[5・6年生]
三週目となる今週からはいよいよ自分のこれまでの人生を振り返り、そしてこれからの人生を想像して描く”人生楽ありゃ苦もあるさ年表”の製作が始まりました。
先週グリーフサポートを行なっている是枝さんからお話を伺い、また今週始めに「さよならエルマおばあさん」などの良書を通して死者の人生、さらには生前ともに生きた時間を思ってそれを鏡として自らの”生”を考える人たちの姿から”死”と”生”について考えを巡らせてきました。
そしてそれをわがごととして捉え、自分の生き方へフォーカスしていくさらなる仕掛けが”人生楽ありゃ苦もあるさ年表”を書くことです。
約40年後、師の「死」に直面するというリアリティの高い状況を設定し、それまで自分はどういう人生を歩んでいるのか。
「通夜」に集まったとき、同級生たちとどんな話をするのか想像するには、その時点まで自分がどんな人生を歩んでいるかイメージできていることが鍵となります。
大人ですら何十年後の自分を思い描くことは難しいし、そんなこと意識せずに生きている場合が多いでしょう。
子どもたちは過去の先輩たちが学んでいた姿を思い出しながらどのようなことを描くのかそれぞれにイメージを持っていましたが、実際に誰かの年表を見たことはありません。
そこでまずは私が作った”人生楽ありゃ苦もあるさ年表”を子どもたちにシェアすることになりました。
まずは見本を見せて私自身をさらけ出さないことには子どもたちも動いてくれないでしょう。(内容はここではお見せできないような恥ずかしいことも数多く書かれているので省略させて頂きます。)
自分の恥ずかしい部分や弱い部分また挫折を克服した経験、これからの生き方などを見せることで子どもたちも人生の楽(ポジティブ)な部分だけではなく、必ず今までにもありこれからも起きるであろう苦(ネガティブ)な部分についても思いを馳せてそれらを受け止めた上で前向きに人生を捉えて年表を書いてくれるであろうという考えがありました。
書き進めていくと子どもたちから
「この年表作りメチャメチャ面白いね!」
「ねえ、おれペンが止まらないんだけど。」
と自分年表を書く楽しさに早速ハマっている様子。
「幼稚園のとき女子トイレをのぞいてる友達をからかってたこと思い出した!(笑)」
「1年生で富士山登頂したことは忘れられないね!」
「保育園でかってたザリガニに小指はさまれて血が出たんだよなー。」
など今まであまり思い出す機会が無かった出来事をどんどん思い出しては嬉しそうに話しています。
「この年表1枚じゃ絶対足りないから、2枚分の枠に作り直してくれない?みんなそうじゃない?」
「うん。絶対足りない!作って。」
と言われたのでフォーマットをすぐに作り直しました。
しばらくすると「楽の部分はたくさん思い浮かぶんだけど苦がぜんぜん出てこないなぁ。特に未来の苦なんてなかなか想像できないよ。」
とみんな口を揃えていいます。人生の楽しかったことは思い出せるし、これからの人生でのポジティブな出来事は想像できても辛いことや乗り越えるべき壁についてはなかなかアイディアが思い浮かばない様子の子どもたち。
実際に作ってみると確かにそこに苦労します。しかし、誰しも順風満帆にいくだけの人生というのはありません。
”苦”や弱さを乗り越えていく過程で様々な学びを獲得していくということも言えるでしょう。
また年表を作りながら山田麟太郎さん著の「なきすぎてはいけない」などの良書を読み聞かせ、色々なパースペクティブから”生きる”ことと”死ぬ”ことについてさらに思いを広げていきました。
そうした中で少しずつ自分たちの年表にも幅が出てき始めました。
来週も引き続き年表を作りながら自身とじっくり向き合っていきます。
YI
※TCS2014年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。