[5年生]
「編集するってどういうこと?」
まずは、今回の学びの中心となるコンセプトについて子どもたちが
どんな先行知識を持っているか掘り出す作業から始めました。
「編集長」
「テレビでタレントがここ編集しとけよって言ってる」
「まとめる」
「いるところといらないところ」
すぐにいろいろな意見が出てきます。
ただ、“編集”が私たちにとってどんな深い意味を持つかについては
明らかにされません。そこで、
「どうして編集するんだろう?」
という問いかけによって、さらに子どもたちをゆさぶります。
「伝えたいことがあるからかな……」
確かにその通り!では、伝えたいことを伝えようとするプロセスに
おいて、私たちは「無意識のうちに」どんなことをしてしまっている
のだろう……
すると、実は、私たちは、意図しようとしまいとに関わらず、「何か
を選んで」伝えていることが見えてきます。
「編集しないわけにはいかないんだ……」
まさにその通り。それが今回の学びの「核心」です。
手に入れる情報は誰かによって「選ばれた」情報です。その情報も、
選んだ人の“意図”にしたがって選ばれた「ことば」や「写真」「映像」
で構成されてしまいます。さらに……その情報も、送り手の思惑に支配
されつつも、ただ受け取られるわけではなく、自分の“意図”によって
切り取って、都合のよいように受け取ってしまいます。それが「編集」
なのです。
つまり、テレビや雑誌を制作するプロだけが「編集」に携わっている
わけではなく、私たちが日々情報を得る過程すべてが「編集」である
と言っても過言ではないのです。
(ただ小冊子を作ればいいわけではない……)
今回のテーマ学習では、TCSの学びについてアピールする小冊子を作り
ます。しかし、5年間、探究する学びを積み重ねている彼らは、最終的
なアウトプットが学びの「目的」ではないことにすぐ気づきます。
知らず知らずのうちに私たちがしてしまう「編集」のプロセスを意識
して、相手に自分たちの思いをなるべく的確に伝えるにはどうしたら
よいか追究するのだ……ということがなんとなく見えてきます。
じゃあ、TCSのテーマ学習の特徴っていったいなんだろう……
それをあぶりだすには……そう、まずはマイニング!
彼らは自発的にマップ作りを始めました。一人がファシリテーターと
してふるまい、一人が記録し、そしてもう一人が口火となる意見を言う
という形で作業開始。こうしてできあがったのが、上の写真です。
小1時間で、なんとホワイトボードの表裏を埋め尽くしました。
この間、私は、本当に何もする必要はなく、ただ放っておくだけ。
「習うより慣れろ」とはまさにこのことです。長年、このスタイルで学び
続けてきたことが、彼らの中にしみこんでいたのでした。
一人ひとりの違いを活かす……
考えることと変わることがかみあう……
楽しさでつながり学ぶ……
なかなか本質をつくポイントが掘り起こされています。う〜ん、たいした
もんだ。さすがわれら探究仲間!とちょっと親バカならぬ探究教師バカ的
発言をお許しください。
さあ、これで端緒はつかめました。
いかに広げ、深め、豊かにしていけるか……
来週が楽しみです。
RI
※TCS2011年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。