思考のスタイルがだんだんと「裁判」に影響されてきた子どもたち。
日常生じる事態、たとえば、何かをこわしてしまった場合……
「反省の色が見えないから厳しい判決かも」
「わざととは認めにくいから重く罰するわけにはいかない」
というように、裁判での判断基準を適用し始めています。
もはや与えられた「テーマ」ではなく
「自分は、裁判官のように判断することが可能か?」
という「主体的に選び取った課題」を追究しようという気持でいっぱいです。
そこで、実際の裁判官になりきり、ここまでの貴重な実体験と、資料で学んできたことを
総合的に活用して、実際の「ケース」について「判決」を下すことにしました。
題材は、北尾トロさんの話題書『気分はもう、裁判長』からとらせていただきました。
選んだ「ケース」は、金欲しさに強盗におしいったものの
被害者となった老人に抵抗されたために、持っていたナイフで刺し殺してしまった
という「殺人事件」です。
最終弁論において、検察側は、金欲しさに盗みに入ることすら言語道断である上に
ナイフを持っていたということは「殺意」があったと主張し、「無期懲役」を求刑しました。
これに対し、弁護側は、罪を認めた上で、生活苦の中でやむにやまれずお金を盗もうと
考えたことと、老人が思いのほか激しく抵抗したために、腕力に自信がない被告人は
所持したナイフを振り回し、結果的に殺してしまった。だから殺意はない!と主張し
情状酌量を求めました。
子どもたちはこれまで学んだことを総動員して
「裁判官だったらどう判断する?」という「課題」に挑みます。
大人の裁判員顔負けの「評議」が始まります。
検察の出した「無期懲役」という求刑が相当かどうか考えるために
「ポイント」を洗い出したところ5つ出てきました。
「被告人は最後の発言で、出所したら被害者の墓参りしたいって言ってた」
「ということは、反省していると考えていいかな」
被告人は十分反省しているというのがポイントの1つ目。
「殺意がなかったかどうかが最大のポイントでしょう!」
検察側の言うように「殺意」があったと考えるべきか
それとも「弁護側」の主張を「合理的」とみなすか……
殺意の有無がポイントの2つ目。
「前科はなかったんだからあまり厳しくするのはどうかな?」
3つ目のポイントとして、被告人は初犯であることから
どうしようもなく追い込まれたという心情を読み取りました。
「でも、あんまり軽いと強盗殺人してもこんなもんって思われない?」
ポイントの4つ目は、先週、傍聴した時に裁判長が強調していた
「社会に及ぼす影響」でした。
「墓参りしたいって言ってるんだから、ちゃんとやり直そうって思ってるんじゃない」
最後のポイントは、「更生」の可能性でした。
「なかなかいいポイントが出てきたと思うよ。
それでは、これらのポイントをふまえて
今週末は各自、判決文を書いてきてください。」
本当の裁判官と同じ作業を「宿題」と
しました。
「主文、被告人〇〇を ( 量刑 ) に処す
からスタートして、5つのポイントを考慮して
判決理由を説明しよう!」
模擬裁判や傍聴したとき、「判決文」がどんなふうに
書かれていたか思いだし、大体の流れを確認しました。
さあ、来週火曜日14:00、CS地方裁判所3A法廷で、重大な「判決」が下されます。
RI