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「限りある資源、限りなき欲求」3年4年生 テーマ学習 レポート1

【探究領域】共存共生
【セントラルアイディア】人間の知恵が新たなエネルギー資源を創り出す。

<テーマ学習> レポート

3、4年生の今年度5つ目のテーマ学習は「限りある資源、限りなき欲求」。

テーマタイトルを提示すると。。

「限りある資源ってある通りに、使ったらなくなっちゃうよね」
「再生エネルギーとかってあるけど、あれは限りがないんじゃない?」
「いやいや、再生させようとしてもできないものがある。それが限りあるってことでしょ」
「欲求はさ、欲望だよね」
「〜したい、とか、〜作りたいとか、そういうの全部!」

などなど、言葉から考えられるコメントが出てきた中で、「欲求」についてはそれぞれがイメージを持てているようでしたが、「資源」という言葉はなんとなくわかるようなわからないような、という様子。

そこで、資源について掘り下げてみました。

それぞれが「欲しいもの」をイメージして、それができるまでに必要な資源や工程を遡っていきます。

まずは個人作業で、欲しいものがどんな材料、原料からできているのかをたどり、その元は、と探っていきました。グループで共有し、さらに内容を深掘りしました。

すると、それぞれの資源は地球から取れるだけでなく、その途中で加工されているものが多いことが見えてきました。また、その加工には機械や道具が必要なものが多く、その道具を作るためにはほかの資源や、それを動かすための電力が必要。辿れば辿るほど多くのものが使われていることが明らかになります。

大量生産しているものには「機械」が欠かせず、そこには電気が欠かせないのでは、そんな気づきもありました。

 
上記、グループでまとめたものをそれぞれ1つ選び発表し、まとめたもの。

ほかのグループの意見を聞きながら「こんなのも必要じゃない?」と考えていくうちに「〜には鉄が必要」という言葉から「じゃあ製錬所が必要で、そこには電力とか火が必要」という流れがすぐ出てきたりと、産業に欠かせない流れがあることも感じられました。

そうしたマップの中で何度か出てきた「電気」。身近な存在ではあるものの、一体私たちはどのくらいその電気を使っているのでしょうか?

実際にTCSの中で電気を使っている場所を探し、そこでどんなふうに電気を使っているのかを調べてみました。

       

キッチンには電子レンジに冷蔵庫、IHクッキングヒーターもあります。

各ゾーンにはプロジェクターがあり、電球もたくさんあります。

電源ケーブルはありませんが、時計にも電気は使われていますね。

いたるところにある「電化製品」を発見しつつ、それがどのように電気を使っているのかも改めて考えてみました。

   

電気でできることはたくさんあったのですが、それらを少し大きな括りでまとめていくと、

・ものを動かすこと
・明かりをつけること/変えること
・温めること/冷やすこと
・音を鳴らす
・貯めて使う(充電器)
・人を操る

にまとめられました。電気は基本的に「電気」として使うのではなく何かほかの形に変えて使っているようです。

調査してみたキッズからは、

「なんでこんなに電気をたくさん使っているのだろう、こんなに必要なの?」

「電気ってなくならないのかな?」

「注意事項とかたくさん書いてあるけど、電気って危険なの?」

などなど、たくさんの疑問も出てきました。

では電気を「数値」でみた場合、どれくらい使用しているのでしょうか?

電化製品にはたくさんの数字が書いてあり、まずはそこを読み解くことにしました。

 

文字が多いだけでなく、初めて見る記号も多いためにどこをみたらわからないという声が多く出ましたが、まずは自分達が必要としている情報を抜き出していきます。

電圧、規格消費電力など、言葉の意味とその値の意味を学んでいきました。

この消費電力に対して、どのくらい使用したかという「時間」を掛け合わせることで実際の消費電力量がわかります。

ということで、2Fにある電気を使用しているものの消費電力とその量を調査し、1ヶ月の消費電力量を概算してみることにしました。

 

蛍光灯1つ1つにも消費電力は記載されており、それらの値をもとに計算していきます。

 

結果はおよそ「1100kWh」。これだけだとピンとこないので、実際の電気料金に換算してみましょう。すると「約25000円」!

金額にすると「そんなに使っていたのか!」という声が多く上がりました。
実際にTCSの支払っている電気料金と比較してみると、この概算は概ね正しいようでした。

すると

「エアコンとかをどれくらい使うのかによって違うよね」という発言がありました。

たしかに、季節よってエアコンの使用量は変わってきそうです。確かめるために過去4年分のデータを集め、折れ線グラフにしてみました。

   

折れ線グラフを描くのは初めて、という子もいたのでみんなで書き方を確認しながらグラフに落とし込んでいきました。

グラフの軸をしっかりと決める、目盛の幅は正確にとる、軸の名前と単位を明記、グラフのタイトルは下に書くなど少し細かいですがグラフの御作法にも触れてみました。

4年分のデータが集まると、気になるのはほかの年と比べてどうなのか。実際に紙を重ねてその違いを比較してみるキッズも。ほかの子も真似して重ねてみます。

 

 

電気にグラフを透かして比べている様子

 

 


 

使用量の変化だけみると、どうやら2月の電気料金が高い傾向にありました。

冬だから暖房がつけっぱなしになりがちなのではないか、という理由も考察します。

夏もエアコンの使用が多いはずなのに、8月はかなり低い。これは夏休みがあるからだ!1Fの電気料金が基本的にほかの階よりも高い。これはキッチンで電子レンジなどをたくさん使っているからじゃないか。などなど、スクールの様子を考えてみるとグラフの変化にしっかりと理由が見えてきました。

電気の使用量、料金をみると私たちは日々たくさんの電気を使い、そしてその恩恵を受けて生活をしていることがわかります。

けれどこれらの電気はどのようにして作られ、わたしたちの元へ届いているのでしょうか。これからその過程について調査していきます。

KO

(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。
2021年度 年間プログラム(PDF)運用版
テーマ学習一覧表(実施内容)

 

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