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「To Be or Not To Be」3年4年生 レポート1

【探究領域】自主自律
【セントラルアイディア】多様な選択肢からの意思決定が道を拓く。

<テーマ概要> week 1 〜 week 2

テーマ学習、定番のひとつともいえる「To Be or Not To Be」。

けれど、先輩たちがやっていたことやプレゼンの印象は薄いようであります。自主自律領域の中で、今回は自分の心の中に迫ります。

まずは、自分の行動をどこまで振り返り、語ることができるかどうか確認してみました。

自分が「こう決めてこうした」または「しなかった」行動について聞いてみました。すると、多く出てきた発言は買い物の場面でした。

【目的がある買い物の場面】
・算数ノートだからかわいいものより罫線が引いてある書きやすそうなものを選んだ。
・アイスを買うときは、欲しいものの中からいちばん値段が安いものを選ぶ。
・ポーチがほしくなって、かわいくて使いやすそうなものを選んだ。
・パスケースを買おうと思ったけど、お目当てのヤクルト選手のものがなくて、買うのを見送った。
・どの駅弁にしていいか迷ったけど、松坂牛を見たとき「これだ!」って思った。

【買い物について行って「欲しいもの買っていいよ」とおうちの人からいわれた場面】
・どれにしていいかわからなくて、何も買ってもらえなかった。1こって言われなかったら、ほしいものあったのに。
・早く帰りたかったからレジの近くにあったものを選んだ。
・親と意見が合えばすぐ買ってもらえるけど、反対されると買ってもらえないんだよね。
・そのときは迷って買ってもらえなかったけど、1ヶ月悩んだあとに買ってもらえた。

買い物以外の場面となると、自分が決めた行動と言われても、なかなか出てきません。
「普段、自分の行動なんて考えてないでやってるから、思い出すのって難しい。」

でも、果たしてそうなのでしょうか。
誰かの行動を聞いていくと、それに関連づけてハッと思い出すことが結構出てきます。そして、どうしてそう行動したのか問い続けることで、「行動の理由」を引き出していきます。

「考えてやってるわけじゃないだけど、なぜか、家のエレベーターのボタンはいつも走っていって押しちゃう。」
どうして、走るの?

「私が押さなきゃって思っちゃう。」
どうして押したいの?

「押したいというより、押さなくちゃって感じ。」
何で?

「一緒にいる人がいたら待たせなくて済むでしょ。そのうち、自然に走るようになっちゃった。」

誰かが走ったら任せられる?
「その人が押してくれるって信用できる人なら自分は走らないと思う。」

自分がまずボタンを押すっていう仕事になっているってこと?
「そんな感じ。」

なぜその行動をとったのか理由を探っていくと、そのときいちばん大切に考えていたことが見えてきます。それが行動のもとになっている「判断基準」です。自分では考えないでやっているつもりでも、自らの意思が隠れているものであります。

エレベーターを率先して押す。この行動は、何が判断基準になるのでしょうか。

自分のためというより、みんなのための行動なら、責任?使命感?あるいは、自分でこうしようと決めているマイルールやルーティン?始めのうちは、こちらからいろいろと言葉をあげる中で、当てはまるものを考えていきます。

「うーん、使命感って感じかな。でも、誰かに頼まれたわけじゃなくて、自分で決めてるから、マイルールを守るためが近いのかな。」

当人だけではなく、みんなでああでもないこうでもないと言いながら、進めていくと理由が見えてくるから面白いものです。また、聞いているうちに自分の行動も言いたくなってきます。

「サマプロで兄弟のいびきを研究しようとしたけどやめた。」
なんでいびき?
「面白そうって思ったから。」
どうしてやめた?
「本人が嫌がるから、それだと面倒なことになりそうだし、かわいそうだなと思ったから、やめた。」

この場合は、判断基準が「面白さ」から「相手の気持ち」に変わっていっているようです。

行動の理由は、人の話を聞いていると思い出せてきました。ただ、その行動の元になる「判断基準」となると、その「言葉」が出てこないといいます。
ここは、語彙を増やすチャンスです。

誰かの行動を事例にして、どんな理由が考えられるか、その理由の裏にある「判断基準」がどんなものなのか、話し合い形式で進めていきました。

「イライラするからやっちゃうのは、そのときの気分かな?」
「でも、イライラしないためにした行動なら、ストレス?」
ストレスにならないための行動だど、大切にしているのは、自分の気持ち?

「判断基準って、大切にしていることなんだぁ。なんとなくわかってきたかも。」
「自分のしたいようにするのは、欲望ってこと?」
「欲望」なんて言葉が出るとは、さすが。「限りなき欲求」からの学びがつながっていますね。そのほか、話していく中で、効率性、機能性、TPO、使命感や責任感といった言葉も扱っていきました。

判断基準には、これといった決まりはありません。

それだけに、ひとりでは思い付かなくても、誰かの反応の連鎖で言葉が生まれてくることも多々あります。

「仕返ししたくて、暴力ふるったのは、判断基準は暴力?」
「暴力で解決したかったわけじゃない。」
「最後の手段だったってことでしょ?」
「最後は、お母さんに言いつけたら解決した。」
「つまり、自分で解決したかったってことだ。」
「判断基準は自力解決じゃない?」
なかなかいい話し合いです。
でも、そんな中、話し合いに参加している人と一見参加してなさそうに見えてしまう人の二手に分かれているような雰囲気になってきました。オンラインでやっているからこそなのでしょうか?

どこまで、自分をさらけ出せるか。
このテーマ学習では、Resilience・Ownership・Confidenceが求められてきます。
1週目に記録した自分の行動と判断基準はこちら。

  

2週目以降、回数を重ねるごとに、さまざまな側面の「自分の行動」に目を向けられるかどうかに迫っていきました。3つのスピリットを発揮するのは自分次第。

今回のテーマ学習のセントラルアイディは、

「多様な選択肢からの意思決定が道を拓く。」であります。

その概念獲得を目指して、進めていく柱は以下の3つ。

・行動の理由(Causation)
・意思決定の選択肢(Perspective)
・未来をひろげる選択(Change)


さまざまな側面から自分の行動を振り返ったとき、「こうしなきゃよかった。」「どうしたらよかったんだろう。」「納得してなくてモヤモヤしたまま。」と悔いの残る行動になった経験もあるはずです。迷ったときにこそ、どれだけ選択肢の幅を自ら拡げ、その中からそのとき最適だと思う選択ができるかどうかについて模索していくテーマであります。

そのため、できれば言いたくないような行動を振り返る姿勢があるかが、テーマを進める上では鍵となってくるのです。 

 

問いただしたいことがあるかもしれませんが、それは素直に自分を振り返ることができている成果であります。ここは何卒ご容赦くださいませ^_^

AN

(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。
2021年度 年間プログラム(PDF)運用版
テーマ学習一覧表(実施内容)

 

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