇の新宿を歩き回るのは面白そう!」
「みんなでバーベキューもやってみたい。」
「家に眠っている防災グッズを実際に使う機会としても良いんじゃな
い?」
多くの人を巻き込むためには「やらされる」ではなく「やってみたい」
が重要。
これまで議論してきたことが次々につながっていきます。
「良い名前を思い付いた。『東京暗闇計画』にしようよ!」
昨日までの停滞が嘘のように、一気に議論が活性化しました。
そして、実現可能性を高めるために、考慮すべき点を洗い出し、一つず
つ検討していきます。
当然出てくるであろう反対意見にも備えないと、ただの面白いアイデア
の域を出ないことを本人達も十分に理解しているのです。
どうにか発表内容をまとめ、早速プレゼン資料の作成にかかります。
ただ、来週金曜の発表会まで残された期間はわずか。
はたして間に合うのか。どきどきの1週間を過ごすことになりそうです。
HY
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