タイトル:人の心を動かすストーリー
探究領域:意思表現
[5・6年生]
発表会がいよいよ来週の水曜に迫ってきました。
子ども達は最後の追い込みに余念がありません。
何度も全編を通して見て、違和感のある部分がないかを確認します。
5年生のある男の子は刑事裁判を中心にした映画を制作していまし
た。
冒頭で発生した事件がストーリー展開の鍵を握り、観る側を作品に
ひきつける効果を狙います。
相手の心ない言動に我を忘れ、思わず犯行に及ぶ主人公。
その際に使われる凶器として当初はナイフを想定し、後の場面も撮
り進めていた。
「もともと殺意があった訳ではないのに、ナイフを持ち出すのって
変じゃない?」
「うーーーん、確かに。」
路上でのやりとりをきっかけに事件が発生するとなると、そこら辺
にゴミとして捨ててあった空き瓶を鈍器とする方が自然なのでは。
そう考え、再度シーンを撮り直します。
しかし、部分に注意がいきすぎると、全体が見えなくなるのはよく
ある話です。
改めて全編を通して見直すと、裁判シーンでの台詞との整合性が取
れていないことに気づきました。
「これじゃあ、だめだ・・・」
クラスメイトにも協力してもらった長時間に及ぶ裁判シーンを撮り
直すのは残された時間を考えると現実的にはかなり厳しい状況。
別の凶器はないか頭をフル回転させ、何とか冒頭の事件のシーンを
再撮影する方法を考え抜きます。
6年生のある男の子はさえない青年が夢に向かって努力するストー
リーを撮り進めていました。
そんな彼がいまいち納得いっていなかったのが、一般企業に勤めて
「全うな」社会人となった昔の友人と再会するシーン。
近況報告する中で役者の夢を馬鹿にされ、奮起して演技の練習に励
む様子を表現したいのですが、そのままでは普通で何もインパクト
がありません。
海外のコメディ作品が好きな彼は何とかそのシーンをもっと面白く
できないか悩んでいました。
「練習内容を段々とありえないもの変えていってみたら?」
「そっかー。途中から演技に関係なさそうなことを必死に練習した
ら面白いかも。」
たった一言のアドバイスをきっかけに、頭がグルグルしだします。
毎日、それぞれが撮影と編集を重ね、ようやく作品が完成。
「やっと、できたーーーー。」
子ども達からは安堵の表情が伺えます。
6週間かけて制作した作品を観客はどう評価するのか。
ドキドキの発表会を迎えます。
HY
※TCS2013年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。