特定非営利活動法人 東京コミュニティスクール

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東京コミュニティスクール

きれいな水があふれてる?

タイトル:Be Water
探究領域:共存共生
セントラルアイディア:「上善水の如し」

[3・4年生]

週末のホームワークで、家庭で使っている水についての調査を行いました。いつ、どんな目的で、どれぐらいの量の水を用いているのか実感するためのリサーチです。

朝起きると、顔を洗って、歯を磨いて、歯を磨くときの歯ブラシをゆすいで、使ったコップも洗います。そのとき台所では、お母さんがやかんに水を入れてお湯をわかしていて、スープを作っています。食べ終わったら早速、食器を洗い、洗濯機のスイッチもオン。ただし水は昨日のお風呂の残り湯を使っています。あっ、お父さんがトイレに、妹が続いて、ぼくも続きます。3人とも大きい方だったみたいで、それを流すために水を使います。お父さんはひげをそるために、お母さんは髪を洗うために水を使います。さあ、朝だけでも結構水を使いました。でも、すべて蛇口をひねっれば、きれいな水が「ほしいだけ」流れ出てきます。

「幸せだよね〜」

映画『ブルーゴールド』で描かれた現実を知っている子ども達にとって、日本の水事情は「天国」のように思えます。

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トイレに流す水も、飲み水として問題ない。トイレも含め、家庭排水や泥水などの下水を高度処理した「再生水」も、何かあったらまずいので飲ませてはくれませんが、実際は飲んでお腹をこわすなんてことはありません。

きれいな水にあふれている日本?水には不自由しない日本?

ということで、スクールを出て「家庭外」の水を採取に出かけました。やっぱり川がいい。川と言えば、妙正寺川がすぐ近くに流れています。家が密集する都会の川と言えば、きっと汚い水に違いない……ということでロープを結んだバケツを持って出発です。都会の川は、治水工事の結果、コンクリートでばっちり護岸されている上に、ちょっと雨量が増すと一気に増水するので、深く掘りこまれています。だから下の写真のように、バケツをロープで下して水をとらなければなりません。

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無事、水の採取に成功。スクールに戻って汚れ具合を調査です。泥の塊のようなものが数片まじっているものの、無色透明。いやなニオイも一切しません。

「もっと汚いと思っていたけど、意外にきれいだね」

まったくその通り。しかし、見た目だけでは判断できないので、判定キットの薬品を用いて調べてみます。すると……

COD は「2」ぐらい。澄みきったキレイさではないものの、まあまあキレイ。清流でないと棲めないような生物を除けば、問題なく生息できるレベル。都会のど真ん中ということを考えれば十分合格です。

これには私もびっくり。水を採取した場所は、新井薬師のすぐそば。中野平和の森公園にある水再生センターで浄化された水が流されている地点からそんなに遠くない上に、下水道の整備も進み、汚れた水が垂れ流されている状態ではありません。都会の川もキレイになったのですね。(おっちゃんが子ども時代が公害がいちばんひどい時代だったのかも……としみじみ思いました……)

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都会の水はキレイになっているし、浄化技術も進んでいるし、日本については水問題なんてないんじゃないの?というムードになってくると、探究慣れしてきている彼らは、いや、そんなに簡単に済むはずはないという思いがもやもやとわいてくるようです。

水道の蛇口をひねればキレイな水が出てくるのに、なんでペットボトルの水がたくさん売られたり、ウオーターサーバーを使ったりするんだろう?
最近、ゲリラ豪雨が多くて、すぐ水があふれて、道路が冠水したりするけど、水が地面に吸い込まれないで全部、川に吸いこまれて海に流れ出ちゃうのは問題ないのか?
「水不足」になるっていうのを最近、東京では聞いたことがないけど本当に大丈夫なのか?

さまざまな「疑問」が出てきました。

早くも、前半3週間終了。ここまで世界の水事情から、身近な水の現状まで、日本人にとっての水についていろいろ知ってきました。後半3週間は、これまでのリサーチをふまえて、「上善水の如し」というセントラルアイデアに肉薄する探究に没入してゆきます。

RI

TCS2014年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

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