タイトル:限りある資源、限りなき欲求
探究領域:共存共生
セントラルアイディア:「地球資源の持続可能性は人間の選択に委ねられている。」
[3・4年生]
今週は、自然エネルギーが専門分野になる「環境エネルギー政策研究所」に伺ってきました。研究員の方々の仕事の内容や、実際に活用されている、もしくは実験段階中の自然エネルギーのあり方について、現場からの声を直接聞けるまたとない機会です。
子どもたちもワクワクしている様子。
けれども、ただ行って話を伺うだけでは得られるものも少なくなってしまいます。
特に、4年生は見学先でのインタビュー経験もあるため、
「図鑑に書いてあることを聞いてもね。」とわかっている素振り。
「風力発電とか、太陽光発電はお金がかかることはわかるけど、どのくらいかかるのかな。」
「太陽エネルギーはへらないって書いてあるけど、風とか水とかはなくならないのかな。」
「ソーラーパネルは黒いものばかりなのか聞いてみたい。透明なのもあればいいのに。」
聞きたいことを整理し、いざ、出発。
研究所はビルの中の1フロアにありました。
私たちのために予め資料を用意してくださっていて、お話の中には、お金の話も出てきました。
風力発電1台は3億〜5億円。
一人では出せる金額ではないけれど、みんなで持ち寄って設置できた地域もあるといいます。大事なのはこの動きであり、こちらの研究所が始まったきっかけはデンマークのサムソ島で行われていた活動を知ったことだったそうです。島の住民一人ひとりが動いたことから、この島は自然エネルギー100%を実現させているといいます。日本でも自然エネルギーを活用したいという人たちのために協力をすることがお仕事の中心になっているそうです。
現在、日本では、海に風力発電機を設置するためにどんな装置にしたらいいか研究中であることや、地中熱を利用して暖房・冷房に代用しているコンビニがあることなど、自分たちが調べ切れていないことを聞くことができました。
「窓にも貼れる透明のソーラーパネルってありますか?」の質問には、
フィルム状の太陽電池が日本で開発されているほか、さらには黒以外の色のフィルムも開発中とのこと。
「発電公園があればいいなと思っているのですが、そういうのはありますか?」と聞くと、
「それは、ぜひやりたいね。」と。まだどこにも実現していないよう。
ソーラーパネルで動くおもちゃは、その場で見せていただけました。
何をしていいかわからなくても、まずは、こんなまちになったらいいなと考えること。一人ひとりが考えること。自分ごととしてオーナーシップをもつことを言い続けているというお話に、「プロブレム・オーナーシップ・・・」と子どもたちが反応し、つぶやきます。まさに、スクールでよく耳にする言葉。他人ごとではなく、自分ごとに捉えていきたいところです。
「いいな」を考え、行動している人たちの実践も数多く紹介していただきました。
未来を考える。それを目指してできることを考えていく。翌日、リフレクションで話題となり、発電公園を思い描き、今の自分にできることは何か、アイデアを出していきました。
「お化け屋敷を作ればいい。」
しかし、理由を聞くと「遊びたいから。」
残念ながら、説得力のある理由は出てきません。
自分がよければいいという欲求は消せないもの。
それでは人は巻き込めません。
何が目的で動くのかを明確にする必要が出てきます。
誰かがやればいいではなく、自分からやってみる。その一歩が踏み出せるかどうか。
口先だけにならない行動とは何か。自分のためではないことができるかどうか。
自分たちの欲求が優先してしまうことはわかっているため、沈黙が続きます。
彼らがそれだけ真剣に自分との欲求に向き合い、どう納めていくかを考え始めたからのようにも思えます。
「〜しないようにするとかだと楽しくないよね。幸せ度を上げないと意味がないって言っていたし。」
非電化工房の藤村さんの言葉を思い出し発言した子がいました。
欲求のためではなく、でも楽しめることって何があるだろう?
来週のプレゼンでは、自分たちのしていきたいことを提言し、多くの人を巻き込みたい。
では、どんな提言ができるか、答えのない問いに苦戦中です。
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