【学年】 3年生4年生
【探究領域】意思表現
【セントラルアイディア】感性と情緒が凝縮された言葉は、人の心を結びつける。
<テーマ学習レポート>
テーマ「詩人の旅(G3-4)」week2
さて、「詩人の旅」第2週目です。
先週が、「身近な場所に出かけることで、一人ひとりが持っている詩心の扉の鍵が開いた」とするならば、今週は、「ほんのすこし遠出して、心に触れた詩のタネを拾い、言葉にしてみる」といったところでしょうか。
そこで、詩人・くどうなおこさんの詩集「のはらうた」を何選か紹介したあと、今回は、スクールからもほど近い「新宿御苑」に足を運ぶことにしました。
ひしめき合うように立ち並ぶビル群の中に、どーんと広がる緑のオアシス。
上へ上へ、横へ横へと交差しながらまるで競い合うかのように、伸びていくたくさんの木々を見ていると、御苑全体が意思をもって会話をしているかのような、そんな不思議な感覚になってきます。
ちなみに、この日はなんと最高気温17℃。梅も咲いていて春の訪れを感じる外出日和です!
目の前には気持ちよさそうな芝生があり、子どもたちは、早速「わーい!」とテンションがあがって駆け出していきました。
そこで、入ってすぐに鎮座する、大きな松の木に目を奪われたキッズたち。
「この木、でっかいね~!樹齢木って書いてあるよ」
「この幹、ゴツゴツしてる~」
「下が緑で途中が茶色で、上の方は黒いね」と特徴を発見している模様。
ここで、もし「画家の旅」だったなら、画用紙に見たものをそのまま模写していくところですが、今回の私たちは、「詩人」の旅であります。
そこで、詩人ノートに、見たもの、感じたこと、状景、様子などを自分なりに言語化し、「言葉のスケッチ」をしていくことにしました。
とはいえ、「目で見る」だけで、自らの心に触れる詩のタネを見つけることができるでしょうか。
私たちは五感を持っている生き物だからこそ、多角的な感覚が束になってつながってはじめて、「感じる」ことになる。だから、とにかく五感を使うことにします!
芝生の上で寝転がる。寝るんじゃなくて、本当に転がっていくんです(笑)
木の樹液を触る。
そしてちょびっとだけ舐めてみる。
黒い土を触る。匂いを嗅いでみる。
ミミズを触る。
花を触る。
水の音に耳を澄ませる。
カモの鳴き声を真似してみる。
などなど、そうやって感じたことを、言葉のスケッチノートにしたためていきます。
新聞紙の上にしゃがみ込んで、書く。
池のほとりに座り込んで、書く。
岩の上に座って、書く。
立って、書く。
とにかく、書く。書く。書く。
そうそう、新宿御苑といえば、珍しい熱帯地域の植物がみられる温室もあり、その中も覗いてみることにしました。
雄しべが集まっている、ふわふわのピンク色をしたオオベニゴウカンという花に女子たちは釘付け(笑)
葉っぱひとつとっても、全く違うデザインがみられて「おお!」と感動の嵐でした。
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さて、翌日はスクールにて振り返りをしたあと、いきなり書いていくのではなく、くどうなおこさんの「のはらうた」をもう一度読みながら、詩人と呼ばれる人たちが使っている「技」の存在について、知る時間をとりました。
すると、「自分が主人公のつもりで書いている」という視点に気づいたキッズたち。そうです、これぞ詩で重要な技のひとつ・「なりきる」ということです。
本来の自分と対象物を比較して、「他者はこう感じる・考えるのかもしれないなぁ」と感情移入していくのではなく、本来の自分が対象物に入り込んで、「自分だったらこう感じる・考えるなぁ」と感情移入していくのが、なりきるということ。 そこに、なりきる面白さと難しさがあります。
この視点の変換がどう詩作に影響するのでしょうか。
新宿御苑でみつけた詩のタネをもとに、なりきって詩作しながら、
「う~~~~ん・・・・」「あぁ、むずかしい」と、産みの苦しみを味わっているキッズたち。下書きしては直し、まとめて書いていく。あっという間に時間が経っていきます。
同じ題材でも全然違う作品ができたりと、一人ひとりの個性が浮かび上がってきました。
凝縮という意味、詩人の技、を知ったことで、それなりの作品はできあがってきましたが・・・、でも正直、なんだか物足りない。
どうしたらよくなるか、どうすればなりきれるのか悩みつつも、来週からの本格的な詩人への旅を前に、胸をわくわくさせている3・4年生たちなのでした!
MK
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(参考) TCSテーマ学習については、以下よりご覧ください。
2018年度プログラム_基本形 ・ テーマ学習一覧表_実施版