【探究領域】社会寄与
【セントラルアイディア】質の高いものづくりが喜びを生み出す。
<テーマ学習>レポート week3
【いい仕事のために計画・段取りを組む】
道具の使い方がわかってきたところで、製材から部品取りをしていきます。
今回は、製材を出来るだけ自分達でカットしていき、その作業さえも「自身のスキル磨きとしていこう!」ということでスタートしました。
ほぼカットされていない製材を個数や状態の確認から初めて、最終的には個別に分けていきます。
今度は練習とは違って本番の材料なので、子どもたちの緊張感も増しています。なんと言ってもサイズミスやカットミスは許されませんから。予備の製剤は準備していないので、きっちりと「いい仕事」をしていかなければなりません!
この時点で既に、子どもたちの作業に対する姿勢や道具の持ち方などが、以前よりもレベルアップしていることがわかります。
【いい仕事を意識して製作していく】
これまでコロナ禍でなかなか訪問できなかった「達人の工房」を訪問できることになりました!「江戸指物職人 井上さん」の工房です。
職人さんの「仕事に対する心構え」「職人さんのいい仕事とは何か?」「江戸時代から続く日本の文化」を学ぶために、聞きたいことをバッチリ準備して向かいました!
工房到着。江戸指物職人 井上喜夫さんと息子さんの建志さんです。
まずは、3年生が取り組んでいる椅子の設計図を確認していただいて、どんな探究をしているのか子ども達から説明してもらいました。
その内容を知った井上さん親子は、「君たちの仕事に対する気持ちはすごいね!」とお褒めの言葉をいただきました。
「大体が出来上がった部品を組み立てるだけなのに、製材から部品を取っていく作業からやれるなんて幸せだね!」と。
達人の技を伝授
井上さんから、ノコギリの機能と特徴そして使い方を伝授していただきました。
子どもたちの口からは「おー!!」と驚きのリアクション連発です。
江戸指物で使う特殊なノコギリも見せていただきました。
子どもたちの視線は、常に職人さんの手元に集中!
技を盗んで帰ろうと、目は釘付け。
職人さんからのお話
「いい仕事」について職人さんの価値観や評価、そして心構えを聞くことができて、テーマ当初のモヤモヤがすっきりしたようです。
そして道具の中では、特に子どもたちが興味を持っていたのが、江戸指物ではなくてはならない道具の一つ、「鉋」です。
今回のテーマ制作物の作業では使いませんが、子どもたちからは「鉋使ってみたい!」「鉋っていい仕事をする上で大切だね!」と何種類もある職人さんの専用鉋に釘付けでした。
木材に線を入れることに重要さも、帰る間際なのに「聞きたい!」と時間を忘れて聞き入っていました。
最後に「良い作品を作って井上さん親子に見せることを約束し、工房を後にしました。」
井上さん いつも子どもたちの学びのためにご協力ありがとうございます!心より感謝申し上げます!
そして早速スクールに戻り職人さんの工房訪問のふりかえりをした後は、「教えてもらった技を使ってみたい!」「早く作業に入ろう!」とモチベーションが一段アップしたようです!
子どもたちの目の奥の輝きが違っていることが伝わってきました。
ここにきてさらに「いい仕事」に対する考え方やモチベーションに変化があったようです
後記
江戸指物の職人さんたちの「仕事」に対する気持ち、そして子どもたちからの熱い気持ちを受けての声掛けなど、このような実体験の場でしか経験することができないことの大切さを身に染みて感じました。
失われかけている「日本の文化」そして減ってきている「後継者」など、現実の中にある問題点を知ったことで、色々なつながりや私たちができることの重要性を身をもって知ることができました。
「いい仕事ってなんなのだろう?」と大人の私も考えさせられる体験になりました。
機械で作る大量生産、安い材料を海外から輸入して作るものづくり。国内の染料や木材管理に携わる人たちの減少、いろいろな問題点や私たちの選択が大切な日本文化の存続に関わっていること。
いつも訪問した後には考えさせられることです。
子ども達が今回のように実体験の場で日本の文化に触れ、その素晴らしさを知り、将来「日本の伝統文化」に携わっていく子どもたちが出てこないと、廃れていってしまうんだろうなぁと考えさせられました。
とにかく、私たちはこの「日本の伝統ある文化」を応援していきたいと思いました。
MH
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(参考) TCSテーマ学習について、以下よりご覧ください。
・2021年度 年間プログラム(PDF)運用版
・テーマ学習一覧表(実施内容)