タイトル:てこでも動かない?
探究領域:万象究理
セントラルアイディア:「小さな力を大きな力に変えることができる。」
[3・4年生]
発明品のイメージが広がってきたところで、週末、それぞれが設計図をかいてきました。
どんな原理を使った、どのように動かす装置なのかを説明していきます。
動滑車1つを使った、サッカーシュート練習器。
輪軸を使った、トイレのレバー拡大器。
てこを使った、包丁で固い物を切る器械。
動滑車を5つ使った、2階に人を運ぶ器械。
歯車を4つ繋げた乗り物。
てこ、滑車、輪軸を組み合わせた、おもちゃ装置。
説明をしたり聞いたりしていくことで、もっとよくしていきたい点が出てきます。
「歯車は力を伝えるだけだから、力の大きさは変わらないよ。」
「あ、そうか。」
「動滑車がどう設置されているのか、わからない。」
「ちょっと雑にかいちゃった。」
アイディアはいいものばかり。
説明を聞くと、さらによくしていくことができそうです。
では、どうしていけばいいか。
それぞれが出してきた設計図には、欠けているところがあります。
学んだ原理をひとつしか使っていないものが多いこと、
そして、おっちゃん持ち上げ実験をしたときの経験を活かしていないことです。
そのことに気がつくと、見方が広がっていきます。
「動滑車を増やすと、摩擦で動かなくなる。」
計算上では、動滑車は増やした方がより軽くなります。
でも、現実には摩擦が発生して思い通りにならないことを子どもたちは実感しています。
「それなら、動滑車は2つにして、両側から引っ張れば、動滑車は斜めにならないで上に上がるかも。」
おっちゃん持ち上げ装置の改善案が出てきました。
ただ、このままでは、あくまでも仮説です。
今は発明品の話を進めるとして、
実際に、放課後に試してみました。
「今日は時間がないから、公園じゃなくてこれでいいよね。」
仕組みが同じであることを理解しているため、初回の実験で使った段ボール箱を
持ち出し、スクール内で仮説を試します。
32kgの4年生が乗って、両側から2人が引っ張ると、スルスルと箱が進みました。
よさそうな感じです。
では、おっちゃんに乗ってもらい、同じように引っ張ってみました。
動滑車の動きはよかったのですが、支柱としていた部分が支えきれず動いてしまいました。
ブランコで実験すれば、この仕組みは使えそうです。
実験結果を活かして考えると、動滑車が使えるのは、現実には2、3個のようです。
それだと、力の大きさはあまり変わりません。
前半の「おっちゃんを持ち上げる」というミッションでは、
どうにか持ち上げることはできたものの、
指一本で軽々とまでには至りませんでした。
学んだ原理をひとつしか使わないと限界があるようです。
でも、組み合わせることで、より軽くすることができるはず。
身近な発明品の中には、原理を組み合わせているものがたくさんあります。
ギアを使う案から、変速できる働きがあることを先週の歯車実験から思い出し、「自転車は変速ギアがある!」との発言があがりました。
「今日、自転車乗ってきてるよ。」という子がいて、
自転車がどんな仕組みで動いているのかを見てみると、
ギアと輪軸の組み合わせであることがはっきりわかります。
より現実的に発明品をつくるためにも、まずは、学んだ原理を組み合わせることで
指一本でどこまで持ち上げることができるのかを考えてみることにしました。
10kgの本の束。定滑車のみで試してみます。
これは指一本で持ち上げるのは
一苦労です。
ついつい、体重をかけてしまいます。
「動滑車3つ、4倍の輪軸、さらに、3倍の輪軸をレバーとして取り付ければ、力は72分の1になる。」10kgが約140gの力で持ち上がる計算になります。滑車だけを使うよりも、こちらの方がはるかに力が変化しています。
滑車と輪軸の組み合わせは有効だと考えた子どもたち。
実現可能かどうか、来週は実際に作ってみます!
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