タイトル: 銀河鉄道に乗って
探究領域: 時空因縁
セントラルアイディア:創造の原動力が想像である。
[5・6年生]
超新星爆発にブラックホール。その中に生まれるワームホール。量子テレポーテーションによるワープか、時空のゆがみによるワープか……
とにかく熱く、熱く、語り続けた2週間。宇宙に関わる知りたい「事実」がかなり明確になりました。3週目は、発想を広げるところから、つなげるフェイズへ。宇宙SF劇ストーリーの「骨格」づくりです。
まずは、いちばん大きな流れを確認します。流れを構成する要素は3つ。
① 地球を脱出する
② 宇宙空間で危機・困難に出会う
③ クライマックスを経てハッピーエンドを迎える(人類の未来に希望を抱かせる結末)
すると、間髪入れず、口火を切る子が現れます。
「時空のゆがみから異次元に行ってしまい、過去に戻ってしまうんだ。そこからストーリーは始まる」
この発言に触発されて、あとは怒濤のごとく……「そうか、ひらめいちゃった。過去に戻って未来のことを警告しに来るんだよ。」
「悪い未来を消してよい未来をつくりにくるんだ」
おっと、アブナイ、アブナイ。思わず、ネタバレになりそうなことを書こうとしてしまいました。今、ここでお伝えできることは、とにかく、子どもたち全員の頭が見事にスパークし、次々にアイデアが出されては、修正され、洗練され、ちゃんとひとつのストーリーの「骨格」が見えてきたということです。
今、世の中は、本当に変な方向に進みつつある、なんかきな臭い状況です。そんなときだからこそ、こうして大胆に、ファンタジーを語り、現状に流されず、もうひとつの流れをつくってゆくイマジネーションを全開にしてもらいたい。大人に惑わされず、大胆かつ繊細に、暗い成り行きを乗り越えて、一筋の希望を見出す、まさに「レジリエント」なストーリーをつくってほしい。そんな気持ちでいっぱいです。
ストーリーの内容は、多く語れませんが、つくり方についてはちょっと語っておきたいことがあります。それは、7人の侍ならぬ、7人の多様な子どもたちが、個々の持ち味をうまく出し合ってストーリーをつくっていったことです。チーム力高いじゃん……と探究教師としての立場も忘れ感心してしまった次第。
「Aちゃんは、こうなって、こうなる、だけどこうなるっていう大きな流れをつくるのがうまいからAちゃんの意見を聞きたいな」
するとAちゃんが、地球をなぜ脱出しなければならなくなったか、その理由について語り始める。
「宇宙空間の移動の際に、時空のゆがみから、こんなことが起こるんだ……」
続いて、科学的知識がいっぱい頭の中に渦巻いている子の出番。とにかく熱く語られる内容は、半分わかるような、わからないような。でも、聞いている側の聴き方がいい。わからないところがあったら素直に質問する。あるいは、話をわかろうとするだけでなく、自分のアイデアをインスパイアするために、誤解も辞さず、耳を傾ける。やがて、自分ばかり語り過ぎたと気づいたら、別の人にパス。全然、違う話題へとスイッチする。一見、関連性がなさそうだが、それよりも、どこかでつながってきたり、役立ちそうな考えをとにかく出しておこうという姿勢だ。
やがて、人間関係のディテールを語る子の登場。
「実は2人の主人公の関係は××でね、そこでこんな会話がきっかけでそれがなんとなくわかってね、でも、途中でこんな裏切りに巻き込まれてね」
わあ、ドロドロした人間関係と、それを超えた美しい人類愛とが、うまく織り込めているではありませんか。その面白さに一堂拍手。
こうして、一見、個々バラバラに言い放っているように見えて、実は、ストーリーの「骨格」という大枠をガイドとして、決して外れることはありません。科学知識、人間関係、そしてドラマチックな構成が、それぞれの子の特性を活かして語られます。それをみんな面白がれる。「あっ!と言わせる作品づくり」というミッションに向けて「個」力と「協」力とを融合しようとする真のチームワークを見せてくれます。
こうして、ストーリーの「骨格」と流れが見えてきました。来週から、早くも後半ですが、ストーリーに肉づけをしてゆく作業に突入してゆきます。細かいことにもこだわり、子どもじみた浅い面白さを超えて、質の高い、「なるほど!そうきたか!」と思わせるような面白さを目指します。さらにさらにアクティブに。とどまるところを知りません。
RI
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