タイトル:人の心を動かすストーリー
探究領域:意思表現
セントラルアイディア:多様な表現の組み合わせが人の心を動かす。
[6年生]
「心動かされる」とは、どういうことでしょうか?
「面白い」「悲しい」「怒りを覚える」など、感情を動かされる、つまり「感動させられる」ような作品は世の中にごまんとある作品の中でも数少ないものです。
今回のテーマ学習「人の心を動かすストーリー」では、今まで学んできた表現技法の粋を凝らし、総合芸術としての「映像作品」を作り上げます。
さて、ではまずキッズ達は今までの経験のなかで、どんな作品に心を動かされたのでしょうか?
いろいろな映画や作品を題材にしながら考えていきます。
真っ先に手を挙げたキッズが紹介したのは「メジャー」という野球漫画。
主人公の波乱万丈なストーリーに心動かされたのか、と思いきや、
実は主人公以外の人たちの「サイドストーリー」まで綿密に考えられ、作り込まれている。
そんなところに心動かされた、ということだったのです。
そういった「細部までの作り込み」は登場人物のバックグラウンドのみにとどまりません。
「千と千尋の神隠し」に代表されるジブリ作品の「絵の作り込み」に感動を覚えた、という意見も出てきました。
宮崎アニメの真骨頂。一枚一枚手書きで描かれたアニメーションの精細さに勝るアニメーションはあまり見ることができません。
話しているうちに、そういえば、今年流行った映画といえば「君の名は。」についての話になりました。
この作品も「絵が素晴らしい」ということで絶賛されていましたが、「ストーリー」は「ベタだ」という意見が実は多く、「CMのネタバレも多くってつまらなかった」という意見が多数を占めていました。
「千と千尋の神隠し」と対照化させてみると、「千」の方は「意外な展開」と「伏線を回収して、知らない状態から知る状態へと推移していく」という二つのストーリーにおける重要な要素を含んでいた、ということがわかってきたのに対して、「君」の方は、最終的な安直なエンディングとメッセージ性の薄さが、問題だという話になりました。
映像作品やストーリーではこの、「逆転」と「認知」という二つの要素が大事、ということはアリストテレスの『詩学』にも述べられているほど過去から続く物語の法則なのです。
「メッセージ性」といえば、「社会派」なゴジラもありますが、もっと「哲学的なメッセージ」を発しているものとして「寄生獣」が挙がりました。
永井均さんの作品であるこの「寄生獣」は、「生物とは何か」という問いに対して「宇宙から来た寄生虫」と「人間」の出会いから生まれる物語が描かれています。
昨年は映画にもなり、再ブームのおかげで小学生にも認知されるまでになっています。
そういった「かけ離れたもの」の二つを組み合わせる「着想」に注目する作品も挙がってきました。それは「テルマエロマエ」です。「現代」と「古代」、「ローマ」と「日本」の組み合わせ、「ローマ人」と「温泉」の組み合わせから生まれる「笑い」はなかなかのものです。
こうして様々な展開、演出、物語、の三つの要素について「心動かされた」要素が上がりました。
では、メガネを掛け替えて、その三つの技巧の視点から映画を見たらどうなるだろうか、そんなことから、今週は後半から「勇者ヨシヒコの冒険 第1話」と「スターウォーズ エピソード4」をみました。
「低予算でできる演出」、そして「神話をモティーフにした映画のストーリー展開」を分析してゆくなかから発見していきます。
次週は演出・物語・展開を作るための方法論を学び、ストーリーを作ってゆきます。
TY
※TCS2016年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。