特定非営利活動法人 東京コミュニティスクール

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「意識」を「実践」につなげる難しさ

[6年生]

先週の金曜日は、アウトドアデーで、スクール全体で練馬区にある光が丘公園に
出かけました。この機会を利用して、6年生の子どもたちは、ここまで練り上げて
きた「投球理論」を「実践」してみました。

「結果が出ないなあ……」

これまで考えてきた「理論」は間違いだったのか……それとも、「意識」したことを
うまく「行動」に移せないだけなのか……子どもたちは悩み始めました。

撮影したビデオを見直して、自分たちの考えた理論を「検証」します。

「腕が伸びてないね」

女の子のフォームを分析すると、最初からひじを曲げた状態で投げようとしている
ので、せっかく下半身が生み出した力を有効に使っていないことがわかりました。
男の子のフォームを分析すると、右足にためた力を左足に移動させることに失敗し、
下半身の力をうまく利用していないことがわかりました。

「意識しようと思っても投げるときには意識しきれないんだよね」

「理論」を「実践」に移すには、「自覚」できるチェックポイントが必要!このままでは
引き下がれない!と、子どもたちは、実際に投げるときに意識すべきポイントを明ら
かにし、再度、挑戦です。

①後ろに沈みこむことで力をため、それをふみこむ左足にのせること
②左足を軸として「回転」を引き起こしてゆく感じ
③下半身の力が肩甲骨を回転させ、その回転がひじのしなりを生み、最後にスナッ
プでボールを押し出すこと

これらのポイントを「意識」し、梅里公園へ……

まずは、肩のストレッチ、そしてキャッチボール。身体も肩も温まってきたところで
測定開始です。

男の子も女の子もともに記録は26m。1投目、2投目と記録に数メートルほど及ばない
平凡な記録が続きます。やはり「理論」は「机上の空論」か……と思われた第4投目。
女の子は自己ベスト更新の27mを出しました!
そして、男の子は、一気に3m更新の29m!

「やったー!」

ちなみに小6女子の平均は約18mですから、もともとよい記録だったのですが……

翌日も、実践は続き、ついに、男の子は、30m20cmを記録。30mの大台に乗せました。
決して体格に恵まれていない子が、30m越えを可能にしたのは理論の賜物です。
30m越えをしたときのフォームを分析すると、下半身で作り出した力をムダなくボールに
伝えていることがわかります。

「肩よりも太ももの内側が痛いんだよね」

どう力を作り出してボールに伝えたか自分の身体が証明していることに男の子は驚いて
いました。

一方、この日、どうしたことか女の子は記録がふるいません。早速、撮影したビデオを
分析すると、ひじの位置が肩よりも低いことが判明。やはり、身体のメカニズムがちょっと
でも狂うと記録は出ないことを痛感しました。

「トレーニングも考えなきゃね……」

女の子はつぶやきました。確かに、11月中旬の記録会にはあと1ヶ月半あります。
それまでに練習を積み重ねることで記録は変わってくるでしょう。よい投げ方を身体に
覚えこませる投げ込みの他に、投げる力を生む筋肉を強化する必要があるのでは、
と考え、投げるときに使っている筋肉を調べてみました。すると……

ひじのしなりを生んでいるのは、力コブを作る上腕ニ頭筋ではなく、その反対側の上腕
三頭筋。肩甲骨の周りの筋肉、大胸筋、腹筋、背筋、そして大腿筋というように全身の
筋肉を使って投げていることがわかりました。次に、筋力をつけるにはどうしたらよいかと
調べてみると、上腕三頭筋と大胸筋を鍛えるには腕立て伏せがいい!そこで、早速、
やってみるものの、まだ腕力のない子どもたちには腕立て伏せができません。大人向け
のメニューはこなせないことがわかりました。

「毎日、投げてたら肩が痛い!」

パフォーマンスを追い求めるあまり、故障してしまっては元も子もありません。

トレーニング方法とケガの予防と言う新たな課題を発見し、いよいよ次週は、最終週。
発表に向けて、これまで追究したことのまとめに入ります。

RI

TCS2010年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

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