特定非営利活動法人 東京コミュニティスクール

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東京コミュニティスクール

海外からの研究者に披露

[6年生]

あっという間にもう1月末。Exhibition の発表まで、あと2ヶ月半
となりました。他の学年がテーマ発表を行い、そのふりかえりを
する時間に、海外の研究者たちがTCSを訪問しました。

ニューヨークにあるコロンビア・ティーチャーズ・カレッジで、
探究型の学びを研究している2人と、チューリッヒにあるスイス
連邦工科大学で、教員養成に関わっている研究者、そしてコロン
ビア・セカンダリー・スクールという中高一貫校でサイエンスを
教えている教師の計4名が、6年生の Exhibition クラスをはりつき
で見学してくださいました。

ちょうどこの日は、これまでの進捗状況をみんなの前で披露し、

これまでやってきたこと
今悩んでいること
これから進めてゆこうと思っていること

についてシェアすることにしていました。

「私は、人の価値観と結婚とのつながりについて考えています。
価値観が違うから離婚するケースをよく耳にするんだけど、この
ときの“価値観”というのがよくわからない。どうして好きになった
ときには気づかないで、後になって浮かび上がってくるのはなんで
だろう……」

ある子が追究を通じて気づいた自分の問題意識を披露します。

すると、宗教どうしの対立について追究している子が

「人の持つ価値観って、宗教の場合特にそうなんだけど、自分が
正しいって信じていることを価値観って考えているような気がする。
だけど、それはその人から見て、正しいって見えるだけで、みんな
にとっても正しいとは限らない。わがままなだけってこともあるん
だよね……」

友達の調べていることに触発されて、よい意見が飛び出しました。
見学していた研究者は、このやりとりを目にして、

「国際結婚も宗教対立も共通する要素があるから、協力して考えて
みたらいいんじゃない」

とアドバイスしてくれました。

お互いに自分の考えを言葉にしてみて、お互いに相手のフィード
バックをもらうというのは、主張を磨いてゆくうえでとても大事な
やり方です。さすが、inquiry と argument が専門の研究者。的確な
アドバイスです。

別の子が、データの読み取りで悩んでいました。たくさんデータを
集めたもののグラフの意味がわからないというのです。

折れ線グラフがいくつも並んでいるものの、いちばん上の折れ線が
何のデータなのかわからない……子どもたちがすぐにそのグラフの
前に集まり、協議が始まりました。

「これは生食用の魚の量って意味じゃない?」
「ううん、ちがうよそれはこっちにあるよ」

いろいろな可能性を確かめているうちに……

「ああ、これはすべてのデータを合計したているんだよ。ほら足して
ごらん」

それぞれの子が足し算を始め……確かに!その合計は、折れ線の示し
ている値と同じになりました。

「そういうことだったのか……」

わからなかった子も納得。こうしてひとつ悩みが減りました。

研究者の方々も、自然に学び合い、支え合う子どもたちの姿に感銘を
受け、探究し、議論する学びを見事に実践していると絶賛!

とはいえ、Exhibition の道は、まだまだ大変。2月に入試を迎える
子どもたちは、どうしてもそちらの方を優先せざるを得ず、
Exhibition はちょっとなおざりになっていました。

「映画もあるし大変だなあ」
「うまく時間を使わないとね」

みなさん経験があるかとは思いますが、どうしても人間は追いこまれ
ないと本気になれないもの。逆に言うと、追いこまれたときに、ああ
もうだめだ、このぐらいでいいや、となるか、アドレナリンが出て、
ヨッシャ!がんばるぜ!となるかが、学び続ける人になれるかどうか
の分かれ目とも言えるでしょう。

結果よりも過程が問われる Exhibition ! どれだけ Passion を持って
追究できるか……これからが正念場です。

RI

TCS2011年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

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